あらすじ
店を持たず、勤め先も持たず、客先に出向き、求めに応じて食事を提供する流しの料理人・剣。その正体は、古い包丁があやかしとなった付喪神だった。ある雪の日、剣は道端に倒れていた人間の少女を見つける。その子は薄汚れ痩せこけていて、名前や親について尋ねても、「知らない」「わからない」と繰り返すのみ。何やら悲しい過去を持つ少女を放っておけず、剣は自分で育てることを決意する――あやかし父さんの美味しくて温かい料理が、少女の傷ついた心を解いていく。ひとつ屋根の下で繰り広げられる、ちょっぴり不思議な父娘の物語。
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Posted by ブクログ
料理人たちが代々使う包丁に宿った魂が具現化し、人間として現世に現れた付喪神「剣」。彼は人々に料理を振る舞うことで、多くの人々を幸せにしてきた。
その過程で、食べることの楽しさや幸せ、愛を育んでいく様がしっかりと描かれていました。読んでいてとても心が温かくなりました。
学校や仕事などで体や心を疲弊している現代人にとって、実家に帰ってきたような安心感を与えてくれる今作品は、とても素晴らしいと思います。
冷凍食品などで何でも簡単に作れる現代だからこそ、手間暇かけて作る一食一食が貴重でかけがえのないものになっていく。お腹を満たすだけでなく、心を満たすものへと変わっていく。そんなことを考えさせてくれる話でした。とても心温まる読書時間でした。
付喪神?
包丁の、付喪神と、元天狗と彼の使う管狐達が出てくるのだけれど、あやかしっぽい所は、まるで無くて、行き場の無い子供を拾って、面倒を見るという、ひたすら人情味溢れる話だった。この話も、悪くは無かったが、元の主との話が、もっと読みたかったかな。
Posted by ブクログ
出張料理人で人ではない付喪神は
子供を拾ってしまった。
警察に届けられないですが、踏み込まれたら
かなり危ない存在を拾って大丈夫なのか。
と思ったのですが、まぁどうにか??
子供の今までの生活がかなり…ですが
拾われてから、平和に淡々とのんびりと。
心すり減らず、美味しい気持ちで読めます。