あらすじ
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歌人・俵万智の我が子を想い、慈しむ母の歌50首。
この本は歌人の俵万智さん初の子育てをテーマにした短歌+エッセイ集です。月刊誌eduに連載された『俵万智の子育て短歌エッセイ たんぽぽの日々』の単行本化です。「たんぽぽの綿毛をふいて見せてやる いつかおまえも飛んでゆくから」 連載の第1回の冒頭に俵さんが自分の息子を詠んだ歌です。
いつかは産み育んだ自分の手の中から外の世界へ旅立ってゆく息子、それを送り出す日が確実に来ることを知っている母親の、切なくも誇り高い気持ちが、31文字に凝縮されています。歌集のタイトル「たんぽぽの日々」もここからとりました。
実力、人気ともに認められている女流写真家・市橋織江さんの美しい写真と、俵万智さんの子育て短歌とその背景を綴ったエッセイを組み合わせた連載は、読者の人気投票の上位を常に占め、子育て中の母親の高い支持を集めています。
2010年春に小学校に入学する長男を持つ母親でもある俵さんは、まさに子育ての真っ最中。連載の短歌+エッセイには、子育てにとまどい、悩みながら、子どもの成長に喜び驚いている等身大の母親の姿がにじみ出ていて、もらい泣きする読者が続出するのではと心配しています。
※この作品はカラーです。
(底本 2010年3月発売作品)
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Posted by ブクログ
歌とそれにまつわるエピソードを見開きで紹介。
市橋さんの写真付きで更に歌の世界が広がる。
親子の素敵な関係が歌でこんなに豊かで自由に表現できるのだなあと感嘆しつつ温かい気持ちになれる。
『心のシャッターを切るように書いてきたので、リアルであることは間違いない』
好きな歌
みかん一つに言葉こんなにあふれおり
かわ・たね・あまい・しる・いいにおい
親は子を育ててきたと言うけれど勝手に赤い畑のトマト
クレヨンの一本一本一本に名前書く時四月と思う
はじめての波はじめての白い砂はじめての風はじめての海
振り向かぬ子を見送れり振り向いたときに振る手を用意しながら
Posted by ブクログ
「誰かに預かってもらうことの、最大のメリットは、自分が「やさしいおかあさん」になれることだ。数時間会わないだけで、子どもに対して、ずいぶん心が広くなるのを実感する。」p29
一番子どものためになるのは、完璧な母でいることではなく、良い母でいることではなく、「機嫌が良い母でいること」。
深く、深く、うなずく瞬間だった。
市橋織江さんの写真もいい。
歌もいい。エッセイもいい。
俵万智さんの著書を初めて読みましたが、とても良かったです。いつか母親になったら本棚に入れておきたい1冊です。
プレゼントにも良いかもしれません。
Posted by ブクログ
あたたかい。たんぽぽ、夢の木の実、みどりの散歩、手を振る、の短歌が特に好きだった。
俵万智がいかに子と過ごす一瞬一瞬を大切にしているかが伝わる。そしてその姿勢が、母になってすぐ、というより子育ての中で徐々に培われていったんだろうなとも思う。あとがきの「おかあさんは言葉の人だから、こうして書き留めておくよ…」が印象に残る。
Posted by ブクログ
「あの赤い花がつつじで
この白い花もつつじと呼べる不思議さ」
子育てしていると、もう一度自分の中に「子どもの目」が宿るという俵万智さん。
今、孫育て中の私も、「子どもの目」が蘇って嬉しい。
「逆光に桜花びら流れつつ
感傷のうちにも木は育ちゆく」
河野裕子さんの言葉「子どもはね、いつも、そのときが一番かわいいの」社会人のお子さんにもそれが言えるとは。子どもや孫との「いま」を愛おしみたい。
「いのちとは心が感じるものだから
いつでも会えるあなたに会える」
不在を感じる時こそ再会できているのか。
千の風になったとしても。