あらすじ
20年間、警視庁青梅警察署山岳救助隊を率いてきた著者が、実際に取り扱った遭難の実態と検証を綴る。安易な気持ちで奥多摩に登る登山者に警鐘を鳴らす書。
著者が救助活動で携わってきた遭難を大別すると「滑落」「道迷い」が圧倒的に多いが、行方不明や疲労、軽装備によるものも後を絶たない。
著者は総じてそこに「侮り」があると指摘する。
著者が手がけた『すぐそこにある遭難事故 奥多摩山岳救助隊員からの警鐘』(2015年、東京新聞出版局)『金副隊長の山岳救助隊日誌―山は本当に危険がいっぱい』(2007年、角川学芸出版)、『奥多摩登山考』(2002年、東京都公園協会)から顕著な事例を抽出し、新編としてまとめた一冊。
通常の山岳遭難のみならず、山中で発生した飲酒やドラッグ、強盗などの刑事事件についても解説する。
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Posted by ブクログ
各遭難事案が短編ミステリのようでもあり読み応えがある。本著が登山家への警鐘と帯に書いてあるがエールのように感じる。奥多摩は御岳山ロープウェー→鋸尾根→奥多摩駅しか登ったことがないが同じ道筋での遭難事案が記載されており、全くもって他人事じゃないなと身を引き締めるとともになんだかウキウキした気持ちになる。ラストのお話、山岳救助一筋で泥棒すら捕まえたことのない山岳救助隊が山賊の出現にあたふたしちゃうの失礼だけどちょっと面白い。巻末は涙腺が緩くなった。素晴らしき哉、登山
Posted by ブクログ
東京の山岳救助隊を勤め上げた方の遭難事故対応の記録が綴られた本。道迷い、滑落、病気遭難など、遭難の原因ごとに章分けされていて、とても興味深かった。記録としては携帯電話が出始めた時期の前後の記録になるので、昔の男女観や職業観のようなものも端々から見えて面白い。凍死する人は精神錯乱で脱衣している人が多いなど、へえと思う部分がたくさんあった。
Posted by ブクログ
金邦夫『侮るな東京の山 新編奥多摩山岳救助隊日誌』ヤマケイ文庫。
本書では、20年間に亘り警視庁青梅警察署山岳救助隊を率いてきた著者が、東京都近郊の山々で発生した遭難事件を紹介しながら、安易に登山を楽しもうとする者への警鐘を鳴らしている。
遭難は男性登山者に多いのだと言う。例え東京都近郊の山々でも、高齢者、初心者、単独行による滑落、道迷いといった山岳事故が実に多いことに驚いた。山では疲労や体調不良、軽装備、知識不足といったことが死に直結するのだ。
2015年に東京新聞出版局から刊行された『すぐそこにある遭難事故 奥多摩山岳救助隊員からの警鐘』、2007年に角川学芸出版から刊行された『金副隊長の山岳救助隊日誌 山は本当に危険がいっぱい』、2002年に東京都公園協会から刊行された『奥多摩登山考』の3冊から山岳事故の事例をセレクトし、新編としてまとめた作品。
定価1,100円
★★★★