あらすじ
一年前、偶然出会ったお婆さんに会いたい。しかし手掛かりは、庭に良い匂いの沈丁花が咲いていたことと、その庭でお婆さんが発した不可解な言葉だけ――。思わぬトラブルによりサッカー部を辞め鬱屈した日々を送る航大。春を告げる沈丁花の香りに、親切にしてくれたお婆さんのことを思い出し、記憶を頼りにその家を探していたところ出会ったのは、美しい庭を手入れする不愛想な大学生拓海だった。拓海は植物への深い造詣と誠実な心で、航大と共に謎に向き合う。植物が絡むささやかな“事件”を通して周囲の人間関係を見つめなおす、優しさに満ちた連作ミステリ。鮎川哲也賞優秀賞受賞作。/【目次】春の匂い/鉢植えの消失/呪われた花壇/ツタと密室/勿忘草をさがして
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Posted by ブクログ
胸があったかい想いでいっぱいに包まれる読後感。
航大と拓海のような友達関係が深まっていくってすごくステキだ。
植物が絡む小さな謎を解いていく過程は、航大と一緒に楽しませてもらえた。
家族とも職場とも違った第三の自分の居場所や人との繋がりって、なかなか出来づらく貴重だ。
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何か夢中になれるような楽しみが見つかればいいのになと思えど、何も変わらない日常の中でどう見つければいいのかなと漠然と思いながら過ごしている今。
菊子さんのちょっとした言葉がとても胸に残る。
『何でもいいのよ。とにかく自分がしたいことをするの。それを探すこと自体、とっても、楽しいと思うわ』
『コツは、少しでも気になったものには積極的に触れてみることね。』
たしかに、気になるっていう気持ちがムクっと出てきても、その次の「触れてみる」って一歩を踏み出すのって何気に面倒くさくなってしまいがち。
だけど、せっかくなのでこの本をキッカケに今年は《積極的に》《ためしに》《触れてみる》をやってみようと決めた。
それを受けて、自分がどう感じるのかを知ることが楽しみだ。
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殺人事件が起こらないミステリー。
日常の小さな謎。
連続短編集。
Posted by ブクログ
確かにやり過ぎは良くない。でも暴力は駄目と言われてもやらなきゃやられるからね。
この件に関して航大君は何も悪く無いのでは?と正直思いましたが話が進まなのでそういうもんだと思う事にしました。
人と自然と関わり根本的な部分が変わる訳では無い。けど気持ちが変わる。視野が変わる、広がる。
そして前に進める。何よりも大切。
菊子さんと航大君とたまに拓海さんの会話は楽しそう。同年代の友人とする会話とはまた違う面白さがありそう。
紙風船が地面からお花みたい咲いてると聞いてフウセンカズラかなって思ったけど違うかった。残念。
でもお花みたいに咲いてるかと言われたら違うなってなった。
親子と言っても別人で。絶対に仲がいいと保証される関係では無いけれど、拓海さんと春香さんは最後にちゃんと親子になれたのではと。
Posted by ブクログ
読みやすい
植物が気になってくる
自分の庭を育ててみたくなる
植物に関わる謎に関しては、ちょっと短絡的な面が気になった
日本の金木犀は中国から輸入 雄株のみ 接ぎ機にて増やすしかない
亡くなった人間が生きていられるのは、生きている人間の記憶の中だけだ
シオンの花言葉 あなたを忘れない