あらすじ
人は時折、勇気を試される。
落下する子供を、間一髪で抱きとめた男。
その姿に鼓舞された少年は、年月を経て、今度は自分が試される場面に立つ。
勇気と臆病が連鎖し、絡み合って歴史は作られ、小さな決断がドミノを倒すきっかけをつくる。
三つの物語を繋ぐものは何か。
読み解いた先に、ある世界が浮かび上がる。
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Posted by ブクログ
元は別々の短編であったものを、再編して一つの緩やかな流れを共有する物語とした、と解説を読み、腑に落ちた。「密使」でのSF的なストーリーの繋げ方は個人的にはちょっと違和感あるものの、個人の持つ勇気というか決意、のようなものは通底しているし。
伊坂先生の作品はまだそれほど読んでいないのだが、「魔王」や、中村文則先生の本は、時々、個人の意志を押しつぶし、ないしは、ほんの少しだけ曲げて、誰かや何かの都合の良いように変えようとする力が書かれているように思う。
無力な、あるいはほとんど無力な個人が、それでもなお、と決意する事が勇気であるなら、それを見た人が、誰が一人でも、自分も決意しよう、と思うのなら。世の中は結局、そうでしか変わらないのかも。作中にチャップリンのセリフもあるけれど、加えてStingの「人は集団だと狂気に陥るけれども、一人ずつしか正気に戻ることは出来ない」と言うのも思い出させる。
勇気は伝染する、というのはいい言葉だなあ。モダンタイムスも読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
初めての伊坂幸太郎作品。
全体的にメタ目線な本文と、細かく分かれた章ごとに切り替わる点において脳が置いていかれてしまい、この著書に慣れるのには時間がかかりそう。
ただ、この三つの短編をひとつの作品として出す上で著書としては 少し手を加えた 匙加減で成し得たというのが凄すぎる。
そんな天才的な筆と独特なセンスにファンが多いのも納得。
映画監督でいうクリストファーノーランっぽさを感じた。
現段階では好きとはまだ言えないけど、何作品か読んで慣れていきたいな〜
"私はあの時に学んだ。落ち着いていれば、どうにかなるものだ。"
こんなセリフでふと思い出したのは
小学生の頃、当時から忘れ物が多くてよく掃除時間に使う白い三角巾を忘れいた。担任に見つかるとチェックをつけられて通知表に反映される(記憶が正しければ)ため、忘れた日には逃げ回っては見つかって怒られたものだった。
ある日、三角巾を忘れた日にふと思いついて逃げ回ることはせず三角巾なしで当たり前のように受け持ちの場の掃除を友達と談笑してやっていると、なんと担任は忘れ物の存在に気が付かなかった。ここで私はこの学びを得た。
その後、昼休みによくやっていた隠れんぼでも私がよくやるようになった小技は 隠れない ことだった。敢えて机で昼寝をしているフリをしていた。鬼は 隠れている人 を探しているからその小技がバレるまではしばらく捕まることはなかった
Posted by ブクログ
「3部作」であって短編集ではないこととサッカーメインの話ではないことは事前情報として持っててもいいかと思います。一気読み推奨。
全体像としては複雑な設定に感じた……というか要所が(伊坂作品の中では比較的)一読じゃ気付きにくい気がする。
本来の違う場面同士が徐々に繋がっていく伊坂さんの手癖的?だったものを変えたのか、一場面ごとに一部二部三部と順序付けして〜って方式にしたのは多分何か作者のチャレンジも兼ねてたのかな。前後の整合性を取ろうとしたばかりに分かりづらい叙述が発生したのかなと想像します。想像です。
時間スリみたいなしょうもない能力の設定は好きでさすがだなと思いました。
Posted by ブクログ
私たちはどうやったらヒーローになれるのか。
PKを決めるサッカー選手、
落ちてきた子どもを受け止めて助けた政治家、
時間を止めてなんの気なく世界を救ってる戦隊役者、
蔓延菌を防ぐために戦う未来人。
三篇の短篇集なので、最後の章に行くまでは、「これってどんな話なんだ…?」とイマイチ掴めなかった。
後半からいよいよ面白くなってきて、最後の章でしっかり繋がってきた!
とはいえ、解説を読まないとなかなか理解が難しいタイムトラベル系。
ゴキブリ計画と時間スリ計画。「これが、こうなる」。これだけじゃなんのことか分からないけど、この2つが相反しているのがとても面白い。幼き大臣のお家にゴキブリが送られなかったら、一万人もの人が犠牲になるところだった、、、
ゴキブリがなんでこんなにすごいのかって、しっかり伏線張られて語られてるところも。
後半で盛り上がる前に、読むのを途中で諦めかけちゃったから、もう一回読み返したら種明かしがわかった状態でもっと楽しめるかなと。
でも、最後の「密使」をもう少し長く読みたかった!ここで二つの世界の繋がりをもっと伏線回収しまくってくれたらよかったな。
勇気は伝染する。
Posted by ブクログ
2回は読みたい本。三中篇からなっており、最後の密使でこの小説の謎が解ける。自分には少し難しかった。
「自分だけでなく、ありとあらゆる人間が、ある日突然に主義や信念を試されるのではないか。誘惑や脅しにより、試される瞬間があるのではないか。」という言葉が出てくる。
僕がこの言葉で感じたことは、
人間は社会の中で生きる生き物だから、一般的な考え方が好まれ、自分勝手な考え方は好ましくないように感じる。でも別に人と違う考え方や主義、信念を持っても良いと思う。その代わり、人と違う考え方というのは孤立しやすいから、その自分の主義、信念を自分でしっかりと保たなくてはいけない。誘惑や脅しがあっても、自分の主義や信念を貫く意思を持つことが、今、個人社会になりつつある世界で楽しく生きれるのではないか。
社会の中で、自分の考えを貫くことは難しい。でも難しいからこそ、自分の主義や信念だけは貫きたい。という矛盾的な考え方に行き着きました。
(個人的な意見です。)