【感想・ネタバレ】白兎・苦いお茶・無門庵のレビュー

あらすじ

敵の戦車に人間爆弾となって廃兵が飛び込む訓練を繰り返す。そんな理不尽きわまる敗けいくさ。夫たちが徴兵され、著者がいみじくも名付けた半後家たちとの置き去りにされた生活。“一年が百年にも感じられる”流謫の生活の中でも、市井に生き続ける“在野”の精神を飄々たる詩魂で支え、正に“人生の歌”を歌った木山捷平、中期・晩年の代表的短篇。

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Posted by ブクログ

さつま揚げは美味い。
だからといってさつま揚げの行商はまあ儲からないだろう。
しかし木山捷平という男はそれをやる。
それゆえ木山捷平の小説は面白い。
2011年に復刊したこの短篇集は老境に入ってからの切なくも何か愉快な心境が綴られている。
以前木山捷平の小説を『つげ義春的』と自分は評したのだけど、そのままの感想をまたしても抱いた。
市井の平凡で間抜けな生活が感じられる。
その絶妙なゆるさが好きだ。
また個人的にこの作家が優れている点として、植物に詳しくその描写を丹念にしているということが挙げられる。
面白い作家は自然に明るくない読み手にも飽きさせずに植物を描くように思う。
講談社文芸文庫から出ている作品は半分くらいが絶版になっているが、是非マーケットプレイスなどを利用してコンプリートしたいところだ。

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2012年05月03日

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