あらすじ
ビジネスに欠かせない、自然・生物多様性を守り増やす
「ネイチャーポジティブ」経営の世界動向をイチから解説
本書では、自然の保全と経営の両立でESG投資を呼び込む事例やTNFDを紹介しています。 アップルからネスレ、花王、丸紅、BNPパリバなど世界の企業・投資家の事例が満載。
新入社員から経営者まで、自然資本・生物多様性・TNFDを手ほどきしたネイチャーポジティブ本の決定版です。
≪目次≫
■第1部:ネイチャーポジティブ最前線
なぜ今、ネイチャーポジティブか/ネイチャーポジティブが分かる11のQ&A
■第2部:キーパーソンの声を聞く
TNFD共同議長 デビッド・クレイグ氏、経団連自然保護協議会会長
西澤敬二氏、国連グローバル・コンパクト副議長 ポール・ポールマン氏
ほか
■第3部:先進企業のネイチャーポジティブ経営を知る
サプライチェーンのリスク管理、大規模植林や30by30、IoT活用
明治、キリン、NEC、ブリヂストン、アップル、ケリング、ネスレ ほか
■第4部:持続可能な調達の現場を知る
イオン、マクドナルド、日清食品、日本水産、パナソニック ほか
■第5部:金融機関の自然への投融資を知る
BNPパリバ、ロべコ、MS&AD、みずほグループ、第一生命、アセットマネ
ジメントOne、りそなアセットマネジメント、CDP、WBA ほか
■第6部:TNFDや評価ツール、規制を知る
TNFD試作版、ENCORE、自然SBTs、EUタクソノミー ほか
■第7部:法律や戦略、用語を知る
生物多様性国家戦略、民間参画ガイドライン、みどりの食料システム戦略
ほか
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Posted by ブクログ
ESGとTNFD時代のイチから分かる 生物多様性・ネイチャーポジティブ経営
著:藤田 香
森林や海洋、農地、そこに暮らす野生生物たちを保全し、それらの天然資源を上手に利活用しながら折り合いをつけていく経営が企業に求められるようになってきた。「生物多様性に配慮した経営」、言い換えると「自然資本経営」、「ネイチャーポジティブ経営」が重要であり、中核的な経営課題になりつつある。
TNFDが企業に求める自然の開示は、企業が既に取り組んでいる開示の枠組みなどど整合したものにするとしている。具体的には、CDPや、自然に関する科学に基づく目標の設定手法を開発している団体であるSBTN、国際サステナビリティ基準審議会をナレッジパートナーとしている。
本書の構成は以下の7章から成る。
①ネイチャーポジティブ最前線
②キーパーソンの声を聞く
③先進企業のネイチャーポジティブ経営を知る
④持続可能な調達の現場を知る
⑤金融機関の自然への投融資を知る
⑥TNFDや評価ツール、規制を知る
⑦法律や戦略、用語を知る
言葉や概念だけを捉えれば、腑に落ちて理解するのには非常に難解である。しかし、確実にこれから企業や個人の意識としてもグローバルにも必要であることに疑う余地はない。
本書では、法律的な説明もしっかりとされているものの、間口を広げて非常にわかりやすく理解しやすい構成となっている。実際にTNFDの開示を行っている企業の具体例を紹介する等、誰しもが知っている企業とネイチャーポジティブを関連させて、具体的なイメージが付きやすい形で理解を後押ししてくれている。
利益につながるから、利益を損なうからネイチャーポジティブ経営を行うのではなく、企業のサステナビリティと地球のサステナビリティを近い位置で意識し、誰しもが安心して暮らせる「今」と「未来」を守り続けるために行うべき、宇宙船・地球号の一員としてのやるべきことを企業・個人としての対応を気づかせてくれている。
新しい概念は、何度も触れ、アンテナを立てながら、多くの情報に触れることで点がつながり、理解につながる。そんな土台をつくってくれる一冊であった。