【感想・ネタバレ】真夜中のたずねびと(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

言葉を失った震災孤児の少女アキ。空き家を転々とする中で、彼女は占い師の老婆と出会い、共に暮らすことに。少女を「天使」と呼ぶ老婆は言った――ある岩穴に封印したそれをとってきて欲しい、と。探し辿り着いた場所で、アキは死者の声を聞く……。平穏な日々を突如として切り裂く、災害、事故、そして底知れぬ悪意。人探しの探偵へと成長したアキに導かれ、真夜中に呑まれた者たちの現代奇譚。(解説・朝宮運河)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ゆらりと繋がる短編5作品。少し不思議な要素はあるけれど、どちらかというと現実的な内容だった。話がどこに向かうのかわからない不安があった。
理不尽な目に遭っていたり、逃れようのない不幸に見舞われている人たちを見ているのは苦しかった。災害や事故や家族の問題など、自分ではどうにも回避できないことが世の中にはあるし、それで人生の道すじが決まってしまうこともある。後ろ暗い部分を抱えてひとり彷徨っている様子は、自由でサッパリとしていて究極の孤独だった。
悲観的な雰囲気ではないものの、あまりに不幸なのでもっとほかの人生があったのではないかと考えると気の毒になる。でもこの人々の世界はどこかで繋がっているのだと感じられて、それがささやかな慰めになった。みんなきっとどこかで強く生きている、と思えることは心強い。
もう見つかることのない家族の姿を捜していたアキが人捜しを職にしたことは、もうアキの生き様すべてな気がして胸が締め付けられた。

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2024年11月08日

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