【感想・ネタバレ】政治的に無価値なキミたちへのレビュー

あらすじ

キミを「政治的存在」にするために、この本は生まれた。
早稲田大学の政治入門講義を書籍化。

イデオロギーと聞くと、なんか嫌悪感が湧いてくる――? 「1票」なんて、無意味だ、ただのゴミ――。世界最高レベルの授業料で大卒資格を買い、労働という苦痛に「やりがい」という神秘的感覚を見出し生きる、キミたちへ。佐久間裕美子氏、竹田ダニエル氏、推薦!

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Posted by ブクログ

ヘルジャパンの現状、改めて他国と比較されると辛いものがある。

偏った見方や乱暴に感じる言葉も見られるかもしれないけど、警鐘として読んだのでそこまで気にならなかった。むしろ、”偏っている”と感じた自分はどこまで中立なのか、自分の政治的イデオロギーもわからず偏っていると感じるのもかなり滑稽な話だし、丁寧な言葉遣いや耳寄りの良い話に騙されて傀儡となるよりは、多少乱暴な聞きたくない事実を聞いて考えられる市民でいたい。

内容とは裏腹に、本の形式は図式やピクトグラム、写真が多く、SNSブログを読んでいるような文体で誰でも読みやすく仕上がっている。

死刑廃止はなくなったほうがいいなとなんとなく考えていたけど、戦後の免罪事件を見て確実に死刑廃止派に見方が変わった。
メンツを守ることに必死な警察検察裁判官、政府のプロパガンダでしかないメディアを見ると、公平性は保証されず、知る権利も持たない私たちに人権なんてないに等しいと絶望を感じる。
安倍元首相暗殺事件の山上徹也氏の裁判がなかなか始まらないのも、政府の思惑があるんだろうな。
秩序を守る公的機関が隠蔽忖度放置を繰り返してきたことと、私的制裁による事件が起こりはじめたことは因果関係があるようにしか思えない。

政治の話をすることがタブー視されている状況は、この国を支配するの政治家にとってかなり都合がいい。
私たちが絶望して票を捨てる、政治の話を冷笑するたびに、どんどん住みにくいヘルジャパンが完成していく。
社会主義が怖いものとして植え付けられて、見せかけの民主資本主義を支持してきた日本はこのまま古き良き地獄を継承していくのか、何か大きな理念が生まれて革命を起こすことができるのか、海外逃亡や終身旅行ができるほどのお金も持たない私はこの国を見守るしかできない。
私たちが政治的存在になるために必要な、教育と余暇を保証すると訴えている政党はどこだろう?この本を読んだ人にはよく見極めて見つけてほしい。

この本を勧めるだけでも、この国の諸問題を自覚させて、国家に逆らう恐怖よりも逆らわないで生きる恐怖が勝つという人を集める一歩になると思う。

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2025年08月12日

Posted by ブクログ


ちょっと極端な意見に思えるけれど、これくらい書かないと自分も含めて若者は日本の政治に危機感を覚えないかもしれない。

「FGM」については私も昔から他人事ではなく世界全体で考えていくべきだと思っていた。当事者の女の子は考えられるほど大人ではないし、誰しもナイフや石で切られて、止血も砂をかけるだけというのは痛いし危険だと想像できるだろう。外の人間が介入する必要があると思う。女性器がナイフで切られている地域は多いのに男性の方を切るという文化がないというのが、また別の話にはなってくるけれど不思議。

日本の国公立大学の学費が世界と比べて高いことについて、たしかに貧しい人は大学に行くことができない国ではあるけど、それが当たり前だとおもっていたところもある。それが良くないことだと多くの人が思えるようになるには時間がかかりそう。
他の国に比べて税金を奨学金にほとんど使っていないというのも納得できる。4年間大学に行かなくても働くところはあるし、大学で学ぶことは社会に絶対必要なことだと考えている政治家も少ないのだろう。
このまま他の国に研究や開発で遅れをとり日本人が外国人の下で働くことになる未来が見える。

過労自殺が多いという問題はもう日本では諦めた方がいいかもしれないと思った。ニュースでは働き方改革などと言われているけど、実際何も変わらない。社会に出てみたら、みんな過労が素晴らしいという顔をしている気がする。
一部の中小企業や教員はサービス残業は当たり前だし、休日出勤をしても振替休日なんか取れるわけがないし、年休も適当に紙の年休簿に書いて休暇をとったことにしている。労基に入られたらアウトだというけど、小さいところにわざわざ労基は来ない、、そして会社を破壊するために通報できる勇気を持った労働者もいないのでは、、

正直この本を読んで、普段選挙に行かない人が選挙にいくようになるとは思わないけれど、いろいろ日本も終わってんなくらいには思ってくれるかもしれない内容だった。 
若者が多く選挙に行くようになると、この傾いた日本がどう変わっていくか、少しでも変わるのかを書いてほしいと思った。

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2024年08月28日

Posted by ブクログ

それはどうかなと思う部分もあったけど、大学生の時にこういう講義受けたかった。様々なデータで改めてこの国に絶望するけど、政治的存在になるにはまずはそういう自分の状況を理解することから。絶望的な状況を説明する図や写真のポップな色合いとピクトグラムが皮肉。
願わくば、各章に参考文献を数冊紹介してくれてると良かったな。

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2023年05月15日

Posted by ブクログ

早稲田大学で非常勤講師を務める著者の講義を書籍化した本。自らのイデオロギーを認識したうえで、政治的な課題について現状を知り、理念を持った政治的行動を選択するよう説いている。本書で扱っている内容は、人権、労働環境、結婚観、死刑制度、君主制・共和制、議会制・大統領制など多岐にわたり、OECD(経済協力開発機構)加盟国との比較を通して日本の特徴を考察している。イラストや資料が豊富であり、章立てで分かりやすくまとめられている。

本書は読者に対してやや挑発的な姿勢で書かれていて、苦手な人も一定数いると思われる。日本人に不都合な事実を一切忖度なく書き表し、読者は残酷な現実と向き合うことを強いられるため、不快の思いをする人もいるだろう。

また、誘導的な主張が散見され、全てを鵜呑みにはできないことに注意されたい。
例えば失業に関する記述では、公費予算全体のうち失業給付に費やされる割合を各国別で示したうえで、「日本の失業給付水準が低く、失業に対する恐怖があるから、労働せざるを得なくなっている」という論理展開をしている。しかし、これについては失業率と失業給付水準の因果関係が逆である可能性がある。
他にも、棒グラフの軸が0から始まっておらず誇張されていたり、比較対象の国が恣意的であったりして、読み取りには気をつける必要がある。

上記のマイナスな側面を差し引いても有り余る学びとしての価値は評価したい。学校教育やメディアが取り上げないような政治的課題を知ることができ、自分の価値観や政治思想を見つめ直す良いきっかけとなる。刺激的な内容が多く含まれていて、ぜひ政治に対する関心の薄い人に読んでもらいたい一冊である。

本書から学んだこと
- アフリカの一部地域にはFGM(female genital mutilation)という文化が2000年以上前からある。3~5歳の幼い女性の性器を切除したり縫合したりして、物理的に結婚までの処女を守らせるものである。外野から見れば残虐な文化であり、女性の人権侵害に思われるが、内部の人間はその文化に崇高な価値を感じているはずである。欧米発祥の人権を押し付け、その土地の文化を壊していいのか。人権の「普遍主義と相対主義」という論点に関する1つの良い例である。
- 日本の刑法212~216条では堕胎に関する罪が列挙されているが、母体保護法により例外的事情があれば中絶してよいことになっている。その判断は担当医師の自主性に委ねられ、中絶手術が多く施されている。
- 日本やイギリスが議会制君主国であるのに対し、フランスは半大統領制共和国である。国民から直接選ばれる国家元首兼政府首脳の大統領と、議会から選出される首相が共存する。政府首脳が事実上2人いて、大統領は首相の意向(ひいては議会の意向)を配慮しながら国家を運営する。また、ドイツは議会制共和国である。連邦会議で選ばれる大統領は単なる象徴的地位で、政府首脳は議会から選出された首相1人が担う。

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2025年01月15日

Posted by ブクログ

おもしろかった!
ちょっと過激かなと思って読みはじめたし、ヘルジャパンに絶望する内容も多かったけど、ちゃんと知れてよかったなと。
エルピスにハマった人には刺さるんじゃないかな。
分かりやすくて若い世代にもぜひ読んでほしい。
死刑制度容認派だったけど、この本を読んで考えが少し変わった。アニマルウェルフェアにも興味があったので取り上げてくれて嬉しい。

特に「キミは政治的に無価値だ」の項。タイトルもだけど、そうなのよと思っていたモヤモヤに少し光が差した感じ。
若い子、ほんとに読んでくれ。
日本にずっと住み続けられるよう、日本が今よりずっといい国になるよう、私も自分なりに頑張ります。

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2023年11月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私たちは、資本主義を支持しながら資本主義を傍観するしかない…

私たちは、民主主義を支持しながら民主主義を傍観するしかない…

希望はあるのでしょうか?

・・・
物事の理解は、他との比較によって深められますが、

本書でも日本の社会状況や政治制度について、他国と比較したデータや説明があり、勉強になることが多かったです。

資本主義の現社会では、

人権ではなくて、商品が自由である、というところがあり、立ち止まりました。

どういうことだ?自由はお金を出して得るものだということ。

お金があれば自由だということ…

日本社会が思ったより社会民主主義な国ではないような事実に触れられています。

- 大学授業料の高さ
- 失業手当の少なさ
- 奨学金の少なさ
- 有休の少なさ
- 社会主義党議席の少なさ …

日本では学生から社会人として仕事とをする際にも、あるいはそのご退職するまでにも、

でも、途切れのないことが一般的で、
新卒や中途採用など、年齢が雇用や給与の基準となっていますが、

空白期間を持つことが制度的に難しい、という状況が分かります。

ゆっくりしていられない、したら本当に食べられない、生きていけなくなってしまう。生存の問題につながります。

この制度を変えずに、多様な働き方や学び方、欧米のようなキャリア構築を語ることの危うさを少し知りました。

大学の無償化(授業料の減免)が来年度から開始されますが、いろいろ条件がありますね。やっぱ働き続けないといけない…ってなる。

そしてそれ以前に、「市民教育」がない日本の現実。

私たちが受ける教育は労働教育、つまり、働かすための教育。

これは確かに重大だ!教育費の現状も、雇用の実態も、国家の運営に対して自分たちがなにかできる、という発想自体が育てられていないと、注意を向けることもないし、改善案を考えることもできないと、根本的なことですがあらためて考えさせられました。

・・・
はじめて知って、とても重大な話だと思ったものが、

選挙に出るための費用は世界一。

衆議院選挙の小選挙区は300万円、比例代表は600万円の供託金、と言う者があるそうです。これは先進国非核のなかでもずば抜けて高いのに驚きです。供託金がない国も割とあり、あっても10万円ぐらい。

日本では参政権は普通にあると思っていましたが、高額な商品だということが分かりました。

他の動画で見た話、政治家は政治団体を通した資金の贈与・相続には相続税を払わなくていいそうです。世襲政治を助長するシステムにもなるし、新規参入者への壁が高いというよりは、既存の政治家家系が他の職業に就くことを少し阻むような、実際どのように運用されているのか、実態が気になります。

国会議員の給与は世界最高水準でした。

とにかく政治家というコミュニティが閉鎖的であり、市民にとって遠い存在に意図的にも置かれているような雰囲気がしました。

・・・
刑事・裁判制度について。

裁判官は全国に約3000人いて、うち、高等裁判所、最高裁がわずか人数おり、15名の最高裁裁判官の人事権は内閣が決める。習ったようなきがしますが、それがどういう意味を成すのかということはとくに考えてもいなかったです。

最高裁には裁判官以外に700名超のスタッフを持つ大きな組織だそうです。

残虐刑は国際人権法でも憲法(36条)でも認めらられない中、日本には死刑が存在しています。

1948年の大法廷判決では、死刑について、残虐刑に値しない、と解釈され、1955年にも「特に人道上、残虐とする理由は認められない」と判決を下しているそうです。これが今も通っているのは不思議ですね。

刑罰の目的:恐怖、報復、祝祭、抑止、隔離、矯正、と論じられています。最高裁は怖いなー。

・・・
君主制と共和制について、議会制と大統領制について再確認。

君主制は、象徴的存在(国家元首)が血縁などで決まっている。一方の共和制は、一般人から選ばれる制度のこと。日本やイギリス。

日本の首相は、君主制の下にある内閣総理大臣。大臣とは、天皇に仕える立場という意味があるそうです。

ちなみに、天皇家(5世帯)の生活費は年間3億2000万円、秋篠家(5世帯)は年間5185万円、だそうです。

国家元首が大統領なのは、たとえば共和国であるフランスとアメリカ。

フランスは、半大統領制とされ、首相もいて議会の仕組みも少し取り入れている。国民投票で国家元首兼政府首脳の大統領が選ばれ、首相が議会で選ばれ、その双方が政治をする。大統領は首相の任命権を持つ。議会も首相を解雇する権利を持つ。

ドイツは、議会制共和国とされ、大統領もいるけれど実質的な権限がほぼなく、政府首脳は首相。大統領は選挙ではなく、全国の有力者が集まる連邦会議で決められる。

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著者の問いー私たちの価値は?

一人ひとりは大きな制度に対して無力に感じるけれども、理念によって集まることに希望があると。

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2024年12月30日

Posted by ブクログ

わかりやすい、が、性差や貧困にまつわる文章では性差別的だったり因果が間違っている場合もあった。
階級や結婚の話については、ジェンダーの知識を読んでから読むといいと思う。

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2023年07月01日

Posted by ブクログ

・大学の講義を書籍した本。「政治的に無価値」である事をヒシヒシと感じている自分にとっては鼓舞されるものだった。
・丁寧に必要な知識と現状の分析がされており、考えの整理に役立つものであった。ただ、何か目が覚める様な新しさがあるかと言われると、何となくではあるが既に(ボンヤリ)思っていた事ではある。それくらい「当然」の事が語られているのだと思う。
・後はそれをどう自分の生活に落とし込むか、だ。それはどうにもこうにも自分で成さなければならない。プレッシャーも少し感じた。誰に?自分に?
・アホみたいな感想だけど、横書きの文章は勉強している感があるな〜

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2023年06月04日

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