【感想・ネタバレ】ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのレビュー

あらすじ

映画化&英訳決定! 恋愛を楽しめないの、僕だけ? 大学生の七森は“男らしさ”“女らしさ”のノリが苦手。こわがらせず、侵害せず、誰かと繋がりたいのに。共感200%、やさしさの意味を問い直す物語

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ネガティブな気持ちやつらい気持ちを人に話すと、その人までつらい気持ちにさせてしまうから、そういうことは人に話さないでぬいぐるみに話す。そういうやさしい人たちの物語だった。他者を「もの」ではなくて、自分とは異なる人間として尊重すること。好きになるとその境界が分からなくなりがちだけど、あるいは他者をジャッジする視線は他者を対象化しているけれど、相手を一人の相手として尊重し、見守ること。支配するのでも無関心でいるのでもないその距離感って実はすごく難しいと思う。やさしい、というのは、距離をとりすぎて無関心に近くなりがちだと気付かされた。
オートロックではない家に住める側の性=男性である七森は、セクハラ的な風潮に合わせてしまった過去の自分を悔やみながら、今の自分の行動が女性に気持ち悪がられたり怖がらせたりしないように気を遣いながら生きている。麦戸ちゃんは痴漢を目撃してしまってから、何もできなかったり他人事だったりした自分が嫌で、人間が怖くて、大学に行けなくなった。そんな二人が、ぬいぐるみに話すだけじゃなくて、お互いの領域に一歩踏み込んで、あるいは自分を少し開示して、それぞれに話し、聴くのがよかった。やさしさは無関心にも似ている。だから敢えてぬいぐるみには話さない、という白城さんも本当に良い。誰も傷つかない世界が来れば良いのに、と願いながら、そう言う世界は絶対来ないから、ぬいぐるみに話を聞いてもらいつつ、本当に信頼できる人にはこうして話せるって大事だなと思う。表題作以外の3編も似たようなもので、相手を傷つけないようにしながら自分も侵犯されないように距離を守る人たちの話だなと思った。
私も七森と同じで、友達として好き、と恋愛として好き、の違いはわからない。でも、七森と麦戸ちゃんの間にあるような信頼感というか、一人で生きていくのは心細いから、何も言わなくてもただ隣にいるだけの存在みたいなのはパートナーとしてあらまほしいと思う。

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2024年03月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ぬいぐるみに話しかける活動をしている部活で、傷つきやすい学生たちを描く表題作のほか、計4篇の短編集。ちょっとファンタジーが入った、心優しい作品という感じかな。少し苛つくかもしれないが、まあまあ良かった。

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2025年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』
出身大学の話だった。気づいたとき妙にうれしかった。
ぬいぐるみサークルに所属していて、サークルにも出られないくらいしんどくなってしまうような人の話。ジェンダーとフェミニズム。
加害者になってしまう、と恐れる七森のやさしさに心がきゅっとする。

『たのしいことに水と気づく』
ラストで泣いてしまった。やさしくてしんどくなる人、みんなしあわせであれ。

『だいじょうぶのあいさつ』
突然の、村田沙耶香か?と思うくらい荒唐無稽な話。でも、登場人物たちのおかしさに癒される。

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2025年06月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

かわいい表紙を見て、小さいころたくさん遊んだ、実家に置いてきちゃったぬいぐるみたちのことを思い出した。
くまちゃんはどこに行く時も一緒だったなー、
ペンギンくんは黒いシミができて
アザみたいだったから絆創膏貼ってたなあ…
大きいクマは、寝るときよく抱っこしてたな〜
言ってしまえばぬいぐるみは物だけど
大好きな友達だった。
この本を読んで、全員は無理でもせめて何匹か今の家に連れてきたくなった。(でもそれだと残留メンバーがかわいそうか…)

「たのしいことに水と気づく」も好きな話だった。ハッピーエンドで、読んだ時ぶわっとうれしくなった。
あと、"たかが結婚でわたしのこと
変えられると思うな"って言葉がすごく好き。

「だいじょうぶのあいさつ」は、途中からどういう状態かうまくイメージできなくて、最後がどうなったのかよくわからなかった。。

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2024年10月12日

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