【感想・ネタバレ】野草がハーブやスパイスに変わるときのレビュー

あらすじ

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新時代の野草活用バイブル登場!

野草研究家でハーブ王子とも呼ばれる山下智道さんが、日本各地を巡り、さまざまな植物や地域の人や文化との出会いもとに、まったく新しい日本の植物を活用したハーブ・スパイスを一冊にまとめました。
こんな植物のこんな利用!?
そんな驚きがいっぱいです。食べ方だけでなく、日々の暮らしに活用できるさまざまな楽しみ方を伝授します。

身近に生えている野草や樹木を中心に海藻やキノコも加えた94種類を紹介。

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Posted by ブクログ

 著者は、野草研究家、野草デザイナー、シャーマンハーブジャーナリストの肩書きを持ち、長年野草に興味を抱き、その調査を重ねてきた。祖父が生薬、漢方愛好家、父親が登山家という環境にあった。本書に出会ったことで、「雑草」という呼称よりも「野草」という表現の方がより正確であると感じられるようになった。

 本書の主旨は、野草・ハーブ・スパイスという概念を横断しながら、植物と人間の関係性、そして野草の価値の再発見をテーマとしている。普段「雑草」と呼び排除している植物も、実は野草であり、その中でも特に豊かな効能や利用価値を持つ「ハーブ」や「スパイス」と呼ばれるものであると提示されている。「雑草」という呼び名は人間の都合によるものであり、それをより本質的な「野草」という言葉に置き換え、さらにそれらがハーブ・スパイスへと変わっていく過程を説いている。

 野草がやがてハーブやスパイスとして活用されていく背景には、人間が植物の薬効や風味を発見し、それを栽培・利用してきた歴史があることが示唆される。古代においては、医師と植物学者の境界はなく、一体となって植物の知識を深めていたことも指摘される。

 単なる植物紹介にとどまらず、本書は地域ごとの食文化や薬草の知識、アロマテラピーなど、多様な利用法とその文化的背景に光を当てている。これにより、植物と人間の関係性の再構築と、持続可能な暮らしの提案を行っている。野草の再評価を通じて、自然とのつながりを取り戻し、自らの足元にある豊かな資源を活用することで、より健康的で持続可能な社会の実現を促している。

 ハーブ(Herbs)の定義は、薬用、香料、食用(風味付け)、芳香、美容など、多目的に利用される植物の総称である。一方、スパイス(Spices)とは、主に食物の風味付けや香り付け、保存を目的として、植物の種子、果実、根、樹皮、つぼみなどの特定の部位を乾燥させて利用するものである。スパイスは熱帯地域原産のものが多く、強い香気成分や辛味成分を持つことが特徴である。料理における風味付けの要素として重要な役割を果たし、大航海時代にアジアを目指した探検の旅も、スパイスを求める目的の一つであった。

 野草とハーブ、スパイスの概念には明確な境界があるわけではない。ただし、毒草に関しては注意を要するが、逆にそれさえも創意工夫と知恵によって利用されてきたことも事実である。

 本書は特に、「和ハーブ」の検討に特色を持つ。日本各地に自生する野草(和ハーブ)の伝統的な利用法、たとえば薬草として、食用として、また生活用品としての側面を深く掘り下げている。さらに、西洋のハーブと関連する野草も提示し、その可能性を広げている。特に沖縄の野草についても頻繁に取り上げられ、その多様性と奥深さが伝わってくる。

 以上のように、本書は野草の持つ価値を再認識し、その潜在的な可能性を引き出すための一助となるものである。自然との調和や伝統的知識を尊重しつつ、現代の生活に根ざした形での活用を提案している。写真が豊富で、わかりやすい。山下智道、いい仕事している。

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2025年06月10日

Posted by ブクログ

野草に対する熱意に溢れ、工夫を凝らされたレシピばかりでとても驚かされました。漢方薬なども輸入に頼る今日で日本の野草を利用することは重要でハーブやスパイスの代わりに出来るとは非常に有難いです。

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2023年06月07日

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