あらすじ
・年間3万人以上が来店
・自費出版が9千部完売
・健やかに、年商3億円
都会でうまく生きられずに、長野の地へ。
1人の主婦が移動販売から始めた店は、なぜこんなにも支持されるのか?
パンと日用品の店「わざわざ」代表、平田はる香初の著書がついに出版。
●どこで売る?(どこでお金を稼ぐのか)
→ 駅前の立地がいい場所ではなく、公共交通機関のない山の上
●何を売る?(何をお金に変えるのか)
→ 菓子パンで太ったお客さまを見て、商品を食事パン2種類に
●誰に売る?(誰からお金をもらうのか)
→ テレビの特集で押し寄せた人に対して、「来ないでください」
うまく生きることよりも、健やかでいられる方法を。
●パン屋が人間らしい生活をできないのはふつう
●売上を長時間労働でカバーするのはふつう
●利益を出すために人件費を削るのはふつう
●お客さまに「NO」と言えないのはふつう
●成功のためにはヒエラルキーに従うのがふつう
心を犠牲にしてまで、守るべき「ふつう」なんてない。
<本文はじめにより>
長野県、東御市にある御牧原台地。
私はこの山の上で、2009年から「わざわざ」というパンと日用品の店を営んでいます。
「わざわざ来てくださってありがとうございます」という意味を込めて名付けた店です。
一介の主婦が1人で始めた、パンと日用品の店。
移動販売と自宅の玄関先での販売からスタートして創業14年になる「わざわざ」は、2017年に法人化し、現在では3つの実店舗とオンラインストアを経営。
3億円の売上がある企業へ成長しました。
山の上で始めた小さなパン屋が大きく成長したという事実を見て、「田舎暮らしで夢を叶えた成功者」と思われているのかもしれません。
でも本当は、全然そんなことないのです。
パン屋を始めることになったのは、世の中の「ふつう」にうまく乗れなかった私が、唯一できそうなことだったからです。
幾多の経営本が世の中に溢れる中で、私が本を書く意味が果たしてあるのだろうか。
「辺境地で事業を始めてうまくいった事例」をノウハウとして書く意味はあるのだろうか。
自分に問うた結果、「ない」と思いました。
だから、この本では「心」を記そうと思います。
できるだけ忠実に私の心の変遷を描きたい。
内実に沿った情景を忠実になぞるような言葉を選んで記すことができたならば、それは読んだ人の数だけ形を変え、誰かの役に立つことができるかもしれない。
そう思って、この本を書き記します。
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Posted by ブクログ
正直ベースに筆者の今に至るまでの経緯が書かれていて、自分の考え方に合わせて今にたどり着いているのがわかった。
この人の考え、やり方が他の人に当てはめて成功する要因になるかわからないが、自分の性格にあったやり方を突き詰めると誰にも負けない真似できない素敵な成功を導くと思った。
おいしいから、という理由で人は何かを食べ続ける。変に環境とかアピールすると、その思想の人だけが集まってしまう。
一生懸命作ったものが一瞬で売り切れる、というのも虚しさが湧いてしまう。コミュニケーションがそこにはなく、買うということだけが目的になっている。
どれだけ仲良くなってもお客さんと販売者という等価交換が心地よい、この一線を超えないお地蔵さんになること。
健康を提供するために作ったパンがお客さんの食べる頻度が多く、太る要因になってしまわせたのでそのパン作りを辞める。
Posted by ブクログ
題名の通り、長野の山の上にあるパン屋さんにどうして人が来るのかと言って点について、今までの経緯や著者が大切にしている考え方が書かれています。
正直真似できるようなものではありませんが、行動することは大事だなと感じました。
Posted by ブクログ
わざわざがまだ複数のパンとお菓子を売っていた頃から、思い出したように度々訪れている客のひとりです。
創業当時は長野の田舎によくあるこだわりパン屋さんのひとつという感じだったけど、行く度にお店の雰囲気が変わるし、問touやわざマートも行ったけどわざわざと同じ系列のお店とは思えないくらい品揃えも内装も立地も違うしで、本当に謎なお店だなあとずっと心の隅で気にかけていました。noteも引き込まれて読んでいて。だから本書も手に取ったわけですが、読んでお店の謎が解けたように思います。
よくあるパン屋さんから、わざわざが頭ひとつ飛び抜けた理由のひとつが、「人」だと思います。まだ従業員が3人しかいなかったときから社労士と会計士を顧問に据えるってすごくない?と個人的には感じるし、事業のスタートとなったパン作りを完全に人に任せるのもすごい(平田さんがパン職人ではなかった故でしょう。だからパンの製法も常識にとらわれず工夫できている)。採用にもすごく力を入れているし、初の赤字やコロナ禍といったピンチも、人を入れ替えることで切り抜けている。
人を育て、頼り、任せていると、自分ひとりでは到達できないところまで行けるんだなというお手本のような話。
対して赤字が出た要因(部下が売上データを改ざんし、在庫を隠していた)を人のせいにせず、自分がきちんと管理していなかったからだと反省する。なかなかできるようでできない自責思考。松下幸之助や稲盛和夫の経営哲学の本を読んでいるようです。
1点気になったのが、ふたりのお子さんの子育てと経営をどう両立させていたのかなという点。読者の私もフリーランスのワーキングマザーなのでちょっとでもいいから知りたかったのですが、そこを書くと「起業家ママ」とか変な色がつくからあえて書かなかったのかな。いつか子育てについても語っていただきたいな。