【感想・ネタバレ】精神医療に葬られた人びと~潜入ルポ 社会的入院~のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年11月04日

差別を無くすにはまず知識と理解っていう話。

精神的な病気に対する偏見や差別はまだまだあって、鬱の発症やそれを公表する人も増えてきている今だからこそ、精神病院の内情や制度ももっと公になれば良いと思う。


三枚橋病院の石川信義医師が経歴含め、精神医療を変えようとする行動力と発想と気概とどれも素晴らし...続きを読むくて、どんな人物なのか調べてみたら、ヒップホップグループRHYMESTER宇多丸さんのお父さんだった事にビックリした。

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Posted by ブクログ 2011年10月05日

あーやっぱりそういうことが行われていたのかと思いました。

自分の中にある精神病や精神病棟に関するダークなイメージは、どこから来たのだろうかと思うと、なんかできいたり、見たりしたことのある情報や映像からなのだろうなと。

べてるの家の試みなどが取り上げられ、病棟開放に向かっているのかと思いきやけして...続きを読むそうではないのだなと。

不勉強で精神科の病床数が先進国内で日本がいちばん多いことも知らなかったし、社会的入院を強いられる人がたくさんいることもしらなかった。

まずは、偏見を取り除くことからと、どうやって共生するかということから。

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Posted by ブクログ 2011年09月10日

読破するのに、約1か月かかってしまった。地震ボランティアの派遣等で、読む機会がなかったのと、それに加えて帰りの電車での睡眠が多かった。しかし決して内容的には悪いとは思っていない。精神障害者の生の声がわかった気がする。

精神障害者は病院経営者にとってはありがたい安定的に恒常的な患者ということで、隠語...続きを読むでは「固定資産」と言われているらしい。確かに納得する言葉ではあるが、入院期間40年という人もいるようである。世間では暗いニュースもあり危険な人物ということになる障害者を政府は落ち着かせたいし、そのために病院は利益を考えて抱え込む。うまくできているものだと感じた。

ある女性精神障害者は長い間の入院生活にてトイレのドアを閉める感覚がなくなってしまったらしい。一番のプライベートにかかわる部分も平然となってしまうこの非人道的なことも普通にあるという。精神障害者分野というのも少し考えていきたいと思った良本である。精神保健福祉士のことを少し考えてみようと思った次第である。

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Posted by ブクログ 2014年06月19日

全世界の保有病床数が推定で200万床。うち日本の精神科病床数約35万床。実に日本は世界の6分の1を占める。患者一人当たりの入院日数も日本の310日に対し欧米諸国は1~2週間。世界でも類をみない病床数の多さ。不必要な入院を生み夥しい数の長期入院を生産してきた元凶となっている。経営という事情を無視するこ...続きを読むとができない民間病院が病床数の9割を占め入院患者は固定資産と呼ばれている。加えて長期療養型病床が長期入院者の抱え込み体質を助長。患者の社会適応能力を蝕む日本の精神医療の実態。他人事と済ませられない怖さに震えが止まらなかった。

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Posted by ブクログ 2012年01月15日

一面的なところはある。しかし、精神医療に従ずる身である人ならば、一笑に付すことなく真摯にこのルポで批判されている内容は受け止めてしかるべきだと思う。最後の筆者とある当事者の方とのやり取りの様子が非常に良かった。

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Posted by ブクログ 2011年12月16日

プロローグ
1、四十年の病院暮らし
2、三枚橋病院
3、精神障害者は「危険な存在」なのか
4、隔離から一転、開放化へ
5、関係性の場をどう作るか

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Posted by ブクログ 2011年08月29日

著者は、ノンフィクション作家。バセドー氏病の症状がひどくなったため、友人に勧められたG病院という精神病院に「任意入院」する。そこは開放病棟とは名ばかりの閉鎖病棟だった。

バセドー氏病で精神病院に入院する必要はないから、著者は取材のために「潜入した」のだろう。

そのG病院で出会ったのが、40年近く...続きを読むも入院している「一郎(仮名)さん」だった。その「一郎さん」を通して、患者を「固定資産」として長期にわたって入院させる日本の精神医療施設の恐るべき実体が明らかにされる。

2009年現在の世界の精神科病床数は推定で200万床だと言われるが、そのうち日本には35万床と6分の1もあり、入院患者数31万3000人と突出している。また、日本の精神科における患者1人当たりの平均入院日数は310日に及び、欧米の平均入院日数1~2週間に比べて異常な事態になっている。

さらに、人口1万人あたりの精神科病床数は日本の28床に対して、欧米は2~10床であり、ここでも日本の精神医療の異常さが目立つ。

日本の「異常」は精神障害者を「社会から隔離する」という目的のため制度的に認められていることであるが、その制度自体も世界の趨勢からは大きく遅れている。

イギリスでは、1954年に保健省が「今後10年間で10万床の精神病床を削減する」と発表し、さらに1971年には人口10万人に対するベッド数を5床とするという長期計画を打ち出している。その結果、1955年の33床が1990年には12床となり、現在は10床を下回り、目標の5床に近づいているという。

また、イタリアではもっとラディカルな改革が行われている。1978年に効率精神病院への入院を禁止する「180号法案」が交付され、国を挙げて精神病院の廃絶に動き出している。このイタリアでの精神医療改革が多くの国のモデルとなって、精神病者に対する法律の廃絶や長期入院を禁止する国が増えているのである。

日本でもグループホームや授産所などの一般社会に受け入れる仕組みを作れば、退院させられる「患者」ですら病院の収入確保のための「固定資産」として長期入院させられているというのが現状なのだ。

ところが、多くの国では精神病院は公立だが、日本では民間病院に頼っている。そのため、簡単には長期入院を禁止したり、精神病院そのものの廃絶は簡単には進まないという。精神病院廃絶の世界的な流れに、精神病院経営者や精神科医たちが反対しているからだ。

しかも、本書の冒頭で東日本大震災時に明らかになった双葉病院での遺体置き去り事件のように、患者の高齢化による入院者数の減少を補うために、民間の精神病院は認知症の老人たちを取り込んでいるという。しかも、精神病院に入院した老人たちは短期間に寝たきりになり、認知症の改善は望めない場合が多いという。

日本の精神病院は、これらの「社会的入院」が存在する中世の監獄のような場所なのである。

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