【感想・ネタバレ】直木賞をとれなかった名作たちのレビュー

あらすじ

直木賞をとってしかるべきだった83作品を独自基準で選出。理屈抜きに面白い名作を紹介し、文壇のこぼれ話を交え昭和から現在までの文学史を裏側から描き出す。

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Posted by ブクログ

カバーに用いているのは大正13年の「文藝春秋」の企画「文壇諸家価値調査表」。評価項目は天分、度胸、風采、腕力、性欲、将来性……。たとえば芥川龍之介は天分96、風采90、腕力0、今東光は天分60、修養52、腕力100、性欲92--これが46人分。表の作成者は直木三十五。ふざけ具合がいかにも直木らしい。
1935年から現在まで、直木賞をめぐるあれこれ、その舞台裏、選にもれた傑作、そしてゴシップ。小谷野の作品評価はほぼ真っ当(と私は思う)。今回は作品がてんこもりということもあって、駈け足で流している分、読後感は爽やか。いつもの毒を期待していた人には、少し物足りないかもしれない。
山口瞳、井上ひさしに、三島由紀夫、星新一には辛口。渡辺淳一を再評価している。変わったところでは、郷ひろみ「ダディ」をとりあげている。徳永直の「妻よねむれ」では、彼の離婚をめぐる壷井栄との泥仕合もとりあげている。

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2025年05月08日

Posted by ブクログ

タイトルとか題材設定の妙とかで、何だか手に取ってしまう作家。実際読んでみると、破綻した文章とか支離滅裂な展開に、いちいちツッコミたくなるんだけど、何だか読まされてしまう。歯に衣着せぬ物言いとか、支離滅裂なようでいて、絶妙に関心をくすぐる構成とかで、実は結構楽しんでいるんだな。これまで氏の著作を読んだ経験上、あまり本の趣味が合わないことも分かっているんだけど、以下の著作はちょっと気になった。
・心を殺された私
・兄弟 なかにし

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2024年10月09日

Posted by ブクログ

おもしろいけど散漫では?
 伏見つかさの『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』を挙げたところなど見所はある。
 しかし『芥川賞の偏差値』は芥川賞の受賞作と作家を評するといふ一本筋が通ってゐるが、こちらは散漫な印象だ。
 気になった点が三つ。
 まづ「……が、……が……が……」と、「が」の連続した文は小谷野の癖だが、この本ではいつも以上に目につく点。さすがに多いのではないかと思った。
 次に、説明文が作者やその周辺などの二次情報に始終して、なぜその小説を直木賞のとれなかった名作に挙げたのか理由が不明確なものがある。実際に読めばわかるのだらうが、ブックガイドとしてはさあ読んでみようといふ気にならず釈然としない。たとへば『ドグラ・マグラ』は《それほどの作とは思えなかった。》《〔註。いろいろ見たり読んだりきて〕割とこれはまあ、ましなほうかなと思うにはいたっている。話のネタにはなる。》と書いてあり、私としては果してこれは直木賞のとれなかった名作として挙げてゐるのかと思った。【追記】実はもともとの表題は『直木賞のとれなかった小説たち』だったが、編集部の意向で変へられたといふ。
 そして、相変らず読者が見たくないものまで見せられてゐるやうな、ある意味で露悪的な正直さがある。たとへば、村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のフェラチオ描写について、私もフェラチオされるのは好きと書いてあるのに気持悪さは感じた。小説ならいいが、かういふ本にまで書くのはどうか。万人受けはしない書き方だ。
 小谷野はツイッターで売れないと書いてゐたが、やはり『直木賞の偏差値』を期待してしまった。

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2023年03月03日

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