あらすじ
リーマン・ショック後の世界はどのような国家モデルを目指せばよいのか。市場機能重視の「小さな政府」か、財政機能を重視した「大きな政府」か。一方、巨額の財政赤字を抱える日本はどうするのか? 万能薬とはなりえないが、一つの答えが「スウェーデン・モデル」である。同じ大きな政府の中でも、この国の財政は健全で、「世界トップクラスの所得・国際競争力」を誇り、年金・医療・雇用・税制にも個性的な政策が並ぶ。今、決定的に重要なのは、無批判にこの北欧の雄を成功モデルとして礼賛することではない。日本との立場の違いを明確にした上で、深く多面的に理解することなのだ。読了の後、「日本はスウェーデンになるべきか」というスウェーデン公使からの問いにわれわれは一つの方向性を見出すはずだ。
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Posted by ブクログ
「住みよい国」の代表としてあげられる事の多いスウェーデンだが、その実態は殆ど知らなかった。人口はわずか1000万人足らず。高税率/高福祉の「大きな政府」の代表格。真面目で内気な国民性は日本人とも共通点がある。スウェーデンモデルは果たして成功しているのか。日本はこれに学ぶところはあるのか。と思い読み進める。長い冬、厳しい気候がもたらした、逞しく自立心のつよい国民性がこの国の有り様を支えている。従って単純にこのシステムを日本に導入することは難しいだろう。なによりも政治家と国民との間に信頼関係が築けない我が国では、このような高負担を国民が飲むことはできない。なぜスウェーデンでは透明性の高い政治が可能になっているのかが知りたい。
Posted by ブクログ
「自立した個人」を目指すというところがスウェーデンの様々な制度の基礎となっているのだと分かった。そこからは良い面ばかりでなく、冷たい面も見えてくる。
ちょっと子どもが熱を出したら2~3日様子見てくださいとか、何かの症状で具合が悪くなっても大事ではなさそうだったら(もちろん自分では判断のつかない場合もあるのだが)診断が先延ばしにされることなど、ちょっと可哀そうな部分もある。
産業構造を積極的に転換し(その際、後から雇われた者、若い者から解雇される)、国際競争力を高めるというところはいいけれども、15歳から24歳の若者の失業率が25%ってのはかなり高いなと思った。この辺りについて若者はどう思ってるのか。
スウェーデンの制度はやり方として効果的なものはたくさんあると思うが、限度として少しやりすぎではと感じる部分もあり、日本がそのまま真似するべきものではないと感じる。この部分はスウェーデン式やり方をこの程度参考にするというふうに、少しずつ盛り込んでいくのが一番良いんじゃなかろうか。