【感想・ネタバレ】毒をもって僕らはのレビュー

あらすじ

高校生の木島道歩は、尿路結石で入院していた病院で16歳の誕生日を迎えた。またみんなに馬鹿にされる……。そんな木島に「ねえ、君にお願いがあるんだ」と声をかけてきたのは、不治の病とたたかう綿野という少女だった。「この世界の、薄汚い、不幸せなことを私に教えてくれないか。もっと、もっと、もっと」――。二人は「生きる証」を打ち立てようと、嘲笑と裏切りを突き抜けて進んでいく。第11回ポプラ社小説新人賞受賞作。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

高校デビューでコケた木島道歩はさらにGW前に尿路結石で倒れて入院、退院後ソッコー病名バレし、クラスの笑い者になり、そのままいじめルートに乗る。しかし入院した病院で余命宣告を超えてかろうじて生きている同じ年の綿野詩織と出会う。綿野は外の世界が生きる価値のないくらい汚いものだと教えてくれと木島に頼む。任しとけ。不幸ネタはバッチリだ。
壮絶なイジメや最低の学力、停学処分、母親の早世、親の進学強制などなどこれでもかと出てくる。そこに極楽鳥花のいびつな美しさと若者特有のきらめきと目前の死が絡み合い、笑わせるようなやっぱり泣けるような絶妙な面白さ。ポプラ社のカタログで見かけて気になり、読んだが、大当たりだった。この痛さ満載の小説は結構子どもたちに受けいれられそう。
面白かったものの、主人公面白いことできるくせに要領悪すぎなので、共感度は微妙に低め。あと、友人知人が凡人超えてるヤツ多すぎ。
読む前に極楽鳥花知らない人はググっておきましょう。あと、ルビは少ないけど読めれば小学校高学年~。通常は中学校以上枠だと思います。未成年タバコや無免許運転など法令違反記述あり。気になる人は小学校アウトかな。

0
2023年09月18日

Posted by ブクログ

古くは”世界の中心で、愛を叫ぶ”や、近年だと”君の膵臓をたべたい”のようの、最期を前提としているボーイミーツガールな物語でした。
主人公の少年、道歩の辛くも折れない行き方と、絶望感のある人生を抱えながらも生きている少女、綿野、この2人の交流が切なく、美しく、そして儚い、何とも表現しがたい青春ストーリーでした。
物語中、道歩は、この世界には、物語のような青春ストーリーは存在しないと言い放ちましたが、2人はだれから観ても生きていた時間、そして出会っていた時間は素晴らしい時間だったと思います。
色のない道歩の人生に、鮮やかにしたのは儚い時間でしかなかったものの、間違いなく綿野だったのではないかなと思いました。

0
2023年05月28日

Posted by ブクログ

読みやすく、主人公達の会話が予想できず最後まで面白かったが、同世代からすると少しやり過ぎではないかと思ってしまう気持ちもあるので、少し外れた年代が読んだ方が面白い気もした。

0
2023年09月18日

Posted by ブクログ

難病に罹って彼女が亡くなる話。
よくあるパターンであるが、楽しめた。
彼氏の友達だけが少しグラついて重要な脇役を果たせてない。残念。

0
2023年06月02日

Posted by ブクログ

結石の男子高校生が病院で難病の少女と出会う話……こう書くとなんじゃこりゃ?って感じだけど変にドラマドラマしていないのが妙にリアルで登場人物たちが身近に感じたよ。皆色々抱えて生きているんだね。なんか人間って愛おしいな……と思わせてくれるお話だったよ

0
2023年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初の数ページで「忍耐のない読書が楽しめる」という確信に至る軽妙なリズムと文字触り。
なんと、デビュー作!
ありがたい装備済み納品だが、完全に包んじゃっててカバー外したとこが読めない…慎重に切り裂いて読める形で再装備予定。

尿路結石で高校デビューに失敗した道歩と、余命わずかな綿野。
そして道歩の愉怪な同級生たちによる「生きる」ことの意味を問いかける自省促進小説。

テーマとしては激重なんですが、ツッコんでいいのか悩む塩梅のボケと自虐。
そして主人公であるにも関わらず、やたら冷たい扱いを受ける道歩とそんな自分を俯瞰で語る不思議な笑い。不思議と深刻さとか切実な悲哀みたいな空気は薄くて。

でも人間、己の精神と現状の切り離しには限界があるもので……本来ならとっくに限界を超えていた道歩も、綿野の要求によって立っていることができていたんでしょうね。
夜のトイレのくだりなんか、終わりの見えない地獄を生きることの苦しみはどっしりとした質量をもっていて……「余命宣告」が片側に載った天秤をしっかり揺らしていたように思います。

生きたいのに死ぬひと。
生きることに耐えられず死を選ぶひと。
道歩がその道を選択肢として用意しなかった以上、この物語の芯はそこの比較ではなくて、あくまで2人の関係性を辿るもの。
とわかりつつも、綿野と道歩の境遇を並べるとどうしても考えてしまいます。

リアルでいじめを苦に命を断つひと。
そのニュースを見て「生きたくても生きられない人がいるのに」というひと。
「生きること」の意味なんて人によって違うし、境遇や状況によって「いのち」の主観的な重さと「死」の位置付けはいくらだって変わる。
生きたいのに生きられないから、生きる価値を掻き消して欲しいとねだった綿野。
「生きること」の意味を希薄にしたいんだという言葉を信じて自分の不幸を差し出す道歩。
俯瞰で見ると、そんな彼の存在は綿野にとってこの世への最大の未練になってしまったように見える。
でも、さらに遠くから眺めてみると、道歩が極楽鳥花の彼だと知っていた綿野は、すでに中2のあのときから「生きること」の中に自分だけの光を見出していて、生への渇望は芽生えてしまっていたんでしょうね。

すごく歪な関係だし、完全に理解することなんて不可能な世界だけど、なんか「明日もとりあえず頑張るか」って思う読後感でした。

ポップを花火バックの黒傘下の2人にするか、ひまわり畑の綿野にするか悩むなー。




0
2024年07月07日

Posted by ブクログ

歌みたいな、不思議な文体の小説。
途中まで綿野の余命に現実感が持てなかったけど、最後にリアルな喪失感を感じた。映画にしてみて欲しい。

0
2024年06月05日

Posted by ブクログ

第11回ポプラ社小説新人賞受賞作。

尿路結石で入院していた病院で16歳の誕生日を迎えた高校生の木島が出逢ったのは、余命いくばくもない少女・綿野詩織。

期待に胸膨らませていた高校生活は尿路結石で無残に打ち砕かれ、いじめの対象となる木島。
少女に「この世界の薄汚い不幸せな事を私に教えてくれないか。」と声を掛けられた事で二人の歪な関係が始まった。

訳ありイケメン男子・斉藤と、親からの重圧で暴走する女子生徒・矢野を巻き込んで、物語はとんでもない方向へ進む。

必死さ故に生まれる余裕のなさと他人へ向く悪意。
強力な毒に遣られた。

0
2023年04月30日

「小説」ランキング