【感想・ネタバレ】虚構推理短編集 岩永琴子の密室のレビュー

あらすじ

一代で飛島家を政財界の華に押し上げた女傑・飛島龍子は常に黒いベールを纏っている。その孫・椿の前に現れはじめた使用人の幽霊が黙示する、老女の驚愕の過去とは──「飛島家の殺人」

あっけなく解決した首吊り自殺偽装殺人事件の裏には、ささやかで儚い恋物語が存在して──「かくてあらかじめ失われ……」

九郎と琴子が開く《密室》の中身は救済か、それとも破滅か。

<シリーズ累計500万部突破!>

2023年1月よりアニメSeason2放送中!
絶好調の本格ミステリ大賞受賞作シリーズの最新作!

【虚構推理既刊シリーズ】
(1)『虚構推理』
(2)『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』
(3)『虚構推理 スリーピング・マーダー』
(4)『虚構推理短編集 岩永琴子の純真』
(5)『虚構推理 逆襲と敗北の日』
(6)『虚構推理短編集 岩永琴子の密室』

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Posted by ブクログ

ネタバレ

【みだりに扉を開けるなかれ】
 妖怪や幽霊が存在している事が前提であるなら、妖怪や幽霊によって密室殺人の密室が破られる事もあるという、ミステリーなら非難轟々だろう話でした。妖怪や幽霊の存在をその様な役割に当てはめる発想が無かったので、とても面白く感じました。あと、「妖怪密室ひらき」が生まれうるというちょっとズレた心配をする岩永琴子は相変わらずなのだと感じました。

【かくてあらかじめ失われ……】
 妖怪や幽霊が密室を開ける、という事件が実際に起こり、岩永琴子が解決に奔走した話。密室にまつわる犯行と、岩永琴子の紡いだ虚構も中々に面白いものでしたが、それ以上に複雑な人間関係が明らかになったのが面白かったです。推理小説みたいな人間関係と言いたくなるのも宜なるかなといった感じでした。

【飛島家の殺人】
 事件自体に妖怪や幽霊の関わりは無いものの、この作品らしく岩永琴子が虚構を紡ぐ話でした。五十年の歳月が経っており、既に証拠など残っていない事件に対し、岩永琴子があげた二つの仮説。真相がどうあれ、当人達にとってはどちらを取るか(もしくはどちらも話してしまうか)迷う仮説を紡いだのは流石としか言い様がありません。そして、どこか人間離れした不気味さを感じさせ、岩永琴子らしいと思いました。

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2023年10月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 虚構推理シリーズの最新刊が届けられた。近所の書店では、やっぱりラノベの棚に置かれていた。漫画原作のための書下ろしだそうだが、過去作品もそうだっけ? 漫画やアニメの方が原作より人気が高そうではある。

 サブタイトルにある通り、今回は密室がテーマ。今なお定番中の定番ジャンルだが、虚構推理の世界観でどのように料理するのか。興味津々に読み始める。

 短い「みだりに扉を開けるなかれ」。妻を殺害し、密室工作をした夫。しかし、発見時、密室工作は何者かに台無しにされていた…。うーむ、夫に同情できるようなできないような。この掌編には全編のプロローグ的意味合いもある。

 「鉄板前の眠り姫」。古いお好み焼き店の熱々の鉄板前で、眠っているのは…。この人たちの行く先行く先、どうしてそういう展開ばかりなのか。もはや軽いブラックジョーク程度にしか感じない自分も、毒されているのかもしれない。

 「かくてあらかじめ失われ……」。幼なじみの一家同士の、複雑な関係。いくらでもドロドロにできそうな設定を軽く読ませるのは、このシリーズならでは。漫画版やアニメ版では、琴子がこういうネタでも容赦なく論破する姿に萌えるのだろうか。

 短い「怪談・血まみれパイロン」。なぜ怪談にパイロン? 最後の下ネタにすべて持っていかれた感がある。このためのパイロンかよっ!

 メインと思われる最後の「飛島家の殺人」。一代で地位と財を築いた飛島家の女傑・飛島龍子。現在は静かに暮らす龍子の過去とは。このシリーズ、問題を抱えた一家はお約束とも言えるが、どうして琴子に依頼してしまうのか。成功者の思考回路は、凡人には理解不能とだけ書いておきましょう。もちろん琴子の思考回路も。

 十分に長編にアレンジできそうなネタ3本と、短い小ネタ2本という配置は、『虚構推理短編集 岩永琴子の純真』と同じ。ガチの密室ネタを期待して読むファンはいないと思うが、九郎と六花の出番の少なさには不満を抱くかもしれない。

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2023年02月24日

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