【感想・ネタバレ】日本の食料安全保障 ――食料安保政策の中心にいた元事務次官が伝えたいことのレビュー

あらすじ

日本の食料の現状を正しく理解し、
食料安全保障を実現するには何が必要なのか
食料をめぐる世界と日本の状況はどうなっているのか。日本の食料に迫っている危機の実像は。食料安全保障を考えるうえでの基本とは。日本の米と水田のポテンシャル、農業に起こりつつある新たな動きとは……そのすべてを現場で奮闘してきた元事務次官がここに明かす!

第一章 世界の食料事情に忍び寄る危機
第二章 日本の食に起きていること
第三章 食料安全保障の実現に向けて
第四章 稲作と水田という日本の強みを活かすためには
第五章 食料安全保障を高め、地球環境を守り、地域経済を回すために

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Posted by ブクログ

食糧安全保障についての主張はこれまでWeb記事や他の本なので見聞きしていて、「国は本当に食糧安全保障を理解しているのか?」と疑いの気持ちがあった。
そのため、実際に農林水産省の要職にいて政策を実践してきた著者視点による事実と意見には非常に現実的な重みやハッとさせられる発見があり、読んで良かったと心から思った。
いかんせん、ネット上やメディアでは様々な立場からの好き勝手な主張が飛び交っているが、実際に官僚として制作に携わっている人も農家や流通や販売など各商流における現場担当者も、日々状況を良くしようと努力していることが、本書を読むとよく分かる。
多くの人、国民の生活のベースとなるルールや流れを作るためには、最大公約数を取る必要がある。
当然世の中には利害関係が存在して、あちらを立てればこちらが立たなくなるものだが、その中でもアイデアだし、議論を尽くし、日々休む間を惜しんで国民のために働く人がいる。そうしたことを決して軽んじてはいけないなと改めて実感した。

具体的な本書の内容は納得感のいくもので、内部にいた人だからこそわかる反省点や批判する部分なども述べられていて、未来志向なのが伝わった。
環境、健康、文化、経済、国防という、時に相反する要素を収斂させるのは至難の業だが、特に重要なのは、国民の個々人、特に消費者という視点で、環境保全としての食料生産、健康としての食料生産、国防としての食料生産などに思考を馳せて、単に「安いから」「手軽だから」「美味しいから」だけではない、哲学や信念を持った消費行動を選び取っていくことなのだろう。

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2025年10月13日

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