【感想・ネタバレ】いまも、君を想う(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

家内あっての自分だった。一人きりで迎える静かな時間の中で、とめどなく蘇る君在りし頃の思い出。手料理の味、忘れられない旅、おしゃれ、愛した猫や思い出の映画……。夫婦二人だけで過ごした35年間のささやかな日常には、常に君がいてくれた。いい時も悪い時も、7歳下の美しく、明るく、聡明な君が――。文芸・映画評論でつとに知られる著者が綴る、亡き妻へ捧げる感涙の追想記。(「別れ」という重たい代償・西川美和、解説・佐久間文子)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

3月に脳外科を回っていた時に患者様の奥さんが毎日入院中の旦那さんの元に面会にきて長年付き添ってきた関係だからできる温かみのあるやりとりを見て読みたくなった作品。

愛する奥さんの死という自分の力では何ともすることのできない不条理な悲しみを乗り越えて奥さんとの出会いからわかれまでを書き綴っていて僕のように人生経験が浅い若造に対して今一度患者様との接し方と生きとし生けるものは皆無常観から逃れられないことを教えてくれました。

また一つ川本さんから生きるヒントを得たので近々開かれる彼の講演会に参加してみたいなと思いました。

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2013年04月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こういう本は苦手だけれど、川本三郎さんということで読んでみた。

ここ数年、色んなことで友を亡くした私にとって、一番心に残ったのは
「通夜の席の酒も嫌だった」から始まるところで「…酒が入るうちに場所柄もわきまえずに笑い声が起きたりする。
喪主の方は客への礼儀として「故人はにぎやかなのが好きでしたから」と酒をすすめるら、それをしたくなかった。
家内がやつれ、そして静かに息を引き取っていった姿が目に焼きついている人間には「故人はにぎやかなのが好きでしたから」と決まり文句を言う気にはどうしてもなれなかった」
と言うところだ。

ある意味、流行病で、ここ数年家族葬が多い。

実はこれが一番理想なのかもしれないと、最近よく思うのだ。

そして「大事な人間が次々に去ってゆく。年齢的に仕方がない」
この「仕方がない」という、黙って受け入れると言う行為は、人を大きなものにするとも思う。そしてこの悲しみは決して癒えることはない。
しかし日常は、残酷にも普通に何も変わっていないように過ぎていく。

「歳をとるって言うのは残酷だ」と私が子供の頃、父がふと呟いたその言葉は、ずっと心の言葉の引き出しにあって、自分がそのくらいの歳になると、実感としてどーんと重みを増す。

よく、歳取ると子供にかえるのよと言われることもあるが、私は昔から違うと思っていた。それは確信へと変わる。子供にかえるのではなく、たくさんを知り得た人が、それを残酷なまでに静かに受け入れて時を過ごしていくと言う、人とは共感できない個人のものを積み抱えていっている経過だと思う。

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2023年08月11日

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