あらすじ
異能の音楽家が綴るエッセイ第二弾
21世紀日本を代表するカルチャー・ヒーローとなった菊地成孔が、1996年から2004年の間に書いたさまざまな領域についてのエッセイ・評論をコンパイルし、その合間に新宿歌舞伎町のホテルで過ごした6日間の記録が挿入される、という形式の異色エッセイ。音楽の、文学の、映画の、セックスの、料理の、言語学の、精神分析の、格闘技の、愛と憎しみと生と死の、憂鬱と官能にまみれたアマルガム。饒舌なトリックスターにしてエレガントアンニュイの司祭、菊地成孔が贈る、『スペインの宇宙食』に続く第二エッセイ集。
「2004年4月23日午前7時30分。
少なくとも今の僕にとって、地球は新宿歌舞伎町を中心に回っている。あらゆる人々の欲望と、悲しみと、快楽と、絶望と希望を、平然と乗せて」(本書より)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
なんでこの本を「読みたい本リスト」に乗せたのか思い出せない。
サッカー本でも読みたい気分だったのか?
タイトルのフットボールとは、歌舞伎町の客引きたちの腕を、アメリカンフットボールの選手のようにひょいひょい躱してゴールする(ホテルに帰る)こと。
サッカーではありませんでした。
で、ジャズや映画や精神分析など、興味はあるけどまったく詳しくない分野の話は、とてつもなく難しかったのです。
言葉の意味は分かるのに、文章になると意味が読み取れない。
零れ落ちた意味をひとつひとつ拾い集めるように読むのは大変でしたが、面白くもありました。
そして、自分でつけた付箋すら、なぜそこに貼ったのかわからなくなるという混乱ぶり。
難しい割には、文章が読みやすかったのが、救いです。
一番面白かったのは、やっぱり書評の章。
ほとんど読んだことない本ばかりだったけど、その本に対する愛が感じられただけで◎。
実は、小説家・菊地秀行の16歳離れた弟なのだそうだ。
だから文章が上手いのかな。
Posted by ブクログ
ワタシが愛聴しているラジオ番組『粋な夜電波』のパーソナリティであるジャズサックス奏者・菊地成孔氏が書いた一冊。
ラジオでは、歌舞伎町在住であるからこそ話せるようなWBO話(悪くてバカで面白いヤツらの話)が最高に面白い。そこで、そんなノリを期待して今回その著書に手を伸ばしてみたのだけれど、その結果は期待以上の面白さだった。ただ、それはWBOなノリが期待以上だったということではなくて、氏の深さ(教養、雑学、経験、など)と文筆家としての才能がよく分かったという意味で期待以上だった。本人曰く「書きとばした」ものばかりとのことで、音楽評、講義録(氏は私塾を開講していて、東大で講義を受け持った経験もある)、対談、小説など多岐にわたる文章は、いい加減と言えばいい加減。でも、そのいい加減度合いが絶妙で楽しく、かつセンスを感じさせる。本当にいい加減な文筆家には、こんな文章は書けないと思う。
ラジオ、本、と来たので、次は氏の演奏をライブで聴いてみたい。
Posted by ブクログ
9年間に書かれた過去の文章と、とそれを回想する9日間のレビューによる構成が妙。時間軸のゆらぎとも呼べる感覚を想起させる。本人にはそんな意図なかったかもしれないけど、これはアイディア勝ちだな。
Posted by ブクログ
散文のまとめに自らがふりかえり、途中途中で解説をつけている。
スピード感や、存在している場所の違う文章たちが
不思議な時間軸を形成しており、そこが面白いところである。
ごはんとふりかけのようなおいしさ。
悲喜こもごも、一緒に食べるとおいしい〜。