あらすじ
浮気をめぐり、男女は踊る──男のウワキを見抜くために女は「井戸端会議」という情報戦に備えた発達をし、男はいかにセックスの機会を獲得するか、のために「くどき」の言葉を洗練させる。そして、このあほらしくも偉大な進化こそが、サルと人間を隔てる大きな分岐点なのだ──さまざまな動物の婚姻形態を比較しながら、人間の男を社交的で口説き上手の文化系男と口下手だが誠実な理科系男に分類。常識を覆す人間考察と大胆な仮説で話題を呼んだ、竹内久美子の衝撃デビュー作。
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サルはなぜ人間に進化したか!?それは言葉による男と女の駆け引き、騙し合い、そして「浮気」のせいだった。脳科学者中野信子も「浮気は人間の脳が設定した仕組みなんです」と。K・D・ローダーはカマキリのメスが交尾中のオスを食べる行動を解明した。交尾しようとしたオスはメスが空腹ならばすぐに食べられる。オスはメスの背後から「ダルマさんがころんだ」方式でそっと近づき、捕獲肢をメスの翅のつけ根にある溝にあてがい、体を固定して交尾する。生体工学のH・ミッテルシュテットはカマキリの攻撃行動を研究し、メスはやってきた昆虫が自分と同じ種のオスであるとは気付かない、頭から齧り付いて食べてしまう、と書いている。
著者はさらに、マウンテンゴリラ、チンパンジー、オランウータン、ゾウアザラシ、ニホンザル、とオスメスが集団で暮らすテリトリーの内幕を説明し、最も人類に近いボノボ(ピグミーチンパンジー)の究極の集団生活を発見した。チンパンジーとボノボの性行動には驚くほど違いがあり、生殖器の位置から背面位交尾だけでなく、対面位交尾も認められる。出産後の授乳期間は両者とも四〜五年だが、チンパンジーが出産から離乳するまであるいは子が死んで乳を吸うものがいなくなるまで発情しない。原則的な類人猿だが、ボノボは出産後一年以内に排卵を伴わない発情周期が再開する。は極端に言えば出産翌日から「交尾」可能な人間ほど徹底して発情する訳では無いが、他のサル類、類人猿とはまったくちがう生理的機能を獲得した。ボノボの社会もチンパンジー同様父系社会だが、オス同士の諍いがあっても死者が出るほど激しいものは至らない。メスは集団帰属意識が高く非常に仲が良くオスに対抗している。ボノボのメスは一方が地上で仰向けになり他方に乗っかり、あるいは互いに枝からぶら下がりながら足を絡ませお互いの性皮を擦り合わせる。このメス同士の同性愛行動を「ホカホカ」という。そしてオス同士でも同性愛行動がみとめられている。ボノボにとって赤ん坊の父親は誰であってもよく、集団で育て乱婚社会、全てのオスは父親としての責任を負わされる。メスの力が大きいことで争いを防いでいる。この点は人間も見習っても良いかも。
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「浮気人類進化論」4
著者 竹内久美子
出版 文藝春秋
p188より引用
“こうなるとますますもって子の父親が誰であるかわからなくな
り、すべてのオスが父親としての責任を負わされる。要するにメ
スの狙いはそこなのである。”
動物行動学者である著者による、人類が人類になった理由など
を考察する一冊。
人間の起源についてからその他動物たちの社会についてまで、
気軽な文章で独自の理論が展開されています。
上記の引用は、ボノボという類人猿の生殖に関する項の一文。
こうしてメスの立場が強く維持されることで、その他の猿や類人
猿とは違い比較的穏やかな社会が築かれているそうです。
ニュースを見ていると子供が殺される悲惨な事件が報道されて
いますが、この作品を読むとそういうニュースは報道する側が選
んで流しているだけなのかもしれないなと思いました。
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Posted by ブクログ
タイトルに書かれていることよりも、「何故に人間の女性には、発情期がないのか」という点について興味深く読むことができました。その理由は、とても悲しいものでしたけれど。
Posted by ブクログ
あんまり人間のことは書いてなかった。
動物や虫なんかの交尾に対する姿勢みたいなものがたくさん書いてあった。
子殺しをする猿ってけっこう多いらしい。それに比べると人間はまだ平和なほうだということが何度も書かれていた。
Posted by ブクログ
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内容(「BOOK」データベースより)
サルはなぜ人間に進化したのか?それは言葉による男と女の駆け引き、騙し合い、そして「浮気」のせいだった―様々な動物の婚姻形態を比較しながら、人間の男を社交的で口説き上手の文科系男と口下手だが誠実な理科系男に分類。常識を覆す人間考察と大胆な仮説で話題を呼んだ、竹内久美子の衝撃的デビュー作。
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著書ではドーキンスの「利己的な遺伝子」の観点からほ乳類の生態の2類型を考察し、それぞれの利点と欠点を挙げている。
ほ乳類の社会には厳しい社会といいかげんな社会とがある。厳しい社会とは浮気を容認しない社会であり、いいかげんな社会とは浮気を容認する社会のこと。厳しい社会ではハヌマンラングールやライオンに見られるような子殺しがおこる。いいかげんな社会ではそれが防がれる。
浮気を容認することでその種は進化していく。
人間とチンパンジーとゴリラはそれぞれ類人猿から別途に進化したもので、どれが優れているというものではない。人間は脳が、チンパンジーは睾丸が、ゴリラは体格がその環境に応じて発展した。人間はおごらずに他のほ乳類の生態から生き方を学ぶべきである。