あらすじ
学校で習って、誰もが親しんでいる地図記号。だが、実はまだまだ知られていないことも多い。日本で初めての地図記号「温泉」、ナチス・ドイツを連想させるとして「卍」からの変更が検討された「寺院」、高齢化を反映して小中学生から公募した「老人ホーム」……。地図記号からは、明治から令和に至る日本社会の変貌が読み取れるのだ。中学生の頃から地形図に親しんできた地図研究家が、地図記号の奥深い世界を紹介する。
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Posted by ブクログ
地図記号にもさまざまな歴史あり!
地形図の発展は陸軍が関連していたり、
学生時代に習った記号がいつの間にかなくなっていたり…
さよなら工場や自衛隊の地図記号(*´-`)
ようこそ老人ホームや博物館!
お馴染みの卍ですら実は向きがあったり、幸福や吉祥の印だったり、西南戦争時の田原坂の戦いなどで土地勘がなく苦戦した経験など学びがたくさんありました!
Posted by ブクログ
別に「ひみつ」でも何でもない。しかし知られていないことも多い。学校を表す”文”とか、ナチスのマークと混同される寺院を表す”卍”などの地図記号の成り立ちや変遷、謂れについて書かれてる。
現在の国土地理院の前身の一つは、陸軍の陸地測量部である。地図と軍事は密接に結びついていた。江戸時代に鎖国をしていた我が国から地図を持ち出すことは国禁とされていたことからもわかる(シーボルト事件とか)。
地図は軍事情報として作成された一面がある。陣地の構築、部隊の移動展開に必要な地形かどうか、あるいは道路の幅員は野砲は通れるか、橋の状況はといったことが重要な情報だった。
歴史とともに、記号の統廃合や新設(老人ホームなど)があった。現在はネットで瞬時に情報を得られる時代になり、地図の重要性が薄れてきたようだ。
Posted by ブクログ
<目次>
序章 地図記号とは何か
第1章 定番記号の学校で教わらない話
第2章 あれも記号、これも記号
第3章 消えた記号、生まれた記号
第4章 記号が映し出す歴史
<内容>
地図マニアの今尾さんの本。今回は地図記号である。Googleマップが当たり前となり、ストリートビューとかを見てしまえば、地図からリアリティまで引き出せる今、地図を読み込む人はほぼいないだろう。そうなると当然地図記号もわからない!地図記号にスポットをあてて、歴史的に読み取っていく(古い地図からちゃんと凡例を持ってきている)ことは、さすがである。学校の地理の授業よりも役立つだろう。また日本近代の歴史も裏から理解できる。