あらすじ
思想界では近年一段と脚光を浴びる一方で,一般には時代遅れのイメージが付きまとうアリストテレス.本書はこの懸隔に架橋すべく,彼が創出した<探究と知の方法>を示したうえで,人間,社会,自然を貫く議論の全体像と核心を明らかにする.現代人の疑問や違和感に向き合いながら,「いまを生きる哲学者」としての姿を描き出す入門書.
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
アリストテレスの本を読む準備に読んでみたけど、ある程度の知識は前提になってる感じがして一番目にはあまり向かない本だったかもしれない。
アリストテレスに向けられる批判に対するアンサーという形で彼の思想を紹介していく内容で、思ったより難しくて二回読んだ。思想を系統立てて紹介するというよりは、魂や原因などのアリストテレスの使用する用語の現代のイメージ・解釈とのズレを指摘したり、彼独自の考え方を丁寧に説明するのが主になっている。
アリストテレスの知的探求は、人間の知を求める本性と知的能力を信頼し、多くの情報を集めて観察や実践を重ねたうえで「なぜそうなっているのか」を把握することを目指す(単に答えを知ることではない。そこはプラトンと似てるかも)。得られる知は論証の形で表現される、というのが彼の知の枠組みで、これを基礎に様々な学問をなしていったらしい。特に自然学の探求においては「なぜそうなっているのか(原因)」は素材・形相・始動・目的の四種類の原因を探究するとか。
また、アリストテレスの倫理は行為の正当性ではなく「徳のある人」がする行為であることによって正当性が得られるらしいのだが、この部分がよくわからなかった。徳のある行為とは徳のある人のする行為である、とするとなんだかトートロジーに陥るような気がして…。最後のウーシアに関する話も分かったような分からないような感じで、もうちょっと勉強する必要がありそう。