あらすじ
75年前、日米激戦のさなか、フィリピンの前線の洞窟で日本語の新聞が作り続けられていた。
死と隣り合わせの兵士たちがむさぼるように読んだ「神州毎日」。
その時、新聞は何を伝え、何を伝えなかったのか。自らも新聞記者となったその子孫が、
その足跡をたどる旅に出る――
※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。重複購入にはお気を付けください
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Posted by ブクログ
25年8月、横浜の新聞博物館で従軍記者の特別展示を見て、興味がわいて購入。
一人の従軍記者の一生を追ったドキュメンタリー。著者は、偶然同じ会社(毎日新聞社)に入ったその親族というのがなんとも運命的。著者自身も新聞社勤務。取材自体が、この従軍記者を鏡として「自分はどうあるべきか」を自問自答する心の旅だったのだろう。
戦争の悲惨さなどを殊更に協調することなく、「大きな時代の動きにのみ込まれた個人」として、ミクロの視点でその痕跡を追う。先の大戦での日本人の死者は約300万人とされている。こうした数で語られる一人一人に、彼のそれと同じぐらいの重みの「平凡だったはずの人生」があったと考えると気が遠くなる。
早くに父母を亡くし、現代日本で生まれ育った多くの人にとって「想像を絶する」貧困の中、世の役に立ちたいという志を胸に、ただ幸せを求めて生きていた一人。
「農村で死ぬ」と繰り返し語っていた清六が、遥か遠くの異国で飢えて死んだとき、最期に何を思ったのだろうかと想像せずにいられなかった。