【感想・ネタバレ】顔のない裸体たちのレビュー

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Posted by ブクログ

第三者の目を通して冷静に描く主人公二人の描写がリアリティーに溢れ、本当に現実の事件として起こっているのではないかと思うほど。

平凡な中学校教師<吉田希美子>は、とあるきっかけで出会い系サイトを介し、一人の男性<方原盈>と出会う。<ミッキー>というニックネームを名乗っている間は、現実の地味な<吉田希美子>とは切り離され、大胆に振舞えた。

インターネット上、特に自分を知るものがいないとき、人は奔放に自分を表現できる。現実社会での「自分」、例えばSNSの中での「自分」。もちろん両者とも「自分」である。
「本当の自分」とは一体何なのか、少し立ち止まって考えてみるいいきっかけになる一作だと思う。


文体は、取り扱うテーマに合わせてか平易で読みやすく、しかしその表現は逐一的確なもので読ませる作品になっている。
平野氏にとっては軽い挑戦だったのではないだろうか。
何かとエロスの部分だけが取り沙汰されているようだが、平野氏の描くエロスはこのように陳腐なものではないと期待して★★★★☆

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2010年03月27日

Posted by ブクログ

誰にも有り得る話。物語というより論文に近かった。肉体と精神の分離。快楽にすがっても大抵の人間は虚無に辿り着く。ミッチーのような例外を除いては。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

露出プレイから生じた事件のルポルタージュに見せかけた、純文学。テーマがテーマのため性的な描写が散見される。好き嫌い別れるだろうから人には薦めづらいな。

ただのありふれた事件のルポルタージュかと思っていたら、実生活を『本当』と捉え、ネット上の記号に適応した姿を『嘘』と捉える女と、性欲の発露こそ『本当』で、澄ました顔で取り繕う社会生活こそ『嘘』と捉えた男。その場限りの行為の上では利害が一致していたのに、関係が続き今後を考えていく上で互いの世界の捉え方の違いが破滅に繋がっていくという、作者の考えが伺える、評論じみた小説だった。私はこの意図に終盤まで気付けなかった…。
この方ルポも書くんだな、なんて思っていたら、やはり平野啓一郎。一貫したテーマで描かれていた。

ただ、本当に好き嫌い別れると思う…

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2023年08月31日

Posted by ブクログ

おいおい平野啓一郎なんて小説書くんだ。「マチネの終わりに」のあと遡って読んで来ているけど、初期三作の格調高い作品が嘘のように下卑た題材である。しかし題材は下卑たものでも作風は一線を保っているのは流石と言っていいのだろうか。第2期にあたる作品群はこういう傾向になるのだろうか?楽しみでもあるが、ちょっと怖い。

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2018年02月02日

Posted by ブクログ

内容より文章の書き方に感銘。時々読み返さないと理解できない程であった。(私の文章力のレベルかもしれない)
吉田希美子の弱さと片原盈の強引さ、こういう関係は自在しそう。
終盤は一気に読めたが、結末は平凡である。
兎も角、文章を楽しめる本と思う。

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2016年12月27日

Posted by ブクログ

最近甘々の文章ばかり読んでいたので、
読まず嫌いだった作者の文章の意外と好きな感じに思わぬ拾い物!

一時期はまった芥川風の文章に似てるわ。
話はどうでもよかった。

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2014年04月02日

Posted by ブクログ

初めてこの方の本を読んだが、一つ一つ丁寧に書かれていて、読みやすかった。

過激な題材だったが、最初に断り文章もあったりとおもしろく、
卑猥なことでもその内部にある、誰でもおちいり、ありそうなことが書かれていた。

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2013年10月24日

Posted by ブクログ

人によっては描写がキツく感じるかもしれない。安モノのAVを見ているような・・・好き嫌いが分かれそうな作品ですね。
歪んだ男女関係の先に起きた悲劇。こんな世界も現実のどこかに確かに存在するんでしょうね。意外と身近にも・・・。

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2013年04月04日

Posted by ブクログ

出会い系で知り合った男女のセックスの模様が、本当の姿、嘘、インターネットの世界の自分と実生活の自分についての考察を交えて描かれている。今となっては「あんな真面目な人が」という表現自体がもうそう思ってる純粋な自分を演じる時にしか使われない、だからこの作品は刊行当時に読みたかったな。エロの描写、淡々としているのによかった。

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2012年08月22日

Posted by ブクログ

男と女の、解剖めいた心理描写の綾は「ほほぉ」て感じ。

んが、何か壮大な話の一要素であればもっと面白いと感じるかもしれないけれど、これだけだとどうにもこうにも物足りないというのが正直なところ。
この作者さんだからよけいにそう思うのであろうけど。

ネット社会の罠……?
私には、作者はそういうことを意図して書いたようには思えなかったけども。
ネットはファクターの一つに過ぎなくて、それらに映し出されて浮かび上がってきた心のアレコレを描写したかったのかな、と思いましたが。

琵琶湖って、そんな写真が撮れるようなところなのかー!

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2011年01月11日

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この著者の文章は不思議である。確かに表現としては難解である、が、ギリギリのラインで内容がわかる。一たび内容がわかると難解な文章が、著者の感性や考えを実に的確に表現している事に気づく。きっと人の想像や感性を文章に表すと、必然的にとても難解なものになるのかもしれないしそれが文学の使命でもある。平野啓一郎は文学というものにかなり近い人物かもしれない。ところで内容は、どこかであったような、どこにでもあるような男と女の痴情のもつれ。ややアブノーマルか。逆算的に事件の起こるあらましを女の側から描く。ひたすらローな空気が文章中に漂う、そのなかで性にたいする一種独特な視点が面白かった。

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2010年12月22日

Posted by ブクログ

出会い系サイトで知り合った男女のお話。
こういう人たちってほんとにいるんだろうなぁ・・・
こういうのが趣味の人たちって・・・
なんかそういう世界を垣間見てしまってドキドキした。

平野啓一郎の作品にしては読みやすかった。

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2009年12月08日

Posted by ブクログ

日蝕や葬送からがほんとうだろうけど、初めての平野さんはこれを手にした。難解で硬い表現の連続に何とかついていった。なにかの事件を下敷きにしているのかな、”ミッキー”の心理分析はなるほどと思わせるものばかり、哀しいものでした。私としては松浦理英子さんと同じくらい、ぱっと受容できない言い回しでしたが、次はなににチャレンジしようかな。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

思ったほど過激な内容じゃなかった。
というか、過激な描写は少なかった。
出会い系とネット動画。現実には平凡でもネットでは表現の仕方でアイドルのように持ち上げられる。それに病みつきになってハマってくのは怖いなぁ・・・。
ネット上が嘘だとは言わないけど、そこに現実があると思うのは違うんじゃないかな。ネットに挙げる写真も文章も実体を持つ肉体があってのこと。

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2009年10月04日

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男性の主人公に最後まで嫌悪感を持った事と女性の主人公の方には、じれったさを感じたのは作者の技量のうまさなのだろうか。どこにでもいる普通の、どちらかというと地味で控えめに人が、ネットを通して
別の顔を持つ。もしくは演じる。

すんなりと読む事は読めたが、主人公の男性同様の嫌悪感を感じた。これも作者の技量の上手さなのか

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

「どうしてあの人が!?」ごく平凡で、普通のあの人が、「常識」の範疇を逸脱した行為をしたとき、世間の人々はこう漏らします。
人々は、自らの理解の範疇を超えた行為、つまりは、常識から遠のいた行為に関しての思考ができないようです。
著者は、そんな人々の不可解な気持ちを解きほぐしてくれることでしょう。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

これは…身近で起きているできごとかもしれない。出会い系で会ってすぐにSEXして、それがどんどん過剰になっていく…。いや、怖いこわい。2人の登場人物がなんだか希薄な印象を受けるのに、性描写がちょっと激しすぎる気がする。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

今すぐ隣にいる人が実際にこういうことをやっているかもしれない、、、そんな風に思えるくらいにリアルな話。ただ平野氏の本にしては主人公二人の心理の抉り方がちょっと物足りなかった気も。
主人公二人の行動や欲求などを極端に汚く書いたりその逆も無かったのはよかった(それは小説としては当たり前のあり方なのかもしれないけれど)

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

内容より、以前からわたしがわからないなぁ?と思っていたことの答えが書いてあってびっくり。さすが平野さんと思いました。ありがとうございます。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

ミッチー(男性)よりミッキー(女性)の方がよく書けてると思うんだけど、男の人が読めばミッチー(男)もよく書けていると思うかしら?

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

平野氏の文は「暗号かよ!ある意味ギャル語かよ!」と思える『メタファー共有むずいわん』な難解単語に惑わされるので最後まで読めた事がない。初の読み終わった本。これなら読めると思った。読んだけど、失敗だとも思った...。これは小遣い稼ぎで書いたのか???で、主人公の女が私に似ていると思った!これは一般女性の象徴?ニッチでもないよね?どっちだどっちだ!

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2009年10月04日

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