【感想・ネタバレ】国富論(上) 国の豊かさの本質と原因についての研究のレビュー

あらすじ

《アダム・スミス生誕300年》

市場とは、労働とは、豊かさとは――。『国富論』は、経済と社会のしくみ、本質を、わかりやすい例と平易な言葉で解き明かした政治経済学の金字塔です。いまなお多くの方々が必読書として推薦されており、現代への示唆に富む内容といえます。本書は、たとえば日本経済新聞を読むように、日常の言葉に移し替えた画期的翻訳で多くの方から好評を博してきた単行本を文庫化したもの。難渋な翻訳調の文章を前に諦めていた方も、古典中の古典である『国富論』を読む好機です。

上巻は、「第一編 労働の生産性の向上をもたらす要因と、各階層への生産物の分配にみられる自然の秩序」と「第二編 資本の性格、蓄積、利用」を収録。産業革命の黎明期にあったイギリスを念頭に、分業をはじめ労働と生産の仕組み、資本の蓄積を明らかにし、経済学の基礎となる考え方をまとめています。

【目次】
序論
第1編 労働の生産性の向上をもたらす要因と、各階層への生産物の分配にみられる自然の秩序
第1章 分業
第2章 分業の起源
第3章 市場の大きさによる分業への制約
第4章 通貨の起源と利用
第5章 商品の真の価値と名目価格、労働価格と金銭価格
第6章 商品価格を構成する要素
第7章 商品の自然価格と市場価格
第8章 労働の賃金
第9章 資本の利益
第10章 業種による労働の賃金と資本の利益の違い
第11章 土地の地代
第2編 資本の性格、蓄積、利用
第1章 資財の分類
第2章 社会の総資本のうち特殊部門としての通貨、すなわち国民資本の維持費
第3章 資本の蓄積と、生産的労働と非生産的労働
第4章 利付きで貸し出される資本 ほか

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Posted by ブクログ

【メモ】
第5章
商品の真の価格と名目価格、労働価格と貨幣価格

人が豊かだとか貧しいとかいうとき、どれだけものを手に入れる力があるのかを意味する

どれだけの量の他人の労働を支配可能か

※分業の確立に伴い自分の労働で生産可能なのはごく一部となる(他人の労働の成果)



労働力→ ←労働力
労働力→ モノ ⇆ モノ ←労働力
労働力→ 交換 ←労働力

(支配・購入出来る労働力の量)

労働が真の尺度


"労働"こそが当初の対価、本来の通貨
(唯一普遍的)かつ(唯一正確)
※世界の全ての富は元来、労働により獲得
×金 ×銀 ではない

トマス・ホッブス『リヴァイアサン』

富の所有=購買力(富の大小は購買力に比例)

(変動しない)
真の価格:労働に対して支払われる生活必需品と利便品の量

(変動する)
名目価格=金銭の量



商品 ー (労働量) (通貨)
⇅ 一定 ⇅ 不安定
商品 ー (労働量) (通過)



労働だけは価値が変化しない=最終的な比較手段

※ 地代 ー(穀物)安定
ー(金・銀)不安定


商品の種類・時期は場所の違いを超え比較可能








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2023年05月12日

Posted by ブクログ

学生時代になんとなく習った気がするけど、よく思い出せない代表例がアダム・スミス『国富論』であろう。国富論といえば「神の見えざる手」という表現が有名であり、マーケットメカニズムよって国民が欲するあらゆるサービスが提供されるので、国家の権限は治安維持や国防、司法に限定すべきであるといった新自由主義的文脈に援用されることが多い。

しかし、アダム・スミスはそんなことは一言も言っていない。自由放任主義によって個人の利己的な行動が市場の調整機能によって全体の経済を豊かにするという内容は出てくるものの、むしろ主題にしているのは道徳経済論という理性や責任に基づいた経済活動の重要性である。

そしてこのような古典がどうしてこれまで頭に入ってこなかったのかといえば、翻訳が大仰かつ回りくどかったからであろう。その意味において、この新約は口語体で分かりやすく、読み進めやすくなっている。労働、分業、商品、貨幣、資本、土地、利子、税といった現代の経済を取り巻く諸要素を体系的に理解する上で、まったく古びていない内容である。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

著者は冒頭で生活の必需品、利便品ともに労働によって生み出されることを主張している。また労働の生産性を飛躍的に向上してきたのは分業の結果といい、それと関連して、通貨の起源、普及の過程について語る。

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2025年05月04日

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