【感想・ネタバレ】政治的に無価値なキミたちへのレビュー

あらすじ

キミを「政治的存在」にするために、この本は生まれた。
早稲田大学の政治入門講義を書籍化。

イデオロギーと聞くと、なんか嫌悪感が湧いてくる――? 「1票」なんて、無意味だ、ただのゴミ――。世界最高レベルの授業料で大卒資格を買い、労働という苦痛に「やりがい」という神秘的感覚を見出し生きる、キミたちへ。佐久間裕美子氏、竹田ダニエル氏、推薦!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

私たちは、資本主義を支持しながら資本主義を傍観するしかない…

私たちは、民主主義を支持しながら民主主義を傍観するしかない…

希望はあるのでしょうか?

・・・
物事の理解は、他との比較によって深められますが、

本書でも日本の社会状況や政治制度について、他国と比較したデータや説明があり、勉強になることが多かったです。

資本主義の現社会では、

人権ではなくて、商品が自由である、というところがあり、立ち止まりました。

どういうことだ?自由はお金を出して得るものだということ。

お金があれば自由だということ…

日本社会が思ったより社会民主主義な国ではないような事実に触れられています。

- 大学授業料の高さ
- 失業手当の少なさ
- 奨学金の少なさ
- 有休の少なさ
- 社会主義党議席の少なさ …

日本では学生から社会人として仕事とをする際にも、あるいはそのご退職するまでにも、

でも、途切れのないことが一般的で、
新卒や中途採用など、年齢が雇用や給与の基準となっていますが、

空白期間を持つことが制度的に難しい、という状況が分かります。

ゆっくりしていられない、したら本当に食べられない、生きていけなくなってしまう。生存の問題につながります。

この制度を変えずに、多様な働き方や学び方、欧米のようなキャリア構築を語ることの危うさを少し知りました。

大学の無償化(授業料の減免)が来年度から開始されますが、いろいろ条件がありますね。やっぱ働き続けないといけない…ってなる。

そしてそれ以前に、「市民教育」がない日本の現実。

私たちが受ける教育は労働教育、つまり、働かすための教育。

これは確かに重大だ!教育費の現状も、雇用の実態も、国家の運営に対して自分たちがなにかできる、という発想自体が育てられていないと、注意を向けることもないし、改善案を考えることもできないと、根本的なことですがあらためて考えさせられました。

・・・
はじめて知って、とても重大な話だと思ったものが、

選挙に出るための費用は世界一。

衆議院選挙の小選挙区は300万円、比例代表は600万円の供託金、と言う者があるそうです。これは先進国非核のなかでもずば抜けて高いのに驚きです。供託金がない国も割とあり、あっても10万円ぐらい。

日本では参政権は普通にあると思っていましたが、高額な商品だということが分かりました。

他の動画で見た話、政治家は政治団体を通した資金の贈与・相続には相続税を払わなくていいそうです。世襲政治を助長するシステムにもなるし、新規参入者への壁が高いというよりは、既存の政治家家系が他の職業に就くことを少し阻むような、実際どのように運用されているのか、実態が気になります。

国会議員の給与は世界最高水準でした。

とにかく政治家というコミュニティが閉鎖的であり、市民にとって遠い存在に意図的にも置かれているような雰囲気がしました。

・・・
刑事・裁判制度について。

裁判官は全国に約3000人いて、うち、高等裁判所、最高裁がわずか人数おり、15名の最高裁裁判官の人事権は内閣が決める。習ったようなきがしますが、それがどういう意味を成すのかということはとくに考えてもいなかったです。

最高裁には裁判官以外に700名超のスタッフを持つ大きな組織だそうです。

残虐刑は国際人権法でも憲法(36条)でも認めらられない中、日本には死刑が存在しています。

1948年の大法廷判決では、死刑について、残虐刑に値しない、と解釈され、1955年にも「特に人道上、残虐とする理由は認められない」と判決を下しているそうです。これが今も通っているのは不思議ですね。

刑罰の目的:恐怖、報復、祝祭、抑止、隔離、矯正、と論じられています。最高裁は怖いなー。

・・・
君主制と共和制について、議会制と大統領制について再確認。

君主制は、象徴的存在(国家元首)が血縁などで決まっている。一方の共和制は、一般人から選ばれる制度のこと。日本やイギリス。

日本の首相は、君主制の下にある内閣総理大臣。大臣とは、天皇に仕える立場という意味があるそうです。

ちなみに、天皇家(5世帯)の生活費は年間3億2000万円、秋篠家(5世帯)は年間5185万円、だそうです。

国家元首が大統領なのは、たとえば共和国であるフランスとアメリカ。

フランスは、半大統領制とされ、首相もいて議会の仕組みも少し取り入れている。国民投票で国家元首兼政府首脳の大統領が選ばれ、首相が議会で選ばれ、その双方が政治をする。大統領は首相の任命権を持つ。議会も首相を解雇する権利を持つ。

ドイツは、議会制共和国とされ、大統領もいるけれど実質的な権限がほぼなく、政府首脳は首相。大統領は選挙ではなく、全国の有力者が集まる連邦会議で決められる。

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著者の問いー私たちの価値は?

一人ひとりは大きな制度に対して無力に感じるけれども、理念によって集まることに希望があると。

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2024年12月30日

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