あらすじ
「めっちゃ」「やっぱり」「じつは」「なるほど」「せっかく」「あいにく」「おかげさまで」…私たちは生活の中で多くの副詞を使っている。名詞、動詞、形容詞のように文を構成する要素とはならないが、副詞は単なる添え物ではない。書き手の気持ちをもっともストレートに伝える品詞なのである。本書ではコミュ力向上の鍵となる副詞について、その分類と機能を知るとともに、使い方の勘所を、社会的・文化的背景も交えて解説する。
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日本語の副詞は英語のように「動詞を修飾する」
というような定義はないらしいです。
「わざわざすいません」の「わざわざ」なども
「すみません」を修飾しているわけではないで
すが、話しての配慮を表している副詞である、
とこの本では位置付けています。
このような「一言添える」ことによって、聞き
手の印象がガラリと変わる副詞は沢山あります。
まさに人間関係の潤滑油的な働きも持つし、逆
に不快にさせてしまう用法もあります。
大事な副詞を学ことができる一冊です。
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配慮表現の「ひとえに」「さぞ」などは、自分で思いつかない場合がある。
社会人として必要不可欠な配慮の副詞表現がまとまっている本書は便利。
この他に、政治家がよく使う副詞表現と真意の解説も興味深いし、こうした表現を使う立場の人には有効である(大胆に、毅然と、丁寧に、謙虚に耳を傾ける、など)。
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語学的にはさほど重視されることのない「副詞」というものを体系的に整理、解説し、さらに、その使用の仕方に至るまで、微に入り細を穿って語ってくれる、これは名著! 副詞とはかくも豊かで深いものだったのか! 副詞のことがほんとうに好きになると共に、心から大切にしようという気になった。
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タイトル通りの話を結論だけ知りたい場合は、ウェブ上に筆者のインタビュー記事があるのでそれを読めば済む(「ちゃんと」「しっかり」をビジネスで使っちゃダメですか? 副詞の使いこなし方を専門家に聞いた - ミーツキャリアbyマイナビ転職)。
では本書を読み通して得られる魅力は何かと言うと、「副詞」という門外漢には曖昧模糊に感じる品詞を定義付けし、印象が言語化されていくその過程の気持ち良さにある。特に序中盤は教科書的で、副詞にまつわる入門として読みやすい。続く章では、副詞を使って誤解なく他者とコミュニケーションする上での留意点についてさまざまな観点から述べられる。日本語の語順(SOV)では最後まで聞かなければ話の中身が伝わらないことが多いが、副詞を的確に使うことでその弱点を補うことができるのは面白い。
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「副詞」の分類種類とオノマトべ含めたその効果など「そんな意味・効果もあるのか」と驚く。中でも興味深かったのは「心に響く副詞」「混乱を起こしやすい副詞」「よく考えるとおかしい副詞」など気が付かないで利用していた事を知らしめた。政治家が使う頻繁に使う副詞も面白い。(一部抜粋)また、日本語の学習が難しいのは多くのオノマトべが多いことだ、ということも。(日本語、韓国語、ベトナム語には多いが、中国語は少ない)
「心に響く副詞」:うるっとした、とにかく
「混乱を起こしやすい副詞」:ぜんぜん、いわば、つつがなく、安易に
「よく考えるとおかしい副詞」:一律に、身軽に、容赦無く、躊躇なく
「政治家が用いる副詞」:速やかに、早急に、大胆に、慎重に、段階的に、厳重に、着実に
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<目次>
第1章 副詞とは何か~副詞ってやっぱり難しい?
第2章 副詞の多用~ホントにホントにライオンだ♪
第3章 情態副詞~ちゃんとやってよ!
第4章 程度副詞~超気持ちいい!
第5章 予告副詞~ぜんぜん面白くない…
第6章 検討副詞~ぶっちゃけ、年収いくら?
第7章 副詞と印象~一生懸命のんびりしよう
第8章 副詞と配慮~わざわざすみません
第9章 副詞と文体~すごく?とても?きわめて?
第10章 副詞と社会~せっかく神様がいるのなら…
第11章 副詞と世代~本気(マジ)?本気(ガチ)?
<内容>
光文社新書で国語系の解説書を多く著している著者。今回は「副詞」。日本語の副詞は定義のしにくいものらしい。たしかに、「超~」「ぶっちゃけ」「全部」などなど。著者は広めに定義をしている。また副詞には気持ちが反映していたり、世代によって使う言葉はもちろん、全く逆の意味になったり(全然)、進化しているものもある。このように品詞を深くつきつめるのも面白い。
Posted by ブクログ
国語学や文章の専門家が「副詞」に焦点を当て、豊富な事例を盛り込んで分かりやすく解説した本。伝えたいポイントは「副詞」がコミュニケーションの要であり、話し手の気持ちを伝える役割を持っていること。
我々が日々の生活で、意識することなく使っている副詞には、情態、程度、予告などを主観的に表す様々な機能があり、有効に活用すれば、自分の気持ちを的確に伝え、相手と本音の話がしやすくなる。逆に、使い方を誤れば、聞き手とのコミュニケーションをかえって悪化させる。
文中、専門的で堅苦しい分類や名称もあったが、著者のいわんとする要旨はシンプルでストレートに理解できた。
特に印象に残ったのは、情態を表すオノマトペの効果。感覚的に伝える、臨場感を高める、行動を促す、人目を惹く、気持ちを伝えるという5つ。イメージを喚起する力が大きいことに今更ながら気付かされた。
料理を感覚的に表す「フワフワ」、「とろ~り」、「こんがり」といった表現、医者に頭痛を伝える際の「がんがん」、「ずきずき」、「じんじん」、「ドクドク」といった診断のヒントになる表現には思わず膝を打ってしまった。
また、同様の表現でも、「話し言葉」と「書き言葉」に差があること、誤用の起きやすい表現があることについて、問いかけ形式で事例を挙げ、それに応答しながら読める箇所はすいすいとページめくりが進み、楽しく読めた。