あらすじ
利根川進博士推薦! 光で脳の活動を観測・制御する「光遺伝学」の第一人者として知られるダイセロス博士は、有名な精神科医でもある。最先端の脳神経科学の知識と技術にくわえ、多彩な症状を呈する患者たちの苦悩への深い共感、そしてその内面世界を想像する努力によって、人間の「こころ」と感情の起源がだんだんと明らかになってくる。人間の根源と進化の真実に迫るノンフィクション話題作。(解説 加藤英明)
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Posted by ブクログ
『「精神病って、正確には何なのでしょう?」
「現実との断絶です」』
(第5章 ファラデーケージ ——統合失調症)
光遺伝学の第一人者、カール・ダイセロスによる理論書…ではなく、彼が今まで見てきた症例紹介と言ったほうがいいだろう。分かりやすく言えばオリヴァー・サックスの「妻と帽子をまちがえた男」みたいな感じだ。
心の病気である「うつ病」や「統合失調症」などを取り上げ、科学的解説も交えるものの文学的な読み物としての側面が強い。いや、全然いいんだけどね。そうして彼が触れ合ってきたからこそ、患者の内面を(おそらく)正確に記述できており、特に第5章の統合失調症は一つの物語としてわりと完成していたんじゃなかろうか。
というか最初に巻末にある加藤氏の「解説」を読んどいたほうが良いかもしれない。
ダイセロス氏は全然光遺伝学の説明をしてくれないので…。
解説にあるけど、まぁ自分なりにまとめておこう。
光遺伝学というのは、つまり光によって反応するタンパク質(チャネルロドプシン)を利用して、好きな神経細胞にそのタンパク質を発現させることで、自由な細胞を興奮状態(つまり反応が起きるってことだ)にすることができる。
これによって、好きな(縦縞なんかの)映像を見せたりすることができる。症例とこの反応から得られるデータを比較することで、なぜこのような症例が起きるのかを明らかにしていく…というわけだな。
うーむ、未来がある。個人的には生体組織の透明化技術(CLARITY)も興味があるので、どっかで誰か解説してください…。