あらすじ
孤独感を抱える人物の心理を端正な文章で綴った小説。イエズス会の寄宿学校での出来事や、父の死、ナチの高官でユダヤ人迫害に加担した祖父への言及などの自伝的エッセイ。ある俳句を教えてくれた京都からの留学生をめぐる、著者の死生観が垣間見えるエピソード。ドイツで死刑が廃止される12日前に斬首刑となった男の犯罪実話。ボクサーとの恋の思い出を語る老婦人や、収支報告書の改竄で告訴された男といった、弁護士として出会った人々との交流譚──。クライスト賞受賞、日本で本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いたデビュー作『犯罪』、映画化された法廷小説『コリーニ事件』、世界各国で2600回以上上演された戯曲『テロ』。これまで社会や人間を深く描写してきた現代ドイツを代表する作家が、多彩な手法で紡ぐ新たな作品世界!
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Posted by ブクログ
エッセイなのか小説のアイデアメモなのかショートショートなのか、弁護士であり小説家のシーラッハが書いた文章臭といった体の1冊。
「法律なんだから守らなければいけない」法治国家で生きる以上それはそうなんだが、法律は本当に正しいのか?そのことは常に疑問に感じていたいと思う。
戦争当時のドイツも日本も法に基づいてかの戦争をしていたわけだし、戦後ついこの間までのアメリカの黒人は法に基づいて差別されていたし、今のロシアは法に基づいてウクライナに侵攻している。
万能でない人間が決めたものなんて、そんなものである。社会生活を営む以上順法姿勢は取っていても、あからさまに怪しそうな取り決めは疑ってかかるのがちょうどよい。