あらすじ
両手の指9本を失いながら“七大陸最高峰単独無酸素”登頂を目指した登山家・栗城史多氏。エベレスト登頂をインターネットで生中継することを掲げ、SNS時代の寵児と称賛を受けた。しかし、8度目の挑戦となった2018年5月21日、滑落死。35歳だった。彼はなぜ凍傷で指を失ったあともエベレストに挑み続けたのか? 最後の挑戦に、登れるはずのない最難関のルートを選んだ理由は何だったのか? 滑落死は本当に事故だったのか? そして、彼は何者だったのか? 謎多き人気クライマーの心の内を、綿密な取材で解き明かした第18回開高健ノンフィクション賞受賞作!
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Posted by ブクログ
2023/3/15 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2023/6/1〜6/8
劇場型登山家?栗城史多氏の取材をしていた河野氏による、栗城氏のノンフィクション。第18回開高健ノンフィクション賞受賞作。
活動当時から栗城氏の名前は知っており、毀誉褒貶の激しい人だなぁ、と思っていたが、こんな人だった(少なくとも河野氏の眼を通しては)んだな、ということがよくわかる。他分野でもこういうタイプの人は居ると思うが、私個人としてはあまり関わりたくない感じの人だと思った(栗城氏もそうであったように、近しい人にはものすごくファンも多いのかもしれないが)。なかなか、考えさせられる内容であった。
Posted by ブクログ
何度も何度も本を読む手が止まった。
心が痛すぎて。
栗城史多氏のことは、北海道出身の若き登山家で、七大陸の最高峰を単独無酸素での登頂を目指していることを、たまたまつけていたラジオで聞いて知っていた。
明るく元気な青年という感じで、少なくとも無口な山男ではなかった。
無酸素にこだわるのは、「酸素ボンベって重いんですよ~」ということだったので、そうなのか、とその時は何も思わず納得した。
その時のラジオは、確かに彼を応援していたはずだ。
数年後、雑誌かネットニュースか何かで見たのは、彼が詐欺師であるという記事だ。
だから逮捕された、という話ではなく、そういう声が多数あがっているという情報。
けれど、大勢の人からお金を集めたとはいえ、実際にエベレストに行っているのなら、詐欺ではないのではないだろうか…と思いながら、その時は終わった。
さらに数年後、彼の訃報がニュースになった。
エベレスト登山なのだから危険なのは承知の上でも、若い人の死は、ショックだった。
彼の死を悼む声と、悼む必要などないという怒りの声とが聞こえてきて、一体何があったのだろうと不思議だった。
この本を読んだら、どちらの声も真実の声なのだと思った。
彼がエベレスト登頂に成功する道はいくつもあった。
単独に、無酸素にこだわらなければ。
そして、登山を基礎からきちんと学んでいたなら。
彼は、体格に恵まれているとはいえず、体力もさほどある方ではなく、登山の技術や知識に至ってはほぼ足りないと言ってよかった。
その彼が、エベレスト以外の6大陸の最高峰の登頂に成功したのはなぜか、というのも知りたいところだが、エベレストはやはり最初から無理だったのだろう。
なのに、「単独無酸素」を旗印にスポンサーを集め、何度も挑戦しては登頂をあきらめて下山してきた。
しかし実は、「単独」であることの解釈、「無酸素」ということの解釈の違いというか、本人はそうだとごり押ししても、登山家の常識から考えると、彼の登山は「単独」でも「無酸素」でもないことになるらしい。
要するに、自分に甘いのだ。
耳の痛い忠告は聞かないから、本当に彼のことを心配していた人たちは徐々に彼から離れてしまう。
目立ちたがりのアイデアマンなので、人の心をつかむのはうまいが、コツコツ何かをしとげることができない性格だった。
だから詐欺師という言われ方になったのだろう。
数々の彼の弱さ、欠点はあるとして。
でも、彼は実際エベレストまで行って、辛い思い、苦しい思いをしながらある程度までは登って行ったのだ。
それだけは、なかったことにはできない。
「夢を叶えましょう」「感動を与えたい」「感動の共有」
語る言葉はポジティブだし、本人もポジティブな人だったらしいけど、私がこの本から受けた印象では孤独な人である。
信頼する人はいたのだろうが、でも、誰にも心を開ききってはいない気がした。
「お金」も「名誉」も欲してはいなかったと思う。
ただ、「賞賛」だけを、人一倍欲していたように見えた。
賞賛を欲する=他人の評価を欲する姿勢では、幸せはなかなかつかめないと思う。
彼は、自分の評価を自分でしなければならなかった。
そうすれば、違った人生を送れたはずだと思うのだが。
Posted by ブクログ
栗城史多、一時夢中でネットを追いかけていたけれど、途中から胡散臭さを感じて離れた。
本当はどうだったんだという疑問にやっぱりなと納得できたと同時に、彼の取り巻きはそれを知っていて、ウソを真実かの如く発信していたと想うとさらに腹立たしい。
そう非難されるたくないから取り巻きはすべからく取材拒否。まったくだ。