あらすじ
スパイオタクな池上さんが初めて解説。
ロシアウクライナ戦争、米中対立にもつながる現代史の裏側とは?
東西冷戦が終わった時、「これでスパイ小説の書き手は失職する」と言われました。
ところが、米中対立やロシアのウクライナ軍事侵攻をきっかけに「新しい冷戦」という言葉が生まれます。
東西冷戦が終わってもスパイの存在はなくなりません。
むしろITやAIを駆使することで、情報をめぐる争いは一層激しくなっています。
・ロシアがハイブリッド戦を駆使できなかったわけ
・ロシアで神格化するスパイゾルゲの存在
・イランの核施設を破壊する驚くべきサイバースパイ
・スパイランキング上位 北朝鮮のスパイ事情
・日本のインテリジェンス能力はいかほどか
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
限られた紙面でコンパクトでありながら著者の得意とする解りやすい説明が尽くされている。イラク vs イスラエルの緊張関係も含めて「スパイ」活動だけではない世界感を持つことを助けてくれる良書。暗殺が罷り通るダークな、非民主的な国家が存在すると考えてる一方、今更ではあるが、表向きは民主国家とされる国々でそれに負けないぐらいに非合法的な行為が積み重ねられてきた歴史は正しく理解されないといけないと感じた。
Posted by ブクログ
世界の平和が、世界のパワーバランスに委ねられている。そこにスパイが暗躍する。世界の警察と教えられてきた米国も然り。ソ連、今のロシアはもとより中国も。世界の中で一流のスパイ組織を持つ国である英国も然り。イスラエルとアラブ諸国の関係は、大国の利害と疑心がより大きな犠牲を招いた。ウクライナもチェチェンも大国ロシアの保身。
日本がアメリカにくっついているだけではいつか世界の大きな渦に巻き込まれる。スパイ天国と言われる日本だからこそ、平和の仲介役になれたらと期待したい。そうでないと、世界が破滅の道に進んでしまう。
この本で書かれているよりももっといろいろな葛藤があり、平和を願う気持ちもあったはずと思いたいが、この本から世界の歴史の裏側が見えてくる。
Posted by ブクログ
過去の世界の戦争、内乱、権力者交代など含め余りにも米国のCIAが絡み、自国(資本自由社会vs共産・社会主義)を優先させる工作を企てていたことに驚愕する。「世界の警察」とまで言われた米国の話は偽りが多く、この書によるとほとんどが「裏偽装」で仕組み、大国である米国、米国企業の優先(保護)を諮った工作も多くあった事実には改めて驚愕する。然るに日本のサイバー対策(戦争)は国内のセキュリティーにも頻繁に不備があることからも知識・技術も低い(北朝鮮よりも低い)と米国は評価、サイバー対策、スパイ対策などいざという時に日本は完全に丸裸で戦うような国になってしまっているのは悲しい。
Posted by ブクログ
アメリカのCIAやソ連のKGBなど、世界の諜報機関が沢山出てきて、それが歴史にどんな影響を与えてきたのか本当に詳しく書いてました。特にCIAについては20世紀に様々な国の内政に影響を与え、政権を転覆等、恐ろしい活動を沢山していたのだなと改めて思いました。それが現在の世界情勢にも繋がっていて、ニュース等から得る情報ももっと分かりやすくなったと思います!後は池上彰さんの知識の多さにはいつも驚かされます。
Posted by ブクログ
冷戦時代アメリカとソ連による諜報活動が本格化した。アジア、南米、中東、アフリカと世界中で繰り広げられた。その後ソ連が崩壊したことで、冷戦は終結して一見すると諜報機関やスパイは不必要になると思われた。しかし依然として諜報活動は続いている。むしろ冷戦以上に活動をしなければならない。近年ではロシアによるウクライナ侵攻、また中国が台頭したことで、今度は米中の対立が高まる。またITやAIの利用、さらにサイバー攻撃など諜報活動は多岐にわたって行われている。本書は第二次世界大戦後の世界史をスパイという観点から見ていく。
近年の例をあげると、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドいわゆるファイブ・アイズで、アメリカがイギリス以外の3か国を監視したことを、スノーデンによって暴露された。北朝鮮ではサイバー攻撃によって外貨通貨を獲得している。具体的には2016年バングラデシュ中央銀行に攻撃を仕掛け、約8100万ドルを盗み出し、2022年にオンラインゲーム内で取引される暗号資産を盗んだことに成功した。また諜報は政府組織のみにとどまらない。「べリングキャット」と呼ばれる民間人によるインテリジェンス活動もあり、実際オシントによって2014年マレーシア航空機撃墜事件の真相を突き止めた。
このようにインテリジェンス活動とは、一見すると無縁のように見えて実は身近なところで起きており、もはや他人事ではないことがわかる。自身の身を守るためにも、インテリジェンスについて知っておくべきである。
Posted by ブクログ
東西冷戦時代のスパイから、つい最近の出来事まで網羅しているスパイ入門本。でも、時代も人も多岐に渡り、はっきりいって基礎知識ないと読むのが難しいです(ちょっと辛かった)。時代や地域別に3冊位にしてくれて、こどもニュースくらいかみ砕いて書いてあったら、私には読みやすかったかな。
この本ではCIAが失敗ばかりでダメな組織でした。そして、アメリカのイメージが変わりました。
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極上のサスペンスでも読んでいるような気分になった。
それにしても巻末に掲載されていた参考文献の多さにびっくり。
教養とか別にして読んで損の無い一冊。
Posted by ブクログ
安定の池上彰で分かりやすく書かれている
東西冷戦から現代までのスパイの活動がよく分かった
特に北朝鮮の弾道ミサイル開発にサイバー窃盗による資金が流用されていることに驚いた
Posted by ブクログ
フィクションをより深く楽しむためにノンフィクションを読む
そんな読書スタイルがあってもいいんじゃなかろうか
というわけで池上彰さんです
スパイです
梅干し食べてスッパマンです(すごい離れた!)
口語体で読みやすく、池上彰さん好きなワタクシはばっちり池上彰さんの声で脳内再生され、それは良かったんですが
半分くらいはCIA批判で、それはそれで分かるんですが『スパイ列伝』みたいなのを勝手に期待してたワタクシとしてはちょっとがっかりな部分もありました
んでも面白かったです
そこはしっかり伝えたい
スパイというよりは各国の諜報機関にスポットを当ててる感じかな?
スパイと諜報機関は(自分の中では)同義ではないんで、そこの部分の違和感があっただけで、各国の諜報機関の歴史的な成り立ちや変遷、実際に歴史の中で果たした役割などが知れてとても面白かったです
で、冒頭の話ですよね
「スパイ小説」っていうのがミステリーや冒険小説の中で一分野を占めてるわけですが
この本を読んだことで今後「スパイ小説」をより楽しむための経験になったのか?というと
なった!…たぶんw
よし!「スパイ小説」だ!
Posted by ブクログ
池上さんのおかげで少しずつ歴史がわかるようになってきました。
知らない、何も思いつかないというところから、
ほかの本で読んだことがある、見たことがある、
という段階を少しずつ上がっています。
スパイというと、アニメや映画の世界の印象でしたが、
各国至る所に情報収集をする人たちがいて、
さらに情報収集だけではなく、
偽情報や政治工作、煽動することも任務なんですね。
最近は至る所に防犯カメラがあるし、
(それが抑止力になることも理解してます)
アプリや通信手段がたくさんあるし、
隠そうとすることは本当に困難なのかも、と思います。
誰がどこで見聞きしていたっておかしくない。
アメリカで一般人のやり取りまですべて収集していたという告発について本書に書かれていますが、ショックでも衝撃でもなく「そうだろうなあ」が私の感想でした。
見れるとわかっていて見ない手はないし、
一度見てしまったら、見ないという行為はどうしてもできないのではないかと思うんですよね。
ただ、膨大な情報の中からピックアップしたり、関連を確認することはどのぐらいの労力なのかな、と思います。
今はAIが発達しているから、機械に頼むのかもしれないですが。
プライバシーと国を危険から守ること、どちらと言われるとなんとも言えないし、監視社会で発言に気を付けなければという気持ちもあります。
世界中でたくさんの不満が爆発していて、
あちこちで人同士が殺し合って傷つけあっていて、
当時のスパイの人たちが今の時代を見たらどう思うんでしょうか。
皆さん自身の信念をもって、自国や世界を良くする、守るために活動していたのかもしれないですが。
なので、精神を病んだり気持ちがおかしくなって
離脱する人が一定数いるのもわかる気がします。
ブレたり迷ったら、たくさんの情報たちに吞み込まれそうだから。
なかでも、プーチンが憧れていたというゾルゲは、印象的でした。
人との交流も積極的に行い、人の懐に入り込んでいく。
政治中枢にも密通者がいると思うと、怖いですね。
まだまだ歴史を知りたい、そう思いました。
Posted by ブクログ
スパイを切り口にした近代~現代史のおさらい本として面白く読めた。冷戦下の頃のCIAの行ったえげつない他国政権への干渉とか、中国の国家情報法というやばい仕組みで中国の諜報活動の36%がプロではなく一般の国民の行ったスパイ活動であるとか、オープンソースで情報分析をするベリングキャットという集団が登場するとか、飲み会で話したくなるようなネタが満載。帯の池上さんのポートレートが少し諜報部員風で微笑ましい。
Posted by ブクログ
昔(約30年前)はニュースで流れない世界の出来事は落合信彦から教わった。ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争、アフリカ、イスラム世界の紛争などなど。
今はその役割を池上彰がやってくれているのだろう。メディアに出過ぎるきらいはあるが(笑)、それも広範な知識を誰にでも興味を持ってもらいたいという考えによるものだと思う。
本書はスパイというよりもCIAなどの諜報機関の実績をあげながら、世界史の闇の部分を分かり易く教えてくれる良作。
Posted by ブクログ
読み物として面白い。
007やm:iにハマってた時期、
見えていないけれども、世の中はきっとエージェント(スパイの意)で溢れているんだ!
となんとなく思っていたが、
あながち間違いでもないかもしれない 笑
Posted by ブクログ
池上彰氏によるスパイに焦点を当てた近現代史の解説書です。
第二次世界大戦からウクライナ戦争に至るまで、現在までに明らかになっているKGBやCIA等の活躍やその背景を分かりやすく解説してます。
スパイの活躍についての解説書ではあるものの、科学技術の発展によりスパイという情報収集手段が、サイバー空間を活用した情報収集やインターネット上のSNS等、個人が発信しているものを含む一般に公開されている情報の収集•分析に置き換わりつつあるという指摘が印象的でした。
なお、実話を元にしたスパイにまつわる映画の紹介もあったので、興味が湧いたものは見てみようと思いました。
Posted by ブクログ
ウクライナから始まり日本の諜報についてまで。CIAやKGBのエゲツナイ活動による二次被害ともいうべき虐殺や戦争をどう捉えるべきが。
ロシアのなりふり構わぬ殺し方は恐ろしい。
Posted by ブクログ
インフォメーションとインテリジェンス。インテリジェンス、身に着けたいね。レベルが低くてもいいから。
しかしニュース関係の本を読むと、「ほとんど誰とも友だちになんかなれない」と思うな。
反共か…。宗教・思想で動くというのは、お金目当てがかわいく思えるほどに、おそろしい。
Posted by ブクログ
スパイオタクな池上さんが初めて解説。ロシアウクライナ戦争、米中対立にもつながる現代史の裏側とは?
一部は聞いたことがあるスパイの話もあったけれど全体的に分かりやすく面白い。入門書としては最適です。日本はもっとインテリジェンスに対して国力を上げるべきだと佐藤優さんなどの著書を読んでも思うのですが、なかなかなりたいからといってなれるものでもないというか、向き不向きもあるので人材を揃えるのが大変なんだろうなと思う。でもこうして歴史の1ページを人知れず変えていけるってすごいこと。やっぱりかっこいいなあ。
Posted by ブクログ
池上彰の本は基本的に好きなのだけれど、今回はスパイ活動の羅列になってしまった印象……。
スパイものは、映画か小説で楽しむのがいいのかも。
まあでも、CIAがダメダメなこととか、モサドがすごいとかは、よくわかった。
Posted by ブクログ
池上氏にしては珍しく分厚い。よっぽどスパイが好きなんだなー、と微笑ましい。と同時に、やっぱり現代史を考え直すきっかけを与えてくれる。わかりやすい。
Posted by ブクログ
物語的に読めて、スパイって実在するんだーってワクワクしながら読める。
結構エグいことやってるし、ロシアとアメリカはずっとバチバチやってるし、最近は中国もやばい、とスパイを通して各国のパワーバランスも勉強できる。
Posted by ブクログ
表紙のコスプレ(?)からして、半ばギャグに走っているかのような印象を受ける。冗談というワケではなかろうが、どちらかというと、軽めに、楽しく「スパイ」という存在を身近に感じてもらい、理解してもらおうという、NHK「週刊こどもニュース」のお父さん役に戻ったかのようなスタンスで書いているような内容。サクサクと読めて楽しい。
記述の大半が、先の大戦から冷戦時代のスパイ暗躍の黄金時代の事例紹介が多く(ゾルゲや、CIAのダレス長官等々)、かつて30年以上前に、落合信彦本で堪能した内容が盛りだくさん。そのあたりは懐かしく拝読した。
その後の時代、冷戦終了後は、アメリカと中東地域の確執の振り返りは興味深いが、アメリカが凝りもせず世界のあちこちにチョッカイを出しては失敗している事例が炙り出される。例えばビンラディン。
アフガニスタン紛争で反ソ連の抵抗勢力に武器と教育を授け、聖戦だと戦場へ駆り立てたその中に、後年同時多発テロでアメリカ本土を攻撃するアルカイーダの親玉となるビンラディンがいた。
イランのフセイン政権を倒した後、フセイン支持のバース党(アラブ復興社会党)を解散、追放した結果、党員だった警察官、軍の将校が武器を持って職場を離脱、その中からイスラム国(IS)が誕生することになる。
ビンラディン殺害に地元の医師がCIAに協力していた事実が知れると、現地で小児麻痺ワクチン接種をする医療機関関係者=CIAとみなされ、接種が進まず、パキスタンとアフガニスタンでは、今も小児麻痺に苦しむ子どもたちがいるという。著者も、こう記す。
「CIAの罪は大きいと言わざるを得ません。」
本書タイトルの通り、“世界史を変えた”ということだが、アメリカという思い上がり国家の存在が無かったら、あるいは余計なおせっかいをしてなければ、今の世界も違ったものになっていたのだろうなという思いは強い。
そして、昨今のロシア、ウクライナ戦争だ。
現在進行形の事案ゆえに、今の時点で、スパイの暗躍といった裏事情の開陳はさすがに、ない(サイバー戦が展開されているという記述はある)。が、アフガン侵攻の経緯をこんな事例を引いて紹介していることから、現状を推察することは可能だ。
当時、アメリカのカーター政権の国家安全保障問題担当特別補佐官だったブレジンスキーの証言だ。
「アフガニスタンへの反政府勢力への秘密の援助は、ソ連の軍事侵攻より半年も早い1979年7月に始まっていた」
「我々がソ連を軍事介入に追い込んだのではない。だが意図的に力を加え、ソ連がそう出てくる蓋然性を高めていったのだ」
アフガニスタンをウクライナに、ソ連をロシアに置き換えずとも、アメリカが今なにをしているか読めてしまわないだろうか。歴史に学べ、ではないが、当然、今も同じ事が繰り返されていると推測するのは、なんら難しいことではない。歴史は繰り返されるのだろう。
その他、昨今のサイバー空間での諜報活動、あるいは市民でも行なえるOSINT(Open-Source Intelligence)の可能性など、新たな世界も垣間見れて面白かった。