面白かった。現在ホットなダイゼロス博士のオプトジェネティクス(optogenetics)の本、と思ったらば、そうでもない、が、面白い(どやねん)。しかし、訳がしんどい。臨床例のところはまだ読めるとして、全体的に原文を想像してしまうという、ものすごくしんどい読書がオートパイロットで行われる(自分の問題
...続きを読むだが)。定型句ぽい言い回しとか、そのまま直訳されても、、。ともかく、日本語向きではないので、それをここまで翻訳しているのはすごいことだと思う、が、めんどくさくとも、ダイゼロス博士の論文だけ別読みするのがよかろうとは思う。原題はProjectionsという、お洒落な掛け言葉(でもないか)で、気の利いた感じ、脳味噌のエリアとか未来予測的なちゅうか文学的なちゅうか、色々な意味を内包していて良いと思う。でまあ、オプトジェネティクスについては、私もなんや理解度が浅っさいが(笑)バイオエンジニアリングで、光をつかって蛋白質(脳味噌やら神経細胞やら)を制御するちゅう話ですな。後書きに共同研究している日本人研究者が説明されているので、そっちを先に読むのもよかろうかと思う。症例は脳幹がん、大鬱病、躁病、双極性障害、自殺願望、自閉スペクトラム、境界性人格障害、総合失調症、不安障害、摂食障害、認知症。総合失調症の章では、映画”Beautiful mind"を思い出し、あの映画音楽が頭の中をぐるぐる回った。匂いや光もそうだが、音も記憶と連動して再生されるねぇ。未来には、脳味噌のピンポイントに光を当てれば、経験してもない匂いや音を脳内再生できるようになるんだろうか。トータルリコールとか、マトリックスとか、漫画”コブラ”の冒頭のあの脳に信号を与えて夢を見させるトリップ・ムービーみたいなのんとか、、。自分の本当の経験と、外入れの経験の区別は自分の脳につくんだろうか?
色々考えさせられる良著
PROJECTIONS
A STORY OF HUMAN EMOTIONS
BY Karl Deisseroth ©️2021