【感想・ネタバレ】やも男と女形 1のレビュー

妻と子を交通事故で亡くしたショックから立ち直れず、営んでいた喫茶店も閉店しようとしていた伊丹幸一(いたみ こういち)。
彼がある日出会ったのは、世間から行方をくらましている大衆演劇の天才女形役者・喜多川艶之助(きたがわ えんのすけ)でした。
家に帰りたくない艶之助は、幸一の店で住み込みで働かせて欲しいと頼みます。
じゃぁ1日だけと承知した幸一ですが、艶之助の接客は素晴らしく、店は大繁盛。
父親になり損ねた「やも男」幸一とワケアリな「女形」艶之助の、奇妙な同居生活がスタートします。

相手が望んでいることを瞬時に察して応える才能がある、艶之助。
自分の気持ちを素直に言葉に出すことができないからこそ、料理で対話していた幸一。
年齢も違えば立場も全く異なるふたりですが、共通点は心にぽっかり穴があいているということでしょう。

艶之助の15歳ながらもしっかりしたところは、幼少の頃から舞台俳優として叩き上げられてきた賜物だとは思いますが、そこに至るまでの気持ちを考えると切なくなります。
また、一度幸せを失ってしまった経験があるため再び失うのが怖くて幸せを掴むことができない幸一。ちょっと強引でありながらも適度な距離を取る艶之助のおかげで次第に気持ちが変化していきます。
ふたりの生活を見ているとうまい具合にお互いが補い合っており、その絶妙なバランスは危うくも微笑ましく感じます。
どうかこの生活が続いてふたりが幸せに過ごせますように…と願わずにはいられません。

『恋する仏像』(講談社)や『写楽心中 少女の春画は江戸に咲く』(秋田書店)など、色気のある繊細なタッチで心の機微を描いてきた会田薫先生。
それらは今作でも遺憾なく発揮されておりますが、そこにポップさが加わって、よりテンポよく爽快に読み進められるようになっています。

バディものが好きな方はもちろん、心の奥から温まりたい方に読んでいただきたい作品です!!

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大衆演劇

2023年02月01日

大衆演劇のプリンスが逃げ出してきて喫茶店で働くことに。
マスターは妻子を亡くして意気消沈していたが少し前向きに。
艶之介の父親がどう出るのかな。

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