あらすじ
老化による体力の低下や認知症、肉親や配偶者など最も身近な人を失った強いショックによる生活意欲の衰えなどから、身の回りのことができなくなる「セルフネグレクト(自己放任)」の高齢者が近年、増加している。「ネグレクト」とは、他者による世話の放棄・放任の意味で、「セルフネグレクト」は「自分自身による世話の放棄・放任」だ。
高齢化や単身世帯化が進む中、セルフネグレクトの状態に陥る人は今後ますます増えていく可能性がある。だが、実態把握はまだ不十分で、定義も一部の専門家の間にとどまっている。
本書は、毎日新聞本紙の「セルフネグレクト」を追うキャンペーン報道をもとに、追加取材で大幅加筆。セルフネグレクトの現場や行政の取り組みを紹介するとともに、事態の改善に向けた課題を探る。
※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。重複購入にはお気を付けください
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Posted by ブクログ
セルフネグレクトが第6の虐待として提案されているのは初めて知った。ほんと、うちも父親の方が残されたら片づけられなくなる恐れはある。つーか、私自身が病気になって動けなくなったら。最後の誰かの言葉でごみを減らすためにごみの分別が始まったけど、分別できずにごみがたまるくらいなら、分別をざっくりにしたらどうか、と言ってて、なるほどなと思う。ほんと今の燃えるごみとプラを分けないってすごい楽だもんな。
Posted by ブクログ
高齢化社会の到来によって、一人で生活することがままならない人が増えている。
ゴミ出しなど、まだ元気な自分でさえ面倒に感じることがあり、認知機能や、体力の衰えた老人が正しく分別し重いゴミ袋を所定のゴミ捨て場まで運ぶのは容易ではないことが想像できる。
他にもセルフネグレクトによって片付ける気力を失う人、寂しさを埋めるためなのか、ものが無かった時代からの反動なのかゴミを集めてくる人、ゴミ屋敷化の背景には個人のさまざまな理由があることが本書によって明らかにされている。
しかしまだゴミ屋敷問題への対応が十分でない自治体も多く、また、職員の間にも温度差があるようだ。各自治体は国からの法整備を待つだけではなく、先行している自治体を参考に、従来の縦割り組織を越え、また地域の民生委員と協力するなどして新たな問題解決の方法を探るべきだろう。「本人が構わないと言っている」という言い分を良いことに放置していては、本人も周りもどんどん身動きできなくなってしまうのではないだろうか。
メディアもワイドショー的にゴミ屋敷問題を扱うのではなく、ゴミ屋敷の何が問題なのか、また相談機関の紹介、類似の解決例の提示、当事者の親族などの声を取りあげるなど、多くの人が気軽に相談できるような土壌を作るのに一役買って貰いたい。
いつ自分が当事者になるか分からないからこそ、隠すのではなく、周りにこういう問題があるのだということを広めて欲しいと思う。