【感想・ネタバレ】【文庫版】家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった+かきたしのレビュー

あらすじ

笑えて泣ける岸田家の日々のこと

大反響を呼んだ単行本
『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』が、
ついに文庫化しました!
かきたし原稿「表紙の絵の味」と、
作家・一穂ミチさんの解説でパワーアップ!

真夏の甲子園でホットコーヒーの売り子をしたり、
試着に1時間かかるブラジャーを買ったりと、
なぜか日々おもしろいことが起きてしまう作家・岸田奈美がつづる、
情報過多の日々のこと。

大丈夫な家族と、大丈夫じゃない日々を、
疾走感あふれるリズミカルな文章で、
軽やかにユーモラスにとびこえる。

“弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった”
“母に「死んでもいいよ」といった日”
など傑作エッセイを多数収録。

【編集担当からのおすすめ情報】
岸田奈美さんの初の単行本が2年半ぶりに文庫化します。
この2年半の間に、岸田家にはいろんなことがあったと思います。
そんな岸田さんの2年半の思いは、
「文庫あとがき(おかわり)」でたっぷり語られています。
また、かきたし原稿「表紙の絵の味」では、
岸田さんが手がけた表紙のイラストについて、
装丁家・祖父江慎さんとのやりとりの裏話が。
そして、必見なのは作家・一穂ミチさんの「解説」です。
解説では、私、思わず涙がこぼれました。
ひと味ちがう岸田奈美ワールドをぜひご一読ください。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

たくさん、たくさん心が泣いた。
でも、読んで前向きになる本。
知らんけど。

何回読んでも、涙が出るところ。一つだけ抜粋する。


母に「死んでもいいよ」といった日

(略)

P.61
 楽しみにしていたお店は、ぜんぶ階段があったり 通路がせまかったりして 車いすでは入ることができなかった。歩いていたときは、こんなの気づかなかったのに。
さんざん歩きまわったら、身も心もへトへトになった。ようやく入れるカフェを見つけ、席についてパスタとジュースを注文すると、途端に母は泣き出してしまった。
「ママと一緒にいたら大変やんね。迷惑かけてごめん」
「そんなことないで」
「あのね、ママね、ずっと奈美ちゃんにいえなかったことがあるねん」
なんとなく いいたいことはわかっていた。
「ほんまは生きてることがつらい。ずっと死にたいって思ってた」
 あんなに優しくて明るかった母が、わたしの前で泣いた。母の涙を最後に見たのは、父のお葬式だ。知人から「つらいと思うけど、母親のあなたが泣いたら子どもたちが不安になるから、見えるところでは泣かないで」といわれたことを、律儀に守っていた母だ。
「そんなこといわないで」「死なないで」そういう言葉は、ひとつも口をついてこなかった。わかっていた。そんな言葉がなんの力にもならないほど、母が絶望していることを。

 わたしは、運ばれてきたパスタをパクパク食べながらいった。なにかしてと、わたしの方が泣いてしまいそうだった
「ママ、死にたいなら、死んでもいいよ」
 母はびっくりしたように、わたしを見る。
「死ぬよりつらい思いしてるん、わたしは知ってる」
 母を追いつめたのは、手術同意書にサインしたのはわたしだ。わたしが母の死にたいという気持ちを、否定してはだめだ。
 そう思って、いった。でも情けないことに、母の顔を見ていると「やっぱり死んでほしくない」というわたしの本音もわき上がってくる。
 パスタを食べながら、続けた。
「もう少しだけわたしに時間をちょうだい。ママが、生きててよかったって思えるように、なんとかするから」
「なんとかって⋯⋯」
「大丈夫」
 でまかせだった。不安そうな母に、わたしは笑っていった。
「2億パーセント、大丈夫!」

(略)

0
2024年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

misachi68さんのレビューで、文庫化されたことを知りました。ありがとうございます。

とても面白くて泣けるエッセイでした。



以下「はじめに」の部分を要約して引用しますので、これから読まれる方はお気をつけください。








岸田奈美さんは父、母、弟、奈美さんの四人家族でした。
でも中学二年生の時
「パパなんか死んでしまえ」と言ってしまったその夜、お父様は急性心筋梗塞で病院に運ばれ、意識不明になられ2週間後亡くなられてしまいます。
いちばん大好きなお父様との最期の会話がいちばん伝えたくなかった言葉になってしまったそうです。
「パパは救急車に乗るとき、何回も言っていた。『奈美ちゃんは大丈夫や』『奈美ちゃんはオレに似とる』『だから絶対に大丈夫や』」って。たぶん、もう自分が助からなんってわかってたんやろうね」とお母様がおっしゃったそうです。

ある日ぜんぜん大丈夫じゃない奈美さんにお母様からお父様の日記が送られてきたそうです。
その日記には
「だれか、僕が住む街の小説を書いてほしい」と書かれていて、そのだれかというのはわたしのことだと思った奈美さんは書き始めたそうです。

奈美さんのご家族はお母様は車いす生活で弟さんはダウン症だそうです。


それでも奈美さんは負けずにがんばられた家族思いの奈美さんの笑いと涙のエッセイです。

0
2025年01月30日

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