あらすじ
沖縄学の権威による沖縄食文化史入門。著者は『おもろそうし』などの古典文学をもとに琉球文化の源流を探る研究に取り組んできたが、最後の著書となった本書では、食を素材に、沖縄の歴史が描き出される。ヤマトとは異なる食材・料理・飲食風習を対外関係史から説明し、沖縄料理の中にある東南アジア文化、中国文化の影響を解説。そして、食の思い出とわかちがたく結びつけられた戦前・戦中の記憶をつづる。取り上げられるのはラフテーやゴーヤチャンプルーなどよく知られた料理から、今では幻となった伝統菓子にいたるまで幅広い。食が語る沖縄の歴史。
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Posted by ブクログ
著者の思い出も交えた食べ物の説明がすごく良かった
知らないものも結構あった
あとがきでガチマヤーは餓鬼の猫って意味だと書かれていて納得した(子供の頃よく言われてた)
Posted by ブクログ
読み始めて「あれ?」と思う。
沖縄の食文化を体系的に論じた本では、ない。
沖縄の料理や酒、菓子類の作り方を解説するわけでも、ない。
民俗学の第一人者である著者が、自分の経験を通して語った、食を中心とした沖縄生活誌といった風情。
あるいは、地元の物知りの先生を公民館やカルチャーセンターにお迎えして、ゆるくテーマについてお話を聞いているような雰囲気か。
読んでいるうちに、もはや存在しない古い時代の沖縄の家でどんな食べ物が並んでいたか、見えてくる気がする。
そして、食べている家族の姿も見える気がする。
沖縄は、中国の文物だけでなく、東南アジアからも、日本本土からも、モノが入ってくる。
独自のものが生まれる素地がある場所、ということらしい。
また、「クスイムン」という考え方も独特だ。
医食同源、食は薬であるという考え方で、中国や朝鮮半島との文化の近さを感じさせる。
野菜、果物、イモ類、米など、食材の種類は少ない、と著者はいう。
これは意外な話だった。
肉・魚・菓子・餅・飯・酒などに分けて紹介される。
行事食には、その行事のあらましも紹介されていく。
ここは民俗学者だった外間先生の面目躍如たるところか。
かまぼこ(かまぶく)などは、蒸すのではなく揚げて加熱する。
鶏卵を加えた「カステラかまぼこ」なるものもあるそうで、私たちの思う蒲鉾とはかなり趣が違う。
茶も、想像を超えるものがある。
「ぶくぶくー」といわれる泡茶である。
唐米をきつね色に炒り、煮立てて「煎米茶」を作る。
そこに、「しーみー(清明)茶」と番茶をブレンドして煎じたものを、1対1の分量であわせる。
それを大型の茶筅で泡立て、そこに小豆ご飯を少し入れ、泡を盛った上に刻み落花生をかける。
戦国時代には本土でもあったというが、食べ物なのか飲み物なのか…。
楊梅(ヤマモモ/ヤマムム)は、塩漬けにして食べるとあって、驚く。
ニガナはなんとなく予想がつくが、糸瓜(ナーベラー)は子供が苦手な野菜なんだな、ともわかって面白い。
楽しく読み終わり、ふと気づく。
あと一週間で沖縄慰霊の日。
ソテツを食べてしのいだ(戦時中ゆえ、うまく毒を除去できなかったこともあったとか)時代のことも頭をよぎった。
Posted by ブクログ
なかなか良い勉強になりました。
主に琉球の時代から続く伝統的な食材やお菓子などについて、写真付きで、著者の思い出と共に書かれていて昔の沖縄の雰囲気も味わう事が出来ました。
沖縄に生まれながら全く知らない事だらけで、沖縄の文化、特に食文化についてもっと学びたいと思わせてくれました。感謝です。
Posted by ブクログ
沖縄学の権威による沖縄食文化史入門書。取り上げられるのは、ラフテーやゴーヤチャンプルーなどよく知られた料理から、今では幻となった伝統菓子にいたるまで幅広い。