【感想・ネタバレ】強い円は日本の国益のレビュー

あらすじ

著者は、21世紀にはハイテク製品がコモディティ化して値下がりし、代わって資源や食糧が希少品化する、一種の価格革命が起こると予想しています。こうした転換期に直面すれば、経済政策、為替政策も大きく変えざるを得ません。日本は「強い円は日本の国益」だと認識して、それを対外的にも公表すべきである、と強調しています。
著者の榊原英資氏は大蔵省財務官を務め、世界の金融・為替市場で「ミスター円」と呼ばれたスペシャリストです。近年は政治・社会分野にもわたる評論活動で知られていますが、本書では久しぶりに“ホームグラウンド”に帰り、ダイナミックな議論を展開しています。

※本書は2008年9月に東洋経済新報社より刊行された『強い円は日本の国益』を電子書籍化したものです。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

円高こそ日本の国益と言い切る榊原英資3年前の著作。全く色褪せていない。
・失われた十年としばしば言われるが、この十年は停滞していたどころか、寧ろ日本企業は戦略と構造を再編し、新しい制度を次々に確立した時代。分野を絞り込み事業を得意分野に集中する選択と集中。そして財務体質の改善により日本企業は劇的な変換を遂げた。但し成熟期に入った日本の製造業は、今再び世界の巨大な転換期の中でさらなる変貌を求められている。
・製造業は中国、インドに追われる立場に変わっている。安価なものを大量に作るのではなくフランスのワイン、スイスの時計のように質の高さに特化し希少価値を高めるブランド商法が肝要。既にアメリカやヨーロッパは金融、法務、会計等に重点を移している。大きなパラダイムシフトが起こっている。売るシステムから買うシステムへの転換である。金融化は成熟経済にとって必然的な流れ。そろそろ金融立国を考えるべき。現実を見ても今や日本経済は成熟し製造業に代わってサービス産業が経済の最も大きなシェアーを占めるに至っている。
・円高と言うが、ロンドンの地下鉄が初乗り4ポンド。日本円で800円。長期間にわたるゼロ金利政策、ドル買い為替介入により日本の為替レートは実質レートではかなりの円安となっている。
・好不況はあくまでも四年ごとに繰り返す循環であり、デフレは構造である。双方に直接の関係はなく、景気を回復させればデフレから脱却できるといった考え方は構造と循環を混同した議論。・・・・
たくさんのことを学ばせてもらった。書きだしたらきりがない。

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2013年01月01日

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