あらすじ
大阪人の悲喜こもごもを見つめながら、今日も流れる淀川。
陰惨な家庭を生き延びた姉妹、弟の野球を眺める少女、
婚活バーベキューにいそしむ男女、映画を撮る高校生、
自由を謳歌する個人投資家――。
誰もが割りきれない心を抱えて水辺に佇む。
瑞々しい人生のスケッチから今の大阪が浮かび上がる短編集。
解説・北上次郎
※この電子書籍は2019年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
河川敷が出てくるという共通点で、こんなにバラエティー豊かなお話。みんなどれも違ったタイプの人が出てきて、それぞれの人生をみな生きている。作家さんってすごいなあって思う。それぞれにみな、生きていく上での小さな困難を抱えていて、誰かの助けを必要としていて、その願いがかなったりかなわなかったり。共通点はみな短編らしい話の切り取り方があって、その未来を想像させる余韻のある終わりをしていること。多様な話で、直接・間接的にも互いのつながりはまるでないのだけれど、こうやって話が集められた時、同じ空気感があって、するすると読めた。そういうところもなんだか不思議。