【感想・ネタバレ】逃亡のレビュー

あらすじ

戦争に圧しつぶされた人間の苦悩を描いた傑作

戦時下の緊迫した海軍航空隊で、若き整備兵が背負った過酷な運命とは?
軍用飛行機をバラせ……その男の言葉に若い整備兵は青ざめた。昭和19年、戦況の悪化にともない、切迫した空気の張りつめる霞ヶ浦海軍航空隊で、苛酷な日々を送る彼は、見知らぬ男の好意を受け入れたばかりに、飛行機を爆破して脱走するという運命を背負う。初期の力作長篇が待望の再登場。
解説・杉山隆男

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Posted by ブクログ

ネタバレ

吉村昭さんの作品は淡々と書かれているので何とも言えない怖さがある。
幸司郎が全て誤った判断で罪を重ねていく前半部分と、その罰から逃れるためにあらゆる思考を巡らす後半とで主人公に対する印象が180度変わる。
戦争の渦中にあって、規律にしばられ倫理的に暴走していく旧日本軍の影響を強く受けた者は冷静な判断ができなくなるという受け取りかたをしました。
そして、逃げてはいるがしかし自由に自分の思考を活かせる環境下で徐々に冷静に人間らしさを取り戻すように感じました。

物語の構成も、第三者の目線から描かれていて、いわばネタバレからスタートしているのがなんとも面白い。

すっきりした読後感ながら、やっぱり「U」の正体、「山田」の正体が気になってしまいます。

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2023年08月23日

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