【感想・ネタバレ】ワンルームから宇宙をのぞくのレビュー

あらすじ

福岡伸一、大推薦。

顕微鏡の奥のコスモスの花びらを数えてひとり微笑むような、
偏愛的で心温まる全く斬新な科学エッセイ登場。
――福岡伸一(『生物と無生物のあいだ』著者)

ヨシタケシンスケ、山崎直子、絶賛!

探査機のスキマにはさんで
宇宙の誰かに届けたい本、No.1。
――ヨシタケシンスケ(絵本作家)

若手研究者ならではの貴重なエッセイ。
私も共感しきり、初心にかえって心が洗われました!
――山崎直子(宇宙飛行士)


「空を飛ぶこと」に異様な執着を持つ若者は、
宇宙飛行士になることを目指して、
東京大学の航空宇宙工学科へ。
そして、やがてJAXAの門を叩く。

宇宙のなかに、日常がある。
日常のなかに、宇宙がある。

笑っちゃうくらい壮大な宇宙と
手のひらサイズの日常をダイナミックに行き来する
新感覚の宇宙工学エッセイ!

著者待望のデビュー作。


“だからたとえば、宇宙の果てが一体どうなっているのか、
この本は答えることができないと思う。

地球上の生命が何のために生まれたのか、
答えることができないと思う。

どうすれば重力の底から抜け出せるか、
教えてあげられないと思う。

けれど、どこかの誰かの生活の隙間を埋めることはできる。
ちぎって丸めて詰め込んで、ぴたりと寄り添うことはできる。
壊れてしまいそうな時に、ふんわりとその慣性を抱きとめることはできる。

だって、地球は宇宙だから。

地球が宇宙であるように、
このワンルームでの生活はどこかの誰かの生活でもあるはずだから。
この部屋も、隣の部屋も、職員室もロッカールームも、
広大な宇宙と同じ物理法則に支配された一つの空間であるはずだから。”

(本文「はじめに」より)

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

淡々とした文章のなかにふと、熱い感情が表れる。そのバランスが心地よくて読み出したら一気に読んでしまった。まるで深夜ラジオを聞いてるような不思議な感覚のエッセイでした。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

今の自分にマッチして、スーッと入ってきた。
同年代かつ、近い場にいた経験も相まって、共感と発見が多かった。
著者に限らず、同世代の人が何を考えながら生きているのか知りたくなった。

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2023年11月21日

Posted by ブクログ

宇宙工学を研究している人って、エッセイも堅苦しく難しいんでしょ?と思っていました。でも、それは私の偏見であったと思い知らされました。久保さん、Twitterでフォローさせていただいていて、あれだけツイートを読んでいたのに、ごめんなさい。
久保さんの日常や、過去の体験。その中に、宇宙工学のお話が織り混ぜられています。正しくは宇宙工学の中に…なのですが、そんな堅苦しさはありません。でも、一章読み終えると、小さく知識を得られたり、心が動かされたりします。
理系の人は…と書くと、また偏見になりますが、文体はエッセイ。こんなにフラットに、こんなにも久保さんのことを書いてもいいの?と思ってしまいます。でも、その中心は、宇宙。
とても不思議な気分で読み終えて、2巡目の旅に出るところです。
JAXAの人って、お堅いんでしょ?そう思っておられるかた。将来宇宙工学をやってみたいなと思うかた。最近の若い研究者って、どんな生態なんだろう?と思われたかた。広くいろんな人に読んでいただきたいなと思います。

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2023年04月30日

Posted by ブクログ

1993年生まれの著者は、

東大で宇宙工学研究して宇宙飛行士目指していて、

今はJAXA宇宙科学研究所の研究員をされているそうです。

学生のときに書いてきた文章をもとに、本にしたエッセイ。

文字にすること、文章を書くのが好きみたいですね。

文字は光子だ、っていうのは、

最近読んでいる思想と重なる部分がありました。

コロナの時もかぶっていたりするのかな、

テレワークでロケットの打ち上げのシミュレーションとかしてるらしい。

だから自分の部屋、ワンルームの部屋から、宇宙につながっている、

ロマンもあり、夢があり、

そして冒険心の裏にある、

おそろしいことのリストアップはリアルで共感できました。

重量リソースの配分、有限な資源をどう配分するか問題、トレードオフ、の話もまたリアルで。

なんだかすべてつながっているなー、

そして、表現することも勇気だなーと。

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2024年09月16日

Posted by ブクログ

JAXA宇宙科学研究所研究員の方のエッセイ。「危険・オブ・ジョイトイ」で一気に親近感がわく。そうそう、自分の部屋の中では自分が世界の中心のように錯覚するけど、ワンルームを出ると、もう自分は何者でもない。時折言葉の洪水が起こり、心が揺さぶられる。先生と宇宙の技術と軍事の技術いついて話をしているところや、研究所の敷地内で死んでいた鳥の話は悲しくなった。科学は平和のためにあるのに、戦争が始まれば、正反対の目的で使われる。

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2023年12月06日

Posted by ブクログ

う〜ん、、、良かった〜。著者は言葉と発想の天才ではないか? なんか、すっごく、分かる〜って感じ。こんなに心の中を、私が思っている事を書いてくれたんだ〜。そして、全てが優しい。今の世の中に必要なもこですよね!
一世代分、歳は違いますけど、きっと良い友達になれたかも。是非、頑張ってつぎの作品も読ませて下さい。待ってます!

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2023年08月16日

Posted by ブクログ


「宇宙」って子どもの頃は何となく本だったり、学校の授業だったりで接したことがあったけど、大人になるにつれて考えることをやめてしまったもの。でもそれを仕事にしている人がいて、そして同世代の人だった。それだけで1歩分だけ身近に思えた。
宇宙ってそんな遠い世界の話じゃないんだな、と思えた。というか、今自分が存在している(と思っている)"地球"こそ宇宙の一部にすぎなくて、目の前のもの全てが当たり前のように存在しているけど、不思議で、いつ壊れてもおかしくない不安定な空間なのかも、と思うとちょっとだけ怖くなった。
自分が生きている間に宇宙の全てが解明されることはないけど、宇宙について考えることを止めないというバトンを、人類として繋いでいくことは素敵だな。

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2023年06月12日

Posted by ブクログ

『いろいろな説があったようだけれど、自分たちの住む世界が中心であるということに関しては、世界中誰も疑うことがなかったらしい。たぶん、生まれた時ってそうなんだろう。誰もが、自分こそがこの世界の中心であるということを疑わない。きっと、僕もそうだったんだろう。だからこそ、死は途方もなくおそろしいことだった。僕は世界の中心ではなくて、僕が死んでもそんなことには関係なく世界は回り続ける。こんなにも僕の命はかけがえがなくて、なのに、世界にとってはほとんど何の価値もない』―『ワンルームから宇宙をのぞく』

最近の男性ヴォーカルの歌うJ-Popsの歌詞に出て来るような言葉が、時として冗長なくらいに並ぶ。巷に溢れるブログに吐き出される言葉の洪水とよく似たそれらの言葉は、やはりJ-Pops同様に時々哲学的な響きを帯びる。移動しながら耳から聴き取るそんな歌詞の言葉が立ち上げる思考と感情の混合体にも似た文章。きっと最近のJ-Popsを好んで聴く人々にとって、ある意味アンビバレントな言葉はもやもやとした感情に対する一時的な鎮静作用があるのだろう。だから敢えて言うけれど、このエッセイもそんな風に読み流してしまうことも出来る。そして、≪何もかも不条理な世の中で、それでも僕らは生きてゆく、誰にも気付かれなくても、僕は僕の立ち位置をきっと見つけられる≫ と、そんな風に読み換えてしまえばそれきり。多分きっと、著者の言いたいことの根っこにある感情は、例えばOfficial髭男dism(誰もヒゲを生やしていないけど)とかが歌にしている筈だから、それを聴いて少しばかりデトックスしたような気分に浸ることだって出来る筈。でも著者の久保勇貴は書かずにはいられない。それは、もやもやに対する鎮静剤が欲しいからじゃなくて、もやもやの向こう側にあるもっと大きな問題に視線がつい向いてしまうからなんだろう。その大きな問題とは、社会であり、世間であり、だけどきっとカントが考えたように最終的には「自分」という存在の問題。答えを求める道筋は、だから当然、哲学的になってゆく。

科学エッセイ、と紹介されている本書だけれど、例えばスティーヴン・ホーキング博士の「ホーキング、宇宙を語る」のような一冊ではないし、カール・セーガン博士の「コスモス」のような映像作品が意図した科学的啓蒙を本書が訴えている訳でもない。著者のエッセイはもっと個人的な世界(何しろ著者にはワンルームが世界の中心なのだ)のからくりを、誰に宛てるともなく(それがブログというものでしょう?)書き連ねたもの。共感できる(いいね、を押したくなる)文章もあるけれど、科学エッセイと言われると、ちょっとね。

コンピュータでシミュレーションをするようなプログラムを書いていると、キーボードから送り出された命令通り、時に思った通り、時に思いもよらなかった風に、コンピュータが実行して結果を返してくる。自分もプログラムと随分付き合ってきたけれど、キーボードから打った文字が何かを動かす時に感じる「全能感」のようなものって確かにある。魔法の呪文を唱えたみたいな感覚。MS-DOSの時代からパーソナル・コンピュータを使っているせいか、プロンプトからコマンドを実行する方がマウスをクリックするより好きなのだけれど、それはその「全能感」が味わえるというのも理由なんだろうと自己分析する。けれど、その感覚は「天動説」的な世界観とも容易に繋がる。それをまた人口に膾炙した「承認欲求」って言葉でラベリングしてしまうのは少し乱暴だけれど、発想のコペルニクス的転換が、やっぱりどこかで必要になるのじゃないかな、と年寄りは思う。

でもこういう文章を書きたい気持ちはとてもよく解る。だから福岡伸一先生や山崎直子さんが何故推薦するのかも理屈じゃなく理解できるような気もする。自分も昔そんな文章を書いてたこともあるし、今だってこんな読書感想文を書き散らしているのだし。でも、しつこいけれど、これは科学エッセイというよりは、科学者がどんなことを考えているかをナイーヴに綴ったというエッセイだろうね。ちょっと比較の対象としては大袈裟だけれども、例えば、ファインマン先生の自伝的エッセイ(「ご冗談でしょう、ファインマンさん」)とか、寺田寅彦の随筆(「柿の種」など)とか、みたいな? どちらかと言えば寅彦寄りか。それともそれはやっぱり言い過ぎか。もし自分がポップを作るなら「世間で言うところのオタクな研究者に特に響く、J-Pops的エッセイ」という感じで書くかも知れない。

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2023年06月09日

Posted by ブクログ

宇宙工学を研究している筆者のエッセイ
理系大学院卒業で宇宙工学という見慣れない学問をワンルームの自宅で研究をしている。

心地よい言葉選びでコロナ禍というだけではなく、現代社会や学問/研究に対して世間からの眼差しをどのように受け止めるべきか、筆者の過去の経験なども含めて一意見として視点を得られる作品

また詩的な表現も多く、自分自身を見つめ直すこともできる

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2023年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

うーん……「面白い」という感じではなかったかもしれません。アラサーの青年(?)の等身大の思いというか、考えや悩みが書かれていて、それが別につまらないというわけではなく、あまり共感する感じではなかったというか……世代の違いなのかもしれません。

私は穂村弘さんのエッセイが特に好きなのですが、穂村弘さんのエッセイを読んだときに感じる面白さみたいなものをあまり感じませんでした。なんだろう……穂村弘さんのエッセイは奇をてらったような文学的な文章はないのに、言い回しというか表現がとても面白いのですが、この著者のエッセイでは文学的な描写が多々あり、感性が豊かなのだろうなと思う反面、なんだか独自の世界に閉じこもっている感じがして壁を感じたのかも……? そうした距離を感じたままだったので、共感する気持ちよさとか面白さみたいなものを感じられなかったのかも。うーん……世代の違いというのであれば、穂村弘さんともだいぶ世代が違うのですが……私にはめちゃくちゃ面白いんですよねぇ……穂村弘さんのエッセイはどれもこれも(ほぼハズレなしと言っていいほどに)。なぜなのでしょう……

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2025年03月12日

Posted by ブクログ

頭のいい人って想像よりは身近で、思った以上に頭の中で会話していて、予想外にとってもとってもポエティック。そんなエッセイでした。

太陽光圧という、太陽の光が私たちの背中を実際に押してくれている話や、愛のリソースの話が印象的でした。

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2024年03月22日

Posted by ブクログ

子どもの頃からなりたかった宇宙飛行士。その夢を叶えるべく東大へと進む。その夢が叶うといいですねとしみじみ思う。
エッセイは宇宙ものの題材や数学から子ども時代への思い出に繋がったりして面白かったです。

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2023年07月13日

Posted by ブクログ

ワンルームのお布団の中から
一歩も出なくても
居心地の良い自分の世界があって
それも良いな何て思ってしまう。

でもちょっと覗いてみると
ワンルームの小さな隙間から宇宙に繋がっていて
果てしなく広がっていく。

ワンルームも宇宙も
同じ理屈で存在している気がしてくる。

最後のほうはついていけなくなるところもあるけれど

それでも覗いてみてと薦めたくなる本。

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2023年07月13日

Posted by ブクログ

JAXA研究員のエッセイ
軽く読めるが、気取った感じが文字から伝わる。
宇宙での移動の仕方が面白かった

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2023年05月28日

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