あらすじ
猛然と勇気が湧いてくるベートーヴェンの交響曲第五番、過ぎ去った日々への愛惜をかきたてるブラームスの交響曲第四番――クラシックは、人生の春夏秋冬に寄り添い、心の襞に入り込む。聴くだけでも楽しいが、いくつかのツボを押さえれば無限に深く味わえるクラシックの世界。「西洋音楽三〇〇年の歴史」「楽器とホールの響きの秘密」「名指揮者・演奏家の素顔」など、作曲家・指揮者として活躍し、国際的な音響の脳科学研究プロジェクトも率いる著者がやさしく解説する。クラシック入門の新スタンダード、ここに誕生。どんどん聴きたくなるリスニングガイドつき。
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Posted by ブクログ
大学では物理学を修めた作曲家・指揮者である著者が、「こんなきれいな音楽があるなら…」、「音楽は心を入れる」、「震災後に勇気を沸かせた」とクラシック音楽へいざなう。
難解な数式ではなく、自身にある日突然響いた「弦チェレ」の体験、最初はネット動画のつまみ食いでも良いと敷居が低い。
一方、時代とともに移ろう、建築様式や宗教との関係、楽器の起源や録音技術など、理詰めで納得の行く解説の密度・レベルは高い。
巻末に是非ライブで聞いてほしい12作品とともに、著者の私的な音楽遍歴ともいえる127の推薦作品ガイドが載り、音楽への愛が満載の本。
Posted by ブクログ
素晴らしい!
東大卒の博識の指揮者でもある著者のクラシック入門書。
非常に分かりやすく、音楽に関する幅広い知見の中から面白いエピソードを散りばめています。
著者は東大理学部物理学科を卒業し、東大の大学院で理学系研究、および文化研究博士課程修了。
現在は脳認知生理学に基づく音楽表現の国際基礎研究プロジェクトを推進されておられます。
音楽はその作曲者の意図を理解するならホールで聴くべきだとありました。
正にその通りで、演奏される場所が土壁の教会なのか広い教会なのかによってバッハは曲作りを意図してたという説には非常に感銘を受けました。
ひいては現在の音楽についても言えます。
作曲者の本来の意図を理解するなら、スピーカーで聴くのではなくホールにて残響音や音の出場所を含めて感じるのがよいとしてます。とくに、ワーグナーやマーラーは作曲の創意工夫が音響にあるとのこと。
CDからでしかワーグナー、マーラーは聴いたことがないので、一度ホールで聴いてみたくなりました。
その他、分かりやすく作曲家や歴史についても言及。
自信を持って星五つを付けられる本です。
Posted by ブクログ
クラシックという音楽分野について、違った視点を与えてくれる本です。著者のことは、不勉強で十分理解していなかったのですが(すみません)、感銘を受けました。
Posted by ブクログ
入門とあるが、結構奥深い。教会の建築様式がロマネスクからゴシックに変わったことや、宗教革命によって教会に大勢の人々が入り音が吸収されるようになったためにモノフォニーからポリフォニー(ドイツバロック)へ移行したとか、フランス革命によって芸術がキリスト教から解放され、魔女や妖精を取り入れた物語のある音楽(ロマン派)への移行した、といった歴史的背景は興味深かった。
また、擦弦楽器の中に入っている魂柱やチェロやコンバスのエンドピンが音を響かせる重要な役割を果たしていることや、舞台から効果的に音を聞かせるために様々な工夫がなされていることも知ることができた。
<関心を持った曲>
フランク:交響曲ニ短調
Posted by ブクログ
11.08.08-11.08.13
日経ビジネスの連載や twitter での書込がなかなか面白いので買つた本。著者は、東大の物理学科を出た音楽家といふ、型に嵌らない経歴の持主。
ネット上では本の評価は余り高くないやうだ。話が散漫である、事実関係が不正確である、といふのが主な理由だ。最近のツイートの説教口調が気に入らない、といふ人達もゐるのかも知れない。
特異な経歴の音楽家が自らの音楽観を語つた本で、音楽史学者の著作とは性格が異なる。知識には不正確な部分があるかも知れないが、自らの経験を基礎とした意見には一貫したものがあり、好感が持てる。近代の音楽についての情報が多いのも、バッハ、モーツァルト、ベートーベンくらゐしか聞いたことがない身には有難い。
Posted by ブクログ
昔ピアノでクラシックを弾いてましたという程度の知識で読みました。
クラシックの名前の由来など前半部分は面白く読めたが、だんだん退屈になっていった。
(音楽史には興味が無いのだ)
出てくる人名、曲名ともに聞いたこともないのが多くて読めなくなっていったのだと思う。
有名な曲や作曲家などに興味を持ち、そこから周辺知識を広げていきたいと思った。
文体としては、読みやすいはず。