あらすじ
インカ帝国を頂点とするアンデス文明の興亡の謎に挑む。世界遺産のひとつマチュ・ピチュは、インカ帝国を代表する遺跡である。南米大陸最大の領土を誇ったインカ帝国は、多くの謎とロマンに満ちている。なぜアンデス高地という数千メートルもの高地にマチュ・ピチュはつくられたのか。この石造建築にみる驚異の石積み技術と、山を切り開くようにつくられた壮大な階段耕地は、訪れた世界の見学者を驚かせている。さらに、この地域は「栽培植物の宝庫」であり、ここを原産として世界に広がった作物はジャガイモやトマトやタバコや綿など、数十種にものぼる。そもそも、インカ帝国はなぜ突然に拡大発展し、急に滅びていったのか。40年余りにわたり、この地を調査してきた民族学者である著者は、インカ帝国を滅ぼしたスペインたちの文献と、自らの調査結果から、インカの先住民たちの精神世界に思いを馳せる。スペイン人たちが異端とみなした、「異形の神々」ワカ信仰こそが多くの謎を解く鍵であると確信し、本書を著す。
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Posted by ブクログ
地理・農業・民族から見るインカ分析。異形信仰が多様な垂直農業と関連したのではないかという説が面白い。紀元前アンデスからインカまでのダイジェストもありがたい。
Posted by ブクログ
ここ最近、インカ帝国物をいろいろと読んでみる中、今年刊行されたものだったので、新しい見解や発見に触れることができるのでは?と思い、読み始めた1冊。
タイトルには“その謎に挑む”とあり、勝手に“血沸き肉踊る”的な謎を知ることができるのかと期待していたが、民族学見地から長年アンデスの農業文化を研究されてきた著者だけあって、アンデス文明を支えた2大食物、ジャガイモととうもろこしに特化し、高度な農耕文化(高度な農業技術)-どうやら、これらが謎であるらしい-について、非常に丁寧に書かれている。
なるほど!と思うことも多かったが、専門家がまじめに書かれているので、やや教科書的な印象は否めない。
インカ帝国についてもっと知りたい!とか、ペルーに行くのでひととおりガイドブックを読んでみたけれど、もっと何か知りたい!という人には、必読の1冊。
インカ帝国についてまだ何の知識もないけど知りたい!という超初心者には全くおすすめできない1冊。超初心者なら、NHKの「失われた文明インカ」をおすすめ。