あらすじ
男が「美しい」ということはどういうことか。アラン・ドロン、石原裕次郎、加山雄三、マイケル・ジャクソンなど、東西さまざまな具体例から美男について考察しつつ、「近代」という時代を考えるスリリングな美男論。
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Posted by ブクログ
下巻でも、アラン・ドロンや石原裕次郎、マイケル・ジャクソンなど、あちらこちらに議論を転じていきながら、「美男」とはなにかという問題が論じられています。
本巻の最後は、蜷川幸雄の舞台に出演している19歳の俳優との会話から、著者が少年と男の関係をめぐる考察を展開していますが、その下敷きになっているのが、男の「二段階変化」論です。著者は、自己認識をつくり変えなければならないと主張し、「成熟」がうしなわれてしまった現代人に対する批判をおこなっています。そのうえで、「強くなりたい」と思う人間は「弱さを自覚する」ことができている人間であり、それに対して「自分は主体性を持っている」と錯覚して「弱さを自覚する」できていない人間の未成熟なありようが、「ブオトコ」の条件をなしていると論じられています。
上巻からそれほど議論の進展はなく、同様のテーマをさまざまな具体例をあげながら論じなおしているという印象を受けました。著者の曲がりくねった行論はけっして嫌いではないのですが、それでも議論の着地点が見えているにもかかわらず、あっちへこっちへと話を引っ張りまわされていくのに若干退屈してしまいました。