あらすじ
近年の改憲ムーブメントで連呼された「最終的に決めるのは、主権者たる国民の皆様です!」――私たちは改めて主権者としての自覚が求められ、いよいよ最後の出番に呼び出しがかけられている。しかし、主権とは何で、主権者とは誰なのか? 本書は、神の至高性に由来するこの“取り扱い注意”の概念を掘り下げ、新たなトリセツを提示する。ロゴスから意思へ、神から君主そして国民へ、魔術から計算へ、選挙からアルゴリズムへ――中世神学から現代の最新論考までを包含しためくるめく“主権者劇場”がここに開幕!
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Posted by ブクログ
先ほどもニュース番組でコメンテーターが来年の参院選について「(有権者ではなく)主権者として」との言葉遣いで論評していたが、本書を読んだあとそうやすやすとは「主権者」という言葉は使えなくなった。
憲法に規定される国民はまず憲法制定(改正)権者としての主権者であり、選挙にあたっては有権者であり、また権利義務の主体として市民である。
究極的には誰でも有りながら誰でもない、最高権者としての主権者に畏れながら期待するために、国民の三相の相互の関わりの中でどのようなシステムが構想可能か、思考実験的な様相も含む。「国民的議論」とか「国民の皆様の判断」といったクリシェに思考停止しないための議論で頭がほぐされる。
Posted by ブクログ
第一章では、意思、ロゴス、神と日常であまり使わない概念が出てきて、あまり理解できなかった.第二章でも、国民主権、衆愚政治など主権に関する議論だが、これも難しい.第三章 民主主義、第四章 市民社会は何とかついていけた.でも法学者の考え方はある程度理解できたような気がする.民主制は「民衆支配」であり、その民衆は放っておくと衆愚に陥る可能性がある. との解説があったが、どこかの国の政治をみているようだ.さらに、随所でタイトルにあるように主権者を疑うことの重要性も強調している.約300ページの新書だが、内容のあるものだと感じた.