あらすじ
奈良時代、光明皇后が聖武天皇遺愛の品々を東大寺大仏に献納したことに始まる正倉院宝物。落雷や台風、源平合戦や戦国時代の兵火、織田信長やGHQなど時の権力者による開扉要求といった、数多くの危機を乗り越えてきた。古墳など土中から出土したのではなく、人々の手で保管されてきた伝世品は世界的にも珍しい。千三百年にわたり宝物を守り伝えてきた正倉院の営みを、保存・修理・調査・模造・公開に分けて紹介する。
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Posted by ブクログ
正倉院展を見に行く前に、予習。
正倉院展THE SHOW(上野の森美術館)でも予習。
正倉院に30年以上勤め、所長にまでなった方が書いた本。
私たちはただ教科書に載っているお宝をいそいそと見に行くだけなのだが、そこに至るまでには大変な苦労があることがよく分かった。
正倉院展THE SHOWで展示物が模造品であることを知ったときに、不遜にも「なーんだ偽物か」などと思ってしまった。しかし、模造品もいわゆる現代の名工がつくった逸品で、お宝であることには変わりない。
技術を継承したり、復活させることも正倉院のしごとだということ。宝物を未来に繋ぐには、モノだけではなく、ヒトも繋がなくてはならない。
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聖武天皇の遣愛品を中心に 9千件 9割が日本で作られたもの
檜製の巨大容器の熱容量で外気の1/10の変化 杉製の辛櫃の調湿
木造建築の調湿効果はない
曝涼と点検 カビと害虫 定期制度化は明治になってから
昭和38年から空調の鉄筋コンクリートの西倉庫へ
勅封 むやみに開けない 鍵の上から紐で縛り封印
修理 江戸時代元禄期から記録あり 復元修理 現在は現状維持修理
絹の寿命は800年 微振動で崩壊
DNA鑑定で動物の種類 X線分析で使用材料 三次元計測からの模造
天然材料の枯渇 人の枯渇
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正倉院のしごと
保存:目と手で曝涼と点検・日本学術会議の提言
修理:元禄・天保・明治、職人による復元修理
調査:壬申検査(文化財の危機から)最新科学検査
模造:再現模造の意義⇒喪失技術の再発見
公開:宝物への負荷を上回る至高の文化財公開の意義