あらすじ
ある日、ネコに声をかけられた。
「わたしは、未来のおまえなのにょー。」
このままだと、おれの将来、たいへんなことになるらしい。
いったい、どうして?
知らないうちにさせられてる競争。
「ふつう」は男子がおごるもの?
おばあちゃんがなんでもやってくれる祖父母の家の「居心地の良さ」。
どこかでつながりあった社会のしくみに気づいて
考えはじめる男の子の物語。
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なんでおれだけにさせるんだよ。なんでおじいちゃんはやらないんだ。おじいちゃんは男で、年上だから、やらなくていいのか。
泡だらけの皿を洗いながら、イライラしてくる。
なんにもしないおじいちゃんを横目に、おばあちゃんはこうやって、いつもひとりで家事をやっていたんだろうな。
だけど、おばあちゃんがぜんぶやってくれるから、おれも居心地がよかったんだ。
そう思うと複雑な気分になる。
ふと、陽菜子の話を思いだした。
『おばあちゃんは、わたしにだけ手伝わせるんだよ。』
でも、そうか。おばあちゃんは、陽菜子にはさせるんだ。
ということは、どういうことだ?
おばあちゃんは不公平に腹を立てているけど、陽菜子には不公平なことをするということか。
『どうしてわたしばかり家事をやらされるの? なんでおにいちゃんはしなくていいの?』
以前、陽菜子がお母さんにそう訴えていたときも、そんなに怒ることかよ、と颯太は最初、うっとうしく感じただけだった。
だけど、不公平をされるほうは、すごく腹が立つんだ。でも不公平をするほうや、不公平に関係ないと思っているほうはピンとこないんだ。
(本文より)
感情タグBEST3
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前の「言いたいことがあります!」の主人公のお兄ちゃんが主人公の物語で言いたいことがあります!の主人公とは違う感情だけどどっちの気持ちも分かるなーと思いました。
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「いいたいことがあります」の続編。
今度は兄の颯太が主人公。
一度退職しても再就職しやすい世の中になってほしい。そして、男女ともに家事をやる世の中になってほしい。でも、私が台所に立っている時はじゃまされたくないなあ。一緒にやるより分担したい笑
Posted by ブクログ
ある日、颯太はネコに声をかけられた。
「実は、わたしは未来のおまえなのだにょー。」
どうやら未来の颯太は、妻に家を出ていかれて、一人さみしく死んでしまいそうになっているらしい。そこで、ネコの姿になり、そうならないよう若い颯太に忠告しにきたのだ。
家事はぜんぶ女の人がやるもの? ふつうは男子がおごるもの? 颯太は、うろこのように何枚も貼り付いた「思いこみ」を1枚1枚はがし、自分を変えることができるだろうか。
「今も自分は気がついてないけど、勝手に思いこんでいることがあると思う。
それに、がんばるのは、競争に勝つためだけじゃなくて、前の自分が気がついてなかったことに気がつくためじゃないかな、とも思った。」
ジェンダーバイアスや社会のしくみについて考え始める男の子の物語。
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大人や知っている人に言われると反発したり、素直に聞けなかったりすることが、別世界からの声として入ってくると、妙に受け入れてしまう、
その気持ちをよく表現してるし、
家事労働とは何か、を考えないといけない今を生きる子どもたちを表現してると思う。
Posted by ブクログ
10代向けに書かれた本と思って読んだけど、もっと幅広い年代にも読んでもらいたいなぁ。
ジェンダーバイアスは、生活の中や言葉の端々、親族家族の中で脈々と流れてきた何かの中に沁み込んでて、取っ払おうと思えば思うほど、意識しすぎて、今度は反対方向にぶれちゃったりする。
でも、この本を読んで、「自分のことは自分でやる」という基本を少しずつやっていった先に、男女関係なく、誰かを助けるために動ける人になる道があるのかなぁと思った。頼まれる前に動ける人になれれば、家事におけるジェンダーは克服⁉︎
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ジェンダーのバイアスがうまく表現されていると思った。
普段の生活の中に、男だから、女だからという役割分担が未だに存在して、生きにくさを感じる人は多いと思う。生きにくさまでは感じないけれど、もやもやを感じているのは、まさに自分もその一人。
ここでは、女性の役割として家事全般が多く挙げられているけれど、男性だってきっとそういったものにがんじがらめにされて苦しく思っている人は意外と多いと思う。
でも、颯太やおじいちゃんのようにそういった固定概念を意識せずに相手に求めたり相手を傷つける言動を、私も知らないうちにしているかもしれない。
気をつけなくちゃ。
Posted by ブクログ
シリーズ2作目だけど、断然こっちのが読みやすい。
将来の危機のため、未来の僕が乗り移ったネコという設定も、前回よりも重くなく、男女問わず手に取れる。
日本ならばこのバイアス特に考えるべき。
Posted by ブクログ
日本社会のジェンダーバイアスについて、中学生男子の目線から見た物語。
共働きの両親と妹の4人家族と祖父母世代の家族について考える。
世の中が変化してきているとはいえ、全然変わらない人たちも多い、難しい問題。祖父母を嫌う理由がわかる。普通って何だろうを考えるはなし。
Posted by ブクログ
題名がキャッチー。何を考えたことないんだろう?ってとこから気になった。
内容は堅苦しく言うと、男の役割と女の役割の固定観念を打破しようってことかな?でもそれだけじゃなくて、男とか女とか関係なく思い込みはキケンだってことも教えてくれている。
おじいちゃんが、孤独死する前に変わってくれてよかった。
こういう話を子どもが読むと、聡い子は教訓めいてるなーとか思うのかしら?これを自分も考える切欠になるといいなと思った。
Posted by ブクログ
祖父母の家の近くで猫に「わたしは、未来のお前なのにょー」と話しかけられ、困惑する颯太。
勉強や野球部の自分のこともあるのに
家では働きだした母と中学受験を控える妹と
家事を一緒に共有するようになり、ますます大変さが増す颯太。
祖父母の家に行くたびに出会うしゃべる猫。
少し下がってしまった成績、後輩に先を越された部活。
家事をこなす祖母と、何もしない祖父の喧嘩に巻き込まれ
男だからジュースをおごるとか、ボタン付けはお母さんの役目とか
植え付けられた価値観に惑わされながらも
しゃべる猫の正体は、実は未来の孤独な祖父だとわかり、祖父母を巻き込んで颯太が考えをまとめて納得していく様子。
少しずつ、少しずつ。
言いたいことがあります!とつながる話だった。
Posted by ブクログ
ネコに未来の自分が乗り移るという、意表をつく始まりで、最後までおもしろく読めた。
刷り込まれたジェンダーバイアスに、こんなふうに本を通して気づかせてくれるのも良いね。
Posted by ブクログ
「いいたいことがあります!」の続巻。
前巻では。学校が遠い、部活があるなどのの事情でお手伝いをさせられなかった兄が主人公となる。物語は初めから突然、「にょい」となき、言葉を喋るネコに出会うところから始まる。届け物に行った祖父母の家のことや、部活でレギュラーを脅かされる新人が出現したり、同級生の女子との会話から、男女の役割の差や、気付かぬうちに決めつけていることに気づいていく。猫の不思議さはあまり気にならず、あ、ファンタジーだったのか?と思った。4年生くらいから勧められそう。
Posted by ブクログ
『いいたいことがあります!』の姉妹編。前回の主人公の兄がこちらでは主人公。男だから、女だからと気づかないうちに無意識に役割分担をおしつけているのでは……?