【感想・ネタバレ】ハコニワノイエ(5)のレビュー

あらすじ

大宮との登山を経て、お互いの心の隙間を補い合うことができた清子。
近づく保育園のお遊戯会に向け、心を閉ざしてしまった凜音と
向き合おうとするが、凜音の問題行動に悩まされてしまう…。

一方、清子と大宮に大切にされていると実感しながらも、
拭いようのない息苦しさを抱える悠斗は、
初の4人旅でその感情の正体に気づいてしまうが――。

「普通」から外れた4人は、
少しずつ、『自分で選んだ家族』のカタチを築いてゆく。
大切な人との新しい生き方を問う、
サイコロジカル・ファミリーストーリー、第5巻。

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心の奥底の感情を、しっかりと見つめなおしてくれるストーリー。

自殺してしまった友人の子ども達の面倒を見ることになった、心理学者の清子。しかし人の心が分からず、いつも歯に衣着せぬ物言いで人を怒らせてしまう清子は、友人の子ども達への扱いに戸惑うばかり。
清子が、心に傷を負った2人の子ども達にとって母親という役目は果たせずとも、
唯一の頼れる大人として真摯にまっすぐ子ども達と向き合う姿は、読者であり大人の私にとっても、じんわりと心に響きました。
本作は心理学がキーポイントとなって展開していく物語です。
人間の行動にはそんな深層心理があったのかという発見はもちろんですが、
そこから読み解くことのできる人の弱さを、私たちが思っているよりもずっと豊かに捉えることができるのだと教えてくれます。
そして、「母・友人の自殺」という受け止めきれない事実を背負うとはどういうことか。そんな死の淵に近い立場にいて「生き続ける」とはどんな苦しみがあるのか。
決して穏やかではないテーマですが、家族ではなく他人だからこそ補い合うことができる関係もあるのかもしれないと考えさせられました。
「ファミリー・ストーリー」の指す"ファミリー"とは何か、ぜひ本作を読んで感じてほしいです。

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ネタバレはありません。

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