あらすじ
『不思議の国のアリス』は、アリスの冒険の一部に過ぎない。ディズニー映画を思い浮かべる人も多いだろうが、実はアリスは、もっと不思議で奇妙なノンセンスの世界に入り込んでしまっていたのだ。幼いころからことば遊びにたけた数学と論理学の研究者、文理融合型マルチ人間である作者ルイス・キャロルは、その並外れた遊び心とこだわりで、次から次へとアリスにカラクリを仕掛ける。ニヤニヤ笑いを残して消えるチェシャ猫や、延々とお茶会を続ける帽子屋と三月ウサギなどなど、馬鹿馬鹿しいことを言ってアリスを困らせる登場人物たち。しかし、そこには「理をはらむ馬鹿馬鹿しさ」があり、「理がはらむ馬鹿馬鹿しさ」がある。当たり前が当たり前でない『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を楽しむガイド。「俺もおかしいし、君もおかしい。そうでなきゃ、こんなところにこなかったはずだ」(チェシャ猫)
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Posted by ブクログ
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』に書かれた巧みな「ノンセンスの世界に止揚」(p.71)されたナンセンスを解説したもの。
「ノンセンス」とは、「当たり前が果たして当たり前なのかと疑問視して、根底から揺るがせて、新たな繋がりや理屈をつけていく」(p.71)ということで、「一見、偶然、出鱈目でありながらも、厳密な方法や価値観に則って意識的に遊びが展開される」(p.121)様子を解説している。
アリスの解説本という感じで、この本を読んでアリスを読む、というよりもアリスを読んだ人がこの本を読んだ方が良いと思う。アリスの世界観を知らないと、具体的な場面が思い浮かばないので、ピンとこない。もちろんキャロルの巧みな論理、遊びには感心できるけれども、ネタは全部アリスなので、興味自体が湧きにくい印象を持った。挿絵が多くて面白い。(11/12/24)