【感想・ネタバレ】真珠とダイヤモンド 下のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

下巻の表紙は伊東水矢子、後に伊東みやこと改名。
バブルでアゲアゲの風潮に流されず、証券会社の事務員として小金をためて、念願の大学受験を機に上京します。が、行きたかった大学には落ちてしまい、偏差値の低い女子大に、不本意ながら通う日々。カツカツの生活の中で、知り合った占い師の下で助手兼家政婦として働くことになったみやこですが、果たして。

虚飾の果てって、サブタイトルみたいについてますが、登場人物たちは虚飾なんて自覚、無かったと思うんですよね。どうしたいのか、自分でもわかってなかっただけ。望月の方は富裕層のプライベートバンカーになって、海外に住みたいという夢はあるのですが、理由というか動機がいまいち曖昧。だからなのか、限度をわきまえずに、突っ走って、かなりヤバいことまで手を染めてしまう。佳那は佳那で、仕事をしたい気持ちも持ちつつも、浪費に明け暮れる日々。多忙を極める望月と、いっしょに過ごす時間もなかなか持てないままに。

佳那は望月の掌中の珠、だけど薄汚れた真珠。
みやこは固い信念をもって自活していましたが、輝けないダイヤモンド。

望月は山鼻から託された運用に失敗し、海外に飛び損ねて殺されてしまうのです。
運悪く戻ってきた佳那と共に。マンションから飛び降りて。
みやこは、うまく立ち回って小金を残せたのですが、母の借金を肩代わりしてから、ジリ貧になり、最後はホームレスにまで落ちぶれてしまいます。
極寒の中、死に瀕したみやこの元に現れる佳那。死んで、もういないはずの佳那。

面白く楽しめたんですが、いまひとつ物足りない思いが残ります。
装丁の雰囲気の影響もあるのでしょうが、なんか昔のフジtvの昼ドラみたいな印象。
みやこも佳那も、にこと同年代の設定なので。妙な親近感覚えます。
あり得たかもしれない、別の人生。本を読む醍醐味ですな。

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2023年12月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

終わり方が結構好きだった。
なるほど、上巻の冒頭はそうゆうことだったのかと、メリーバッドエンド。
完全なバッドではない気がする。
騒ぐだけ騒いで散るのだから、人生を謳歌したともいえて、そういう意味ではハッピー?

上巻は読み始めたら先が気になるドラマ感覚だったが、下巻ではヤクザやホストも登場してブランド品を豪遊するなど派手になってきて、展開が目まぐるしく面白かった。

終わり方もハッピーではないがきっちり終わったので、まぁこんな終わり方もいいじゃない、という割とすっきりした読後感だった。


↓ネタバレ



上巻では須藤の存在が強かったが、下巻になると忘れた頃にチラッと出たくらいだった。(それも、姉の住所を望月が教えた件の暴露)
下巻ではヤクザ・山鼻の存在が強く、さらにその愛人・美蘭が佳那の新しい友人として絡んでくる。
水矢子は志望校に落ち、第三志望の女子大に通うも、周りは自分より若いし金持ちのお嬢様が多く馴染めず。第三志望に通うというのが妙にリアルでその惨めさは共感するのだが、周りが自分より若かったりお嬢様が多いのは入学前から分かっていたことだしな、と突っ込みたくなる。
そして占い師と出会い、名前に水があるから駄目なのだと平仮名のみやこに改名し、住まいにしていた安アパート住民の男子大学生に付き纏われて嫌になり、占い師のアシスタントとして住み込む。これも極端なことしてるなと突っ込みたい。
望月と佳那は豪遊するも、バブルの終わりで大損失を出した客に追われ、中でも山鼻に殺されかねないと奔走。美蘭も(佳那もたまに一緒に行っていたが)隠れてホストで豪遊したおり、始末されていた。ここらで須藤も久々に登場し、佳那に望月が姉の住所を教えた旨を暴露。(姉の住所や、姉の職場である病院に脅迫をするヤクザを送り付けた)望月にあんたのせいで仲が良かった姉との関係が壊れたと訴える。(嫌がらせの後、母と佳那にしか住所を教えていなかったので佳那が漏らしたのではと怪しみ、以来引越ししたらしいが連絡を一切断つ。母とは連絡しているものの、佳那には電話番号を教えるなと事情を話しているらしい。姉はレントゲン技師と不倫をしていたことあり、潔癖な望月は不倫女が嫌いなので須藤に教えた。)
亀田という株のカリスマも失敗。その秘書的役割だった川村は望月を通してみやこと繋がっていたが、みやこは男に興味が持てず、川村は占い師と付き合っていた。亀田の失敗で尻拭いにまわる川村だったが、占い師も亀田に掛けていたので大損し、川村に酔った勢いもあり死んで償えと言い放つと、そうですね、と、その夜電車に轢かれて死んだ。
望月と佳那も山鼻に見つかり、ビルから飛び降り心中。
そんな3人の死を知ったみなこはショックを受けるが、間もなく母も亡くなり、実は800万の借金があり、勝手に保証人として兄と自分の名が使われていたことを知る。兄と折半して返済することになる。兄は兄で家庭があり、相当苦しかったはずだが葬式でその話をして以来、連絡はしない。みなこはバブル後の不景気で3年やそこらで首を切られることが増え、50を過ぎると事務職も採用自体難しくなり、スーパーの試食や居酒屋で働くも、コロナ禍で解雇。家賃も払えずアパートを追い出される。侘しくビスケットをかじって水道水を飲みながら、寒空の下、死んだはずの佳那の証券会社の頃の姿を見て、どうしてこうなったのか経緯を語り、佳那のすすめで、佳那の元に行くのだった。

一生輝かないダイヤモンドの水矢子と、
濁った真珠の佳那。

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2024年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上下巻、一気に読んだ。
む、胸糞、、、!
バブルのおかしさを知れたのは良かった。
バブル時代に生きてなくて良かった。
これからも堅実に生きよう。

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2024年01月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

バブル期に証券会社に入社し出会った3人の男女をめぐる物語の後編。
佳那と望月の最期は残念でしたが、じゃあどうなればよかったかというと…こうなるしかなかったのかな…と思いました。

前編で登場した美穂の活躍やその後(自分のお店が出せたのか…とか)を見たかったので、製薬会社の株を売りそびれた…というちょい登場しかなかったのが少し残念でした。

反対に、後編から登場し、出る幕の多かった美蘭は、はじめは山鼻の手先とか危険な存在かと思いきや、佳那のいい(…とは言い切れないけれど)友達になってくれてよかったです。
その分、最後どうなったのかは怖すぎましたが…。

エピローグで水矢子がコロナによって職を失ったことがわかりましたが、この描写によって、お金のしがらみは今もバブル期も変わりはない事実を突きつけられたように思いました。

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2023年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本当の意味で弾けてしまうとは…。
お金の魔力って本当に怖い。煌びやかで派手な遊び、美味しい食べ物、持ち上げてくる周囲の大人、見たことのない世界はそりゃあ楽しい。望月と佳那が根性出して頑張っていたのは虚構じゃないし、若くして死んでしまったのはやるせなかった。清廉潔白ではないけれど、あんな最期を迎える程のことをしたのかな、と思ってしまうよ。分相応ってなんか嫌な言葉でもある。須藤とか山鼻みたいな傲慢な奴が生き残るのかあ。時代に乗って駆け上がりすぎた分、お金=それ以外は無価値、という単純な価値観に浸かりすぎて、思考停止してしまって、札束に酔っていた。
水矢子に関しては、可哀想としか…最後に求めていた佳那の幻を見て誘われたのか、ベンチで夢から醒めるのか。借金ダメ絶対、と強く戒めてくれる本。面白かった。

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2023年11月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

下巻は一転、東京に出て来た3人の話なのだが、う〜ん、期待していた展開とは違ったかな。
佳那って、もっと突き進んでいく性格に思えたのに、東京での贅沢三昧を溺れるように楽しむ毎日。
望月も、危なげなく仕事を回して急降下。
2人の心の繋がりは、やっとラストに差し掛かったところで描かれるけど、そんなものなのかな。
水矢子には幸せになって欲しかったけど、それさえも許されないのはバブルという設定だからなのか。
せめてもの救いは最期に佳那が来てくれたこと。切ない……

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2024年01月05日

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